サイファ ~少年と舞い降りた天使~

冴條玲

文字の大きさ
46 / 139
第二章 白馬の王子様

第43話 四年二組のクラス発表『水神様への願い事』

しおりを挟む
 夏休みが明ける少し前、デゼルのグループ研究『水神様への願い事』が四年二組のクラス発表になるっていう連絡が回ってきて、びっくりしたんだ。
 いつの間にかクラスメイトの全員が参加してたから、クラス発表になったことには驚かなかったけど。
 九月一日からの三日間に渡って、大公陛下やガゼル公子をはじめ、公国の貴族諸侯の御前での、実際に願い事を叶える発表会になるっていうから。


 僕たちのクラス発表は初日、公国を縦断する大河の河川敷に堤防を整備するところから始まった。
 十数年に一度の大氾濫で、何度も、農地が水浸しになったり、家が流されたりして、流域の人々の暮らしが犠牲になってきたんだって。
 最初に、クラスの代表として壇上に上がったのはスニール。
 スニールが自分から、やりたいって言い出したんだよ。
 公費でつくってもらった白のスーツを着て、綺麗にとかした前髪をよそゆきにセットして、真っ赤な顔をして震えながら、それでも胸を張って、発表してた。
 ふふ、僕がデゼルからもらった闇主の礼装の方が、カッコイイと思うけどね。
 礼の取り方や立ち居振る舞いの素敵さなんかも、クラスの誰も、もう、僕には敵わないと思うんだ。
 夏休みの間に、帝国の皇子様に会っても失礼のないようにって、特訓したんだから。
 スニールは失敗したわけでも、駄目だったわけでも全然ないんだけど、僕とデゼルは格が違うなって、一生懸命なスニールの子供らしい発表を見て、僕、こっそり優越感に浸ってた。

 二日目は港と生けの整備。

 三日目は地下水脈を利用しての井戸の掘り上げ。
 地下水脈を掘り当てるんじゃなく、地下水脈から掘り上げるって聞いたけど、僕には、意味がよくわからなかった。

 最終日の発表は、お姫様みたいなドレスを着たマリア。
 綺麗だったけど、僕はもっと綺麗なデゼルを見慣れてるから、とりたてて興味は引かれなかった。
 ジャイロもそれは同じだったみたいで、堅苦しいクラス発表を連日なんて、かったるいって顔してた。
 だって、デゼルの淡く輝くような銀の髪も、けぶるようなまつ毛も、透明感のある白い肌も。
 夢みたいに綺麗で、クラスメイトのどの女の子とも、比べ物にならないんだ。
 そんなデゼルが、僕が何かする度に、一喜一憂してくれるんだから、仕種と表情の可愛らしさまで抜群。
 デゼルと並んで遜色しないのなんて、きっと、ガゼル様くらいだから。
 そんなデゼルを独占できて、とっても、嬉しい。

 だけど、人魚姫みたいな水神のデゼルも綺麗だなって、発表会を楽しく眺めていた僕の気持ちは、最後の授賞式で吹き飛ぶことになったんだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

処理中です...