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サービスの内容と料金が決まった。
四人の間に、ほっとする空気が広がった。
四人は、席を立ち、ドリンクのお代りをしに行った。もう、店に入ってから二時間が過ぎていた。付近のテーブルの客は、全員が入れ替わっている。
「お腹すかない?」海斗が、腹に手を当てた。うんうんと、女子たちが頷く。拓海も、お腹がすいていた。
「ポテトでも頼もうか?」
「そうしよう」
ポテトを二人分注文し、四人でシェアすることにした。
「あと、どんなことを決めればいいんだろう?」拓海は、三人に問いかけた。
やろうとすることも料金も決まった。あとは行動するのみであったが、肝心なことを決めていないような気がしていた。
「宣伝かな?」ボソッと七海が呟く。
「話し相手が欲しいと思っている高齢者たちに、私たちのサービスを、どうやって伝えればいいんだろう」
(それだ!)拓海は、胸の中で声を上げた。それが肝心なことだった。自分たちがこういうサービスをしていますよということを知ってもらわないと、商売は始まらない。
「サイトを立ち上げてみる?」海斗が、宣伝するためのサイトを立ち上げることを提案した。海斗は、簡単なものであれば、一からホームページを作ることができる。
「サイトの中身を充実させて、少しでもネットの検索順位が上に来るように頑張るってやつか?」拓海は、ネット相談に関するアイデアを海斗が口にした時のことを思い浮かべた。
「でも、それって難しいんでしょ?」美咲は、そのやり方に懐疑的である。
「まぁね。周りもやっていることだしね。だったら、フェイスブックやツイッターで記事をどんどん上げていく方が、早いかもしれないな」
「サイトよりはSNSの方が効果的だと、私も思う」
「ちょっといい。そもそもなんだけど、私たちがイメージしているサービスの利用者って、高齢者なんでしょ? 高齢者って、ネットとかSNSは、あまり使わないんじゃないのかな?」
ネットかSNSかについて議論をする海斗と美咲に向って、七海が疑問を投げかけてきた。
「オレも、そう思う」拓海も同調する。
拓海の祖父母は、パソコンを使えないし、SNSもやっていない。何とか携帯電話のメールができるくらいだった。
ネットやSNSの使い方を教えてあげようかと言ったこともあったが、今さら難しいことを覚えたくはないと拒否られていた。
「言われてみりゃ、そうだよね」
海斗と美咲も、頷いた。
「ネットやSNSで宣伝しないんだったら、チラシみたいなのを作って、家のポストに入れていくやり方になるのかな?」
拓海は、ポストによく入っている不動産屋や弁当屋のチラシを思い浮かべた。
「それしかないんじゃない」美咲が頷く。
「印刷屋に頼んで作ってもらう?」
「自分たちで作れないかな? 印刷屋に頼むと、お金がかかるし」
印刷屋に頼むかという海斗の問いに、七海が、パソコンで作ったチラシをプリンターでプリントアウトし、チラシとして使えばよいのではないかという意見を口にした。
四人とも、自分専用のパソコンを持っている。プリンターも、どの家にもある。
宣伝に関しては、自分たちで作ったチラシをまくことに決まった。
「あと他に、商売に関することで決めなければならないことはあるかな?」拓海は、三人に確認した。自分の中では、特に思い当たらない。
三人も、思い当たらないという言葉を口にした。
「まずは、チラシ作りからだね……」
拓海は、これからやるべきことを頭の中で整理するために、三人に向って復唱した。チラシの内容を決めて、たくさんプリントアウトして、家のポストに配って歩く。そのうち、依頼の連絡が入り、四人の中の誰かが依頼者のもとに出向く。そして最後帰るときに、十分単位で計算した料金を現金でもらう。
「これって決めていなかったけど、当然、交通費は別にもらうんだよね?」海斗が、依頼者のもとに出向くときに交通機関を使った場合の交通費は、代金とは別にもらうということでよいのかを確認した。
「当然そうするべきだと思うけど、まずは、私たちの家の近所からやっていった方がいいんじゃない?」
七海が、いきなり交通機関を使って移動しなくてはならないほどのところにまでチラシを配るのかという意味を込めて口にする。
「近所はヤバくない? 親にばれる可能性が高いし」
「近所は、やめたほうがいいと思うな」
美咲と拓海が、口をそろえた。親にばれると、面倒なことになりそうな気がしたからだ。
「そうね。近所は、やめたほうがいいかもね。だったら、まず、自転車で移動できる範囲のところにチラシをまくことにしない?」
七海の意見に、三人は頷いた。もっともな意見であった。そもそも、移動に時間がかかるようでは、自分たちも大変になる。
チラシの内容に関しては、それぞれがパソコンで作ってみた上で、ファイルを全員で共有し、意見し合いながら一つにまとめていくことになった。
