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序章
6、その後
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「どうだった?」
マリアたちの表情で答えはわかり切っているだろうに宿に入るや否やルアンは律儀にもそう2人に訊いてきた。
「ダメだった。あいつにとってマリアは邪魔者なんだと」
「……そうか」
マリアの目から大粒の涙が零れ落ちていた。ウーノの言葉を聞いて今になってやっと現実味を帯びてきたのだろう。漸く声に出して泣き出した。
そんなマリアを2人は必死で宥めていた。
そんな中ローザがやって来た。彼女もやはり結果は気になっていたのだろう。
「その様子だとダメだったようだな……」
「ああ」
ローザはただ一言それだけ訊くと黙り込んだ。
「マリアはただ母親に拒絶されたんじゃねぇ。邪魔だと言い切られたんだ。それがどれだけマリアにとってショックだったのかは俺には想像もつかねぇ。今はただ時間が解決するのを待つだけだ」
マリアは泣き疲れていつの間にか眠ってしまっていた。
「そうだな。母親が心変わりをせん限り、時間が解決するのを待つ他ない」
その寝顔を見ながら大人たちはどうしたものかと思案に暮れていた。
結局マリアが起きたのはお昼を過ぎた頃だった。
その頃には大人たちの間で暫くこの件には触れないことで話が纏まっていた。
少し遅いお昼を食べた後、マリアとローザはローザの家にいた。ウーノたちは来ていない。いつまでも一緒にいるわけにはいかないという判断からだった。
「ほれ、この部屋を使え」
ローザに案内されたのは2階の一室だった。狭いながらも必要最低限の家具はそろっており、何よりも清潔だった。昨日のあの後ローザがマリアのために掃除をしていたことが窺い知れる。
「明日はおまえの服を買いに行こうか。いつまでもその服のままってわけにはいかないだろう?」
「うん。ありがとう」
「そういう時はありがとうではなく、ありがとうございますと言うんだよ」
既にローザによる教育は始まっていた。
「わかった。ありがとうございます」
「はぁ……わかりましただ。暫く最後にですますを付けて話しな」
「わかりました」
その日は疲れていたこともあり、ローザと少し話をした後は夕飯も食べずにすぐに眠ってしまった。
次の日からのマリアの日々は実に規則正しいものだった。朝早くから起きて朝食の用意の手伝い。朝食後は魔術の基礎と礼儀作法を叩き込まれ、午後はローザの手伝いをして過ごした。
ローザはマリアに最低限の衣類は買い与えたが、それ以降は洋服代ぐらいは自分で稼げと、手伝いをする度に細々とした小遣いを与えていた。
最初のうちは辛くて泣くこともあった。だが音を上げるようなことは決してなく、その度にローザもマリアを励ましていた。
時が経つにつれて近所の人々のローザの評価がマリアとは違うことに気づいた。皆、ローザが変わり者だと言うが決してそうではない。ただ少し天邪鬼なところがあるが根は優しい。それがマリアのローザに対する感想だった。
最初のうちはウーノたちも心配だったのだろう。頻繁に訪ねてきていたが、次第にその間隔は空くようになっていき、1年が経つ頃には数か月に1回顔を見せるかどうかとなっていた。
月日は瞬く間に流れて行き、気づけばマリアは10歳の誕生日を迎えていた。
マリアたちの表情で答えはわかり切っているだろうに宿に入るや否やルアンは律儀にもそう2人に訊いてきた。
「ダメだった。あいつにとってマリアは邪魔者なんだと」
「……そうか」
マリアの目から大粒の涙が零れ落ちていた。ウーノの言葉を聞いて今になってやっと現実味を帯びてきたのだろう。漸く声に出して泣き出した。
そんなマリアを2人は必死で宥めていた。
そんな中ローザがやって来た。彼女もやはり結果は気になっていたのだろう。
「その様子だとダメだったようだな……」
「ああ」
ローザはただ一言それだけ訊くと黙り込んだ。
「マリアはただ母親に拒絶されたんじゃねぇ。邪魔だと言い切られたんだ。それがどれだけマリアにとってショックだったのかは俺には想像もつかねぇ。今はただ時間が解決するのを待つだけだ」
マリアは泣き疲れていつの間にか眠ってしまっていた。
「そうだな。母親が心変わりをせん限り、時間が解決するのを待つ他ない」
その寝顔を見ながら大人たちはどうしたものかと思案に暮れていた。
結局マリアが起きたのはお昼を過ぎた頃だった。
その頃には大人たちの間で暫くこの件には触れないことで話が纏まっていた。
少し遅いお昼を食べた後、マリアとローザはローザの家にいた。ウーノたちは来ていない。いつまでも一緒にいるわけにはいかないという判断からだった。
「ほれ、この部屋を使え」
ローザに案内されたのは2階の一室だった。狭いながらも必要最低限の家具はそろっており、何よりも清潔だった。昨日のあの後ローザがマリアのために掃除をしていたことが窺い知れる。
「明日はおまえの服を買いに行こうか。いつまでもその服のままってわけにはいかないだろう?」
「うん。ありがとう」
「そういう時はありがとうではなく、ありがとうございますと言うんだよ」
既にローザによる教育は始まっていた。
「わかった。ありがとうございます」
「はぁ……わかりましただ。暫く最後にですますを付けて話しな」
「わかりました」
その日は疲れていたこともあり、ローザと少し話をした後は夕飯も食べずにすぐに眠ってしまった。
次の日からのマリアの日々は実に規則正しいものだった。朝早くから起きて朝食の用意の手伝い。朝食後は魔術の基礎と礼儀作法を叩き込まれ、午後はローザの手伝いをして過ごした。
ローザはマリアに最低限の衣類は買い与えたが、それ以降は洋服代ぐらいは自分で稼げと、手伝いをする度に細々とした小遣いを与えていた。
最初のうちは辛くて泣くこともあった。だが音を上げるようなことは決してなく、その度にローザもマリアを励ましていた。
時が経つにつれて近所の人々のローザの評価がマリアとは違うことに気づいた。皆、ローザが変わり者だと言うが決してそうではない。ただ少し天邪鬼なところがあるが根は優しい。それがマリアのローザに対する感想だった。
最初のうちはウーノたちも心配だったのだろう。頻繁に訪ねてきていたが、次第にその間隔は空くようになっていき、1年が経つ頃には数か月に1回顔を見せるかどうかとなっていた。
月日は瞬く間に流れて行き、気づけばマリアは10歳の誕生日を迎えていた。
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