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ルシアン・グレンデイル編

Story 王子様 × 最愛の人 END

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 俺は屋上のドアを開けた。

 そこに、ルシアンの姿はなかった。

 いつも先に来ているわけじゃないし、遅くなることもある。
 そんな事分かっていたけれど、俺は力が抜けてその場に座り込んだ。

 無性に悲しくなって、泣きそうになっていると、すぐ頭の上から声がした。

「こんなところで座り込んでどうしたの?」

 その声に顔を上げると、ルシアンが立ったまま下を向いて、こちらを覗いていた。

「あっ……!青木!?」

「………、それなんだけどさ。この世界でその呼び方は、色々とややこしくてさ、二人だけの時はいいんだけど、普段はルシアンって呼んでくれよな」

「………うん」

 ほら、と言われて手を引かれて、ルシアンに立たされた。

「あお……、ルシアン、あのさ………」

「うん?」

「お……お前、婚約するの?」

「あーあ、あの噂ね」

 噂という言葉が出たので、もしかしたら、ただの噂だよと言ってくれるかもしれない。俺はどきどきとしながら、次の言葉を待った。

「婚約の話は本当だよ」

 やはり本人の口からそう語られると、分かっていたこととはいえ衝撃を受けた。

「………やっぱり、そうか。俺、お前には幸せになって欲しい。だから、お前が誰を選んでも、おめでとうって言わないといけないのは分かっている。だけど、俺は……俺はお前のこと……」

「何言ってるんだよ、雪村」

「へっ……ちょっと!」

 必死の告白を止められて、俺は力が抜けそうになって焦った。

「二人で幸せにならないと、意味がないだろう」

「え……?」

「俺が婚約するのは、レイチェルだよ」

「ええええ!?嘘でしょ!?そんなの聞いていない!!」

「というかレイチェルの親父と、なかなか連絡がつかなくて、今、調整しているところなんだよ。レイチェルには、ちゃんと言おうと思っていたけど、先に親を固めないと、この世界面倒だからさ。そしたら、話の一部だけ流れて、変な噂になっちゃったんだよ」

「え……俺と……?婚約………?え………本当に?」

 突然思いもよらない展開に、頭がついていかない。これは喜んで良いことなのかも、理解するのに時間がかかった。

「ねぇ、レイチェル、さっき、何言おうしていたこと教えてくれよ」

 ルシアンはすべて理解できているような、満面の笑みで聞いてきた。
 実はかなり意地悪なのかもしれない。

「だっ、だからさ、俺は……青木が……」

「前言撤回」

「はあ?」

「さすがに、ずっと青木は嫌だよ。二人の時は、将吾って呼んでよ」

「おっ……お前、何回、人の告白を止めたら気がすむんだ……」

「もう止めないから、さぁいいよ」

 今度こそという思いで、俺は再び気合いを入れて、ルシアンの瞳を見て一呼吸おいてから口にした。

「俺は、将吾が、すきっ……んん!!」

 俺の告白は今度は口づけで止められてしまった。

「……ちょっと!お前聞く気あるの!?」

「ごめん、ちょっと、名前を呼ばれたのが、予想以上にキちゃって、たまらなくて、つい……」

「もう!言わない!絶対言わない!」

 ルシアンは、怒ってむくれた俺の頬に触れて優しく頭を撫でた。

「理人、好きだよ。俺、お前のためなら、何回でも死んだっていい」

「……ばか、ずるいよ。そんなこと言うなんて。今度は俺がお前を幸せにしたいのに……」

「ごめん、でも本当なんだ、何度生まれ変わっても、俺は理人を探すよ。男でも女でも構わない。もう理人は俺のものだ。絶対に離さない」

 突然見せられた独占欲に、体は喜びの痛みで痺れた。
 それが本当か確かめたくて、今度は俺の方からルシアンの唇を奪った。

 体は待ちに待った喜びで震えた。ルシアンにしがみついてキスをした。少し触れただけで、全身がとろけてしまうみたいな甘い味がした。
 永遠に続くかと思うくらいの長い間、そうしてずっとキスをしていた。
 長い眠りの時間をうめるかのように、いくら唇を求め合っても足りなかった。