四人の間に、ほっとする空気が広がった。
四人は、席を立ち、ドリンクのお代りをしに行った。もう、店に入ってから二時間が過ぎていた。付近のテーブルの客は、全員が入れ替わっている。
「お腹すかない?」海斗が、腹に手を当てた。うんうんと、女子たちが頷く。拓海も、お腹がすいていた。
「ポテトでも頼もうか?」
「そうしよう」
ポテトを二人分注文し、四人でシェアすることにした。
「あと、どんなことを決めればいいんだろう?」拓海は、三人に問いかけた。
やろうとすることも料金も決まった。あとは行動するのみであったが、肝心なことを決めていないような気がしていた。
「宣伝かな?」ボソッと七海が呟く。
「話し相手が欲しいと思っている高齢者たちに、私たちのサービスを、どうやって伝えればいいんだろう」
(それだ!)拓海は、胸の中で声を上げた。それが肝心なことだった。自分たちがこういうサービスをしていますよということを知ってもらわないと、商売は始まらない。
「サイトを立ち上げてみる?」海斗が、宣伝するためのサイトを立ち上げることを提案した。海斗は、簡単なものであれば、一からホームページを作ることができる。
「サイトの中身を充実させて、少しでもネットの検索順位が上に来るように頑張るってやつか?」拓海は、ネット相談に関するアイデアを海斗が口にした時のことを思い浮かべた。
「でも、それって難しいんでしょ?」美咲は、そのやり方に懐疑的である。
「まぁね。周りもやっていることだしね。だったら、フェイスブックやツイッターで記事をどんどん上げていく方が、早いかもしれないな」
「サイトよりはSNSの方が効果的だと、私も思う」
「ちょっといい。そもそもなんだけど、私たちがイメージしているサービスの利用者って、高齢者なんでしょ? 高齢者って、ネットとかSNSは、あまり使わないんじゃないのかな?」
ネットかSNSかについて議論をする海斗と美咲に向って、七海が疑問を投げかけてきた。
「オレも、そう思う」拓海も同調する。
拓海の祖父母は、パソコンを使えないし、SNSもやっていない。何とか携帯電話のメールができるくらいだった。
ネットやSNSの使い方を教えてあげようかと言ったこともあったが、今さら難しいことを覚えたくはないと拒否られていた。
「言われてみりゃ、そうだよね」
海斗と美咲も、頷いた。
「ネットやSNSで宣伝しないんだったら、チラシみたいなのを作って、家のポストに入れていくやり方になるのかな?」
拓海は、ポストによく入っている不動産屋や弁当屋のチラシを思い浮かべた。
「それしかないんじゃない」美咲が頷く。
「印刷屋に頼んで作ってもらう?」
「自分たちで作れないかな? 印刷屋に頼むと、お金がかかるし」
印刷屋に頼むかという海斗の問いに、七海が、パソコンで作ったチラシをプリンターでプリントアウトし、チラシとして使えばよいのではないかという意見を口にした。
四人とも、自分専用のパソコンを持っている。プリンターも、どの家にもある。
宣伝に関しては、自分たちで作ったチラシをまくことに決まった。
「あと他に、商売に関することで決めなければならないことはあるかな?」拓海は、三人に確認した。自分の中では、特に思い当たらない。
三人も、思い当たらないという言葉を口にした。
「まずは、チラシ作りからだね……」
拓海は、これからやるべきことを頭の中で整理するために、三人に向って復唱した。チラシの内容を決めて、たくさんプリントアウトして、家のポストに配って歩く。そのうち、依頼の連絡が入り、四人の中の誰かが依頼者のもとに出向く。そして最後帰るときに、十分単位で計算した料金を現金でもらう。
「これって決めていなかったけど、当然、交通費は別にもらうんだよね?」海斗が、依頼者のもとに出向くときに交通機関を使った場合の交通費は、代金とは別にもらうということでよいのかを確認した。
「当然そうするべきだと思うけど、まずは、私たちの家の近所からやっていった方がいいんじゃない?」
七海が、いきなり交通機関を使って移動しなくてはならないほどのところにまでチラシを配るのかという意味を込めて口にする。
「近所はヤバくない? 親にばれる可能性が高いし」
「近所は、やめたほうがいいと思うな」
美咲と拓海が、口をそろえた。親にばれると、面倒なことになりそうな気がしたからだ。
「そうね。近所は、やめたほうがいいかもね。だったら、まず、自転車で移動できる範囲のところにチラシをまくことにしない?」
七海の意見に、三人は頷いた。もっともな意見であった。そもそも、移動に時間がかかるようでは、自分たちも大変になる。
チラシの内容に関しては、それぞれがパソコンで作ってみた上で、ファイルを全員で共有し、意見し合いながら一つにまとめていくことになった。
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