剣聖~約束の花嫁~

冴條玲

文字の大きさ
4 / 18

番外編 サリ王子のお楽しみ 【キャラ紹介/サリ】

しおりを挟む
 ――え? トーナメントの組み合わせが政治だって?

 とんでもない、厳正なる抽選の結果だよ。主催者である私が、魔法で少しだけ、抽選に細工したりはしたけどね。

 考えてもごらん、花火を与えられたら、人に向けてみたいのが人情ってものだろう?
 ※ そんなのサリ王子だけです。
 私が手加減なしの攻撃魔法を人に向けることを許されたのは、父上を相手に十二歳まで。
 このごろは、父上もさすがにお年を召して、体力や瞬発力が衰えてしまってね。
 私が本気を出したら、もはや父上でも、受けるのも避けるのも困難になって久しいんだ。
 そんな時に、この大会を開催する条件が揃った。
 メイヴェルはおそらく、同世代の剣士の中では、私が本気で攻撃魔法を撃っても、それをサバくことが出来る唯一無二の逸材だろうな。禁忌とされる黒魔法の奥義まで使えば、さすがに、メイヴェルでもサバけないかもしれない。だけど、上級魔法までなら、サバいてくれると期待しているんだ。私の中級魔法すら、サバける者はほとんどいない。せっかくの上級魔法を、荒地の岩なんかを相手にしか放てない私が、どんなにメイヴェルとの対戦を楽しみにしているかわかるだろう?
 だからね。


 ――コトン。

 組み合わせを決めるMの玉が落ちる。Aブロック。
 第一シードはメイヴェルとサリの二人だけなので、これで、サリはBブロックに決まりだ。
 第二シードの組み合わせを決めるAの玉が、抽選のための椀状の箱に投げ入れられた。
 シグルドの将軍だ。まぁまぁ腕は立つけれど、魔法戦は絶対に許可してくれないし、許可してもらったところで、ご老体にキツい魔法は撃てない。面白くないな、Aブロックで。
 Bブロックに落ちかけた玉を、魔法で軽く、Aブロックの方に弾き飛ばした。
 その後に、Sの玉。従妹のシルク皇女だ。
 何を隠そう、サリがメイヴェルについで楽しみにしているのが、彼女との対戦だ。
 知る者は少ないけれど、彼女は死霊術師ネクロマンサーだ。彼に懐いているし、魔法戦を許可してくれる可能性は高いだろう。しかも、死霊術で反撃してくる可能性がある。そうなれば、とても、胸躍る対戦となる。

 ぜひ、遊んでもらおう。Bブロック――

 彼女の玉は、何もしなくてもBブロックに落ちかけていた。
 けれど、遊びに来ているシルクといきなり当たって、いきなり負かすのも可哀相だ。準決勝で当たろうかな。少しだけ玉の軌道を逸らした。
 シルクとなら、たぶん、非公式でも遊べるはずだ。彼女が準決勝まで勝ち上がれなかったなら、後で遊んでもらえばよし。
 そして、問題のEの玉――
 最年少優勝候補のエヴァディザード・ディーン・ディナイだ。
 今大会、サリが最も対戦したくない砂漠の剣士。
 サリより年少で、魔力も持たないエヴァディザードを相手に、魔法戦を申し入れるのはさすがに卑怯だろう。かといって、剣術では、サリはエヴァディザードに敵わない。二年前、手合わせをする機会があったが、強かった。この二年の間に、サリの方が強くなったということは、まずないだろう。剣術の腕なんて、サリはさほど熱心には磨いていないし。

「うお!?」

 抽選の役人達が、驚いて声を上げた。
 サリが迷っているため、玉がくるくる、落ちもせず回っているからだ。

 ――よし、決めた、シルクに当ててみよう。

 微笑んで、Eの玉をSの玉の隣に落とす。
 女性を相手に本気を出せず、負けてくれるかもしれない。頑張れシルク。
 負けてくれなかったら、どうしてくれようか。
 あと、エヴァディザードに勝てそうなのは――

 シェーンかな?

 準々決勝、シルクとエヴァディザードの勝った方、シェーンと対戦してもらおうか。頑張れシェーン。
 Cの玉を、Eの玉の隣に落とす。
 シルクもシェーンも負けてしまったら、その時には、仕方ない。
 メイヴェルと対戦するため、サリが直々に、エヴァディザードを何とかして負かすしかないが、できれば、エヴァディザードが勝ち上がって来なければいいと思う。
 準決勝の相手がシェーンなら、適当に、観衆にはわからないように魔法を使って、負かしてしまえばいいのだ。王子様の反則について、侯爵家の次男に過ぎないシェーンは強く出られないはずだ。フフフ。



 ――かくして、エヴァディザードが勝ち上がりにくいよう仕組まれたトーナメントは、とばっちりで、シルクの対戦相手が最初から最後まで強敵ばかりという、偏った組み合わせになったのだった。

 そう、政治とか関係なかった。
 サリがエヴァディザードを避けて、メイヴェルと魔法戦を遊びたいと思って、イタズラしただけだった。



===========
 ◆ 占いの館 ◆
===========

☆ サリ(18歳) … シグルド王国の王太子。シルクの従兄。
 【フルネーム】サリ・アンマーリ・クルルイーゼル

☆ 気になる異性
 特にいません。

☆ 信頼する人
 1.イシス【A】
 2.カリ【B】
 3.アディス【C】
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

王宮メイドは今日も夫を「観察」する

kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」 王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。 ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。 だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……? ※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

処理中です...