 やっとのことで、うちの親父がつかまった。どうやら、外国へ行っていたようで、戻ってきたら、王宮からの便りに、泡を吹いて驚いていた。

 慌てて、承諾の返事を出して、晴れて俺とルシアンは婚約することになった。
 短い婚約期間で、すぐに次へという話なので、親父も驚いて、白目になっていた。

 今日は、サロンを貸しきって、幼なじみメンバーで、ささやかな婚約パーティーを開いてくれた。

「あーあ、レイチェルがルシアンと……。そんなのないよー」

 ミシェルがいつもの調子で、ふざけて話し出したので、みんな笑いに包まれた。

「悪いな、ミシェル。レイチェルは俺の運命の相手だから、誰にも譲れないんだ」

「やだやだ、熱い熱い。僕、そういうの苦手だから、やめてよ」

 みんな和やかに話していたが、俺はアンジェラのことが気がかりだった。

 俺の視線に気がついたのか、アンジェラが側に寄ってきた。

「おめでとう、レイチェル」

「ありがとう、アンジェラ。その……アンジェラは……えーと……」

「もしかして、変な噂のこと?」

 俺達の婚約が発表された時、アンジェラは学園を休んでいたので、傷心のためとか、色々と噂が流れた。

「心配しないで、私、殿下のことは、もともと好きではないから。実家でゴタゴタがあって、兄とちょっと揉めたりして、出てこられなかったのよ」

「そうか、良かった。気になっていたんだ。あっ、アンジェラはお兄さんがいるんだね」

「え?あっ……そうね。いるわ。レイチェルも……」

「どうしたの?楽しい話?」

「なんだよ、ルシアン。女の子同士の会話に入ってくるなよ」

「だって、レイチェルが側にいないと、寂しいんだ。本当は誰とも話して欲しくなくて、閉じ込めておきたいくらいなのに」

 それを聞いてアンジェラが、ドン引きしているのが分かる。
 ルシアンは、もともと、不思議系の大人しいキャラだったらしく、こんなに、独占欲丸出しのキャラは、皆、慣れないと言って、だいたい引かれる。

 アンジェラは、どうぞ、お二人で仲良くなさってと、離れていってしまった。

「もう、せっかくのパーティーだよ」

「ここのところ、忙しくて、理人に触れなかったのだから、仕方ないだろう。早く二人きりになりたい」

 後ろから抱きすくめられて、甘えるように耳元で囁かれる。
 周りのみんなが、気を使って視線を外してくれるのが、痛いほど分かって恥ずかしくて火を噴きそうになった。

 とにかくその場はルシアンをなだめて、皆が気まずくならないように、明るく振る舞って、なんとか穏便にやり過ごした。

 パーティーがお開きになって、皆が帰ると待ちかねたように、ルシアンに抱きしめられてキスの雨が降ってきた。

「理人……、ずっとこうしたかった」

「もう、嬉しいけど、皆の前ではだめだよ。一応、王子様なんだから……」

「あぁ、早く、理人を俺のものにしたいのに、この世界はホント面倒だ」

 結婚して初めての朝に、所謂、そういう確認があるらしく、王家の相手は特に手順を踏まないと色々と問題になるそうだ。

「俺はこうやって、触れることが出来れば、幸せだよ。将吾温かくて、本当、幸せ」

 ルシアンの懐に顔をうずめて、顔ですりすりするのが、俺のお気に入りだ。
 そうやって頭を撫でられたら、最高に幸せな気持ちになれる。

「俺だって、幸せだけどさ……、理人、可愛すぎて……、あぁ、自分の精神力の強さが、ある意味悲しい……。でも、この世界の血液検査なんてないから、やりようによっては代用して……」

「なに……?変なこと企まないでよ」

 ぼそぼそと呟いているルシアンに、何か企みを感じて声をかけたら、ルシアンは楽しそうに笑った。こういう、笑いをするときは、だいたい良からぬことを考えている。それが、理解できるようになってきた。

