多分、愛じゃない

ゆきの(リンドウ)

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恋と呼びたいだけだった

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 ならば、と向かった先は家から徒歩五分のファミリーレストラン。

 学校から徒歩で10分の生徒にも人気のカフェではなく、更に20分弱歩いたここにしたのは、安くて早くて美味いと近所で評判が良いだけではない。

 学校周辺は危険地帯だからである。

 職場ではあたかもプライベートで関わりなんかありません、みたいにツンケンしている俺がまさか克巳とそういう関係だったと知られたら、翌朝の朝会は胃が痛くなること間違いない。

 そもそも、克巳とは並んで歩くだけで名前も知らない人たちから注目されるのだから、せめて職場くらいは穏やかに過ごしたい。

 月曜日のファミレスはそこそこの客足で、所々に席が空いていた。 

 ここのファミレスは空いている席に自由に座るスタイルのため、入って突き当たりを左に曲がったお馴染みの席へと座る。

 俺は海鮮ドリアを、克巳は和風スパゲッティを注文すると、水を一杯飲みきる頃合いで料理が運ばれてきた。

 皿の海鮮の気持ちになるとなんとも居た堪れないが、グツグツと熱そうな音と匂い、一方で向かい合って座る克巳からはバターと醤油それからきのこの良い香りが漂う。

 どちらからともなく、カトラリーを手に取り小さくいただきますと呟き口に運ぶ。

 一口、また一口と息を吹きかけて冷ましながら食べる。クリーミーな濃厚さと海鮮の磯臭さが絶妙にマッチしていてやはり安定の美味しさだ。

 ふと、克巳を見ればがっついてこそいないが、一口一口とフォークを運ぶ手は早く、嬉しそうに頬も緩んでいる。

 やはり、食べ物は世界を平和にする説は濃厚だな。

 あっという間に皿を平らげていた。時刻は19時半過ぎを迎えており、嵌めごろしの窓から見える景色はすっかり暗くなっている。

 大学生だろうか、10人くらいの若者が店に押し寄せてきたおかげで、静かだった店内は賑やかになっていた。

 だが、おかしなことに俺たちのテーブルはまるで音がなくなったかのような静けさが漂っている。

 理由は至極簡単だ、何故ならいつもは会話をリードする俺がだんまりを決め込んでいるのだから。

 もちろん、克巳のために、克巳が言い出してくれる時を待っているのだ。

 黙ってられない性格の俺のせいで、思えば俺たちは何かある度に俺次第という癖があった。

 最初の出会いも、告白も同棲も、全部俺から言い出すばかりで克巳はそれに目を輝かせてうん、と言うばかり。

 喧嘩だってそうだ、いつも俺が勝手にキレて八つ当たりして、けれど謝るのは克巳から。

 だから、俺はいつも不安なんだよ、克巳。
 お前が何をどう思っていて、本当に俺を好きなのかって。
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