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番外編:多分、もう愛だった
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十二月。街は異様な賑やかさを醸している。
「お空がキラキラしてるね」
ふと、小さな子どもの可愛らしい声が聞こえ、見上げる。
大きなクリスマスツリーに飾られた電飾を見て、戸崎 奏は思わず、口元を緩ませていた。
たしかに、子どもの目線から見れば、キラキラに見える。ツリーの深い緑が暗み始めた空と同化して見えるのも仕方ない。
そう思うとさっきまでしょぼくれていた気持ちに花が咲き始めたように一筋の光すら見える。
けれど、奏の右手は依然として空っぽのままだ。
いつもならその手は恋人のユウリが繋いでくれる。
ユウリとまともに会えなくなって二週間が経つ。
十二月になり、ユウリの店は忙しくなっていた。ユウリの店は飲食店で、だからこの時期は猛烈に忙しい。
新メニュー開発のときも忙しかったが、クリスマス一週間前は特に忙しいらしく、オーナーであるユウリはほとんど休んでいないのだ。
休みがあっても事務作業に追われている。
一度、ユウリから会いたいと言われ、ユウリが住むアパートで会った。
部屋で映画を見てまったりしていると、一本の電話が入った。
『ごめん、奏。これから店行かなきゃいけなくなった』
言われたときは正直、がっかりした。土日はユウリが仕事、平日は奏が仕事。会えなくはないが、会う時間は限られる。
部屋で待っていてほしいというユウリの言葉を信じて待ったが、結局、朝になってもユウリは帰ってこなかった。
土日もそういう日が続き、ある日、ユウリから同棲を仄めかされたことがあった。
素直に嬉しかったし、ユウリに会える時間があるとかないとか、そう考えることはなくなったと思った。
『奏は今のままの方がいいよね?』
なのに、そう言われたときには呆然とした。
恋人になってからのユウリは、奏を気遣いすぎているのだ。
まるで気難しい猫のようで、けれど奏はそんな扱いはされたくなくて、だから矛盾が生まれていた。
尊重なんかしなくていい。ただ、ユウリの気持ちをストレートに聞きたい。
好きなだけなのに上手くいかない。これじゃあ克巳のときと同じだろう。
克巳も矛盾した気持ちを抱えていたのだろうか。
あれから克巳とは会っていない。克巳と奏の共通の知人から、克巳は今、ここを離れて地元で暮らしていると言っていた。
もう克巳に恋愛の感情は残っていない。ただ、後悔はある。もっとわかってあげられたかもしれない。
思うと後悔の波が押し寄せてくる。思っても仕方ないのに、けれど一度押し寄せた波は、引くことを知らない。
もし、わかってあげたのなら俺たち、今頃どうなっていただろう。
もし、わかりあえていたのなら、ユウリとはー。
そこまで考えて、考えることを辞めた。悔やんでも過去に戻ることはできないし、今の自分を悔やんではいない。
きっと、ユウリとまともに会えていないからだ。
「帰るか」
呟いて、ツリーの前で立ち止まっていた足を動かし始めた。
すれ違うカップルに、心の中、苛立ちが募る。
あの小さな子どもが言った言葉を思い出すと、心の中のささくれが治っていく気がした。
ポケットに入れた手は温かい。なのに、もっと温かくしたくてユウリの笑顔を思い出す。
部屋で待っていたら、驚いた顔を見れるかもしれない。イケメンの間抜け面は貴重でそして可愛い。
見れるかな?会いたいな。
少しだけ軽くなった足で、奏はキラキラ光る商店街を早足で歩いた。
「お空がキラキラしてるね」
ふと、小さな子どもの可愛らしい声が聞こえ、見上げる。
大きなクリスマスツリーに飾られた電飾を見て、戸崎 奏は思わず、口元を緩ませていた。
たしかに、子どもの目線から見れば、キラキラに見える。ツリーの深い緑が暗み始めた空と同化して見えるのも仕方ない。
そう思うとさっきまでしょぼくれていた気持ちに花が咲き始めたように一筋の光すら見える。
けれど、奏の右手は依然として空っぽのままだ。
いつもならその手は恋人のユウリが繋いでくれる。
ユウリとまともに会えなくなって二週間が経つ。
十二月になり、ユウリの店は忙しくなっていた。ユウリの店は飲食店で、だからこの時期は猛烈に忙しい。
新メニュー開発のときも忙しかったが、クリスマス一週間前は特に忙しいらしく、オーナーであるユウリはほとんど休んでいないのだ。
休みがあっても事務作業に追われている。
一度、ユウリから会いたいと言われ、ユウリが住むアパートで会った。
部屋で映画を見てまったりしていると、一本の電話が入った。
『ごめん、奏。これから店行かなきゃいけなくなった』
言われたときは正直、がっかりした。土日はユウリが仕事、平日は奏が仕事。会えなくはないが、会う時間は限られる。
部屋で待っていてほしいというユウリの言葉を信じて待ったが、結局、朝になってもユウリは帰ってこなかった。
土日もそういう日が続き、ある日、ユウリから同棲を仄めかされたことがあった。
素直に嬉しかったし、ユウリに会える時間があるとかないとか、そう考えることはなくなったと思った。
『奏は今のままの方がいいよね?』
なのに、そう言われたときには呆然とした。
恋人になってからのユウリは、奏を気遣いすぎているのだ。
まるで気難しい猫のようで、けれど奏はそんな扱いはされたくなくて、だから矛盾が生まれていた。
尊重なんかしなくていい。ただ、ユウリの気持ちをストレートに聞きたい。
好きなだけなのに上手くいかない。これじゃあ克巳のときと同じだろう。
克巳も矛盾した気持ちを抱えていたのだろうか。
あれから克巳とは会っていない。克巳と奏の共通の知人から、克巳は今、ここを離れて地元で暮らしていると言っていた。
もう克巳に恋愛の感情は残っていない。ただ、後悔はある。もっとわかってあげられたかもしれない。
思うと後悔の波が押し寄せてくる。思っても仕方ないのに、けれど一度押し寄せた波は、引くことを知らない。
もし、わかってあげたのなら俺たち、今頃どうなっていただろう。
もし、わかりあえていたのなら、ユウリとはー。
そこまで考えて、考えることを辞めた。悔やんでも過去に戻ることはできないし、今の自分を悔やんではいない。
きっと、ユウリとまともに会えていないからだ。
「帰るか」
呟いて、ツリーの前で立ち止まっていた足を動かし始めた。
すれ違うカップルに、心の中、苛立ちが募る。
あの小さな子どもが言った言葉を思い出すと、心の中のささくれが治っていく気がした。
ポケットに入れた手は温かい。なのに、もっと温かくしたくてユウリの笑顔を思い出す。
部屋で待っていたら、驚いた顔を見れるかもしれない。イケメンの間抜け面は貴重でそして可愛い。
見れるかな?会いたいな。
少しだけ軽くなった足で、奏はキラキラ光る商店街を早足で歩いた。
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