「変なことではないよ。とても、素敵な思いつきだよ」

 するとルシアンは突然、俺をお姫様抱っこした。
 サロンには、休憩用の寝転べる大きなソファーがあり、そこに連れていかれた。

「ちょ……ちょっと待って、え?もしかして……」

「いや、最後までは考えていないけど、ほら、色々と方法があるし、それに関しては、理人の方がよく知ってるでしょ。大丈夫、理人だけは、ちゃんと可愛がってあげるから」

「こっ……心の準備が!!こっち側は初めてだし!」

「そうでないと困るんだけど、それ良いね!いい響きだ。興奮してきた」

「えー!ちょっと………んんんっ」

    ソファーの上に下ろされたが、その上からルシアンが覆い被さってきて俺の唇をふさいだ。
すぐに舌が入ってきて、俺の口内をめちゃくちゃ舐めつくしてきた。

「んっ……ふ…………っ……んんっ……ん!!……」

    キスを続けながら、ルシアンは片手で胸を愛撫して、片手はスカートの中に入れて俺の秘所を弄り始めた。
    俺の方が知ってるだろうとか言いながら、巧みに快感を呼び覚ますルシアンの指使いに、ムッとしながらも俺は翻弄されて、やがて我慢できずに声が漏れていった。

「だっ……あっ……る……しあ……、も……やだ……、気持ち……良すぎて…からだ…おかし……」

「こんなにとろとろになって、悪い子だね。レイチェルが俺を誘うから、すっかり硬くなって痛いくらいだよ」

   半身を起こしたルシアンの下には、反り返るように立ち上がったモノがあった。

「マジか……、そこもご立派かよ……」

「はははっ……かわいー!」

   俺の足を閉じたルシアンは、太ももの間に自分のモノを挟んで擦り出した。

「なっ……なにこれ……?えっ……入れて……」

「んっ……入れてないよ。けど気持ちいいだろ?なんだ……意外と経験ないんだな理人」

「つっ……ふざけ……!んっああんっ!」

    ルシアンのモノが花唇の中にぐりぐりと入り込んで、蜜をすくい取るように擦ってくので、強烈な快感にたまらず俺は矯声を上げてしまった。

「すごっ……、やばいなこれ……気持ち良すぎ。中に入ったら俺理性なくすわ」

「ひっ……んっ……あっぁ……ぁん……」

    まだ正気らしいルシアンに比べて、俺は快感が強すぎて意識を飛ばしかけていた。涙とよだれまで垂れ流して喘いでいたが、ルシアンはいっそう激しく腰を動かしてきて、抽送は止まらなかった。

「も…………だめ……あああ……イク……イっちゃ……」

「……ああ、……俺も……も……やば……」

「あああぁっ!!くっ……んんんっ……!!」

    突き抜けた快感に俺は背を反らしてビクビクと揺れながら達した。それを見届けた後、ルシアンもピタリと動きを止めて、俺の腹の上に白濁を解き放った。

「はぁ……は……はぁ……、も……死んじゃう……」

「サイコー……、やばいねこれ。頭飛んじゃうわ」

   達した後の気だるさなんてルシアンは関係ないかのように、俺にしがみついてきて、好きだ好きだと言ってきた。

「……分かった、分かったって。俺も好きだから……」

「じゃあさ、レイチェル……。今度は立って、後ろから挟んで……あっ、それなら、後ろ使ってもいい?」

「ばっ……!ばか!それはやだ!それ、やったら怒るからな!」

   俺がぽかぽかとルシアンの胸を叩いて抗議すると、ルシアンは冗談だと言いながら笑っていた。
 しかし、この男の手にかかったら、本当にそこまで許してしまいそうな気がして俺は震えた。
 いつか全身とろけたバターみたいになって、愛されて、俺はルシアンの一部になってしまうかもしれない。
   そうなって欲しいという気持ちを慌てて隠して、余裕な顔をして俺は笑って見せた。

 窓から差し込む光が、二人の明るい未来を暗示しているみたいに、キラキラと輝いて見えた。
 きっとあの、学園の愛の精霊達が祝福してくれているのかもしれない。

 学園には千年に一度といわれる、真実の赤い花が咲いた。

 王子の婚約の祝福として、たくさんの人々に語り継がれていくのであった。



 □□ルシアン□True End□□
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