月曜日の巫女【弐】

桜居かのん

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第二章 正統派と半端者

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しかし一番の疑問は、何故京都の陰陽師の人達がこんなことをしたのか、だ。

以前葛木先生は、京都と東京はお互いを尊重していると言っていた。

なのに、なんで学園の生徒を襲ったりしたのだろう。

うちの学校には陰陽師では無い生徒もいるのに。

ただ、女子だけ襲われているということで、それは巫女に関わっている可能性が高いのではと思った。

だってうちの学園は、巫女を捜し出すためにもあるわけで。

でもなんで京都の人達が巫女を捜しているのだろう。

そして一番気がかりなのは藤原だ。

またあんな冷たい顔と声を聞くと心配で仕方がない。

私はじっと部屋でクッションを抱えたまま考え込んでいた。




机に置いていたスマートフォンから、美女と野獣のメロディーが流れる。

実は先日電話があったのを機に専用の着信音を設定していたのだ。

私は慌ててスマートフォンを手に取り、着信ボタンを押した。


「はい」


『夜に悪い。今大丈夫か?』


夜と言ってもまだ9時前、私は大丈夫と返した。


『体調に何か変わりはないか?』


やっといつもの普通の声が聞けたこと、そして私を心配してくれていることに、胸の奥が、じんとしてしまう。


「大丈夫。そっちこそ術とか使ったんでしょ?大丈夫なの?」


『あんなレベル、どうってことは無い』


何故かつっけんどんに返されて、私は首をかしげた。


「ねぇ・・・・・何で京都の陰陽師がうちの女子を狙ったの?」


答えてくれないだろうとは思いつつ、やはり聞きたい。

案の定、電話からは何も返事がかえってこない。


「やっぱり私は部外者だからダメ?」


『・・・・・・被害に遭ったという点でお前は部外者ではないが、理由は話せない』


部外者じゃない、と言ってくれたことが何故か嬉しい気持ちと、教えて貰えなかった事はやはり寂しい。


「ねぇ、巫女が関係してるんじゃないの?」


『・・・・・・』


「また京都に行ったりするの?」


ダメ元で気になることをとりあえず聞いてみる。

やはり回答はなく、少し沈黙が続いた。



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