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第一章 入学と第二王子
入学(3)
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時は少し戻る。
マリアと別れたローザは講堂の前にいた。
「何をしに来たんだ平民が!」
いかにも貴族といった感じの男がそう言い捨てた。
「ここは平民の来る場所じゃない、帰れ!」
見た目は上品そうな女性がそう罵る。
幼い子供達もローザを睨んでいた。
そう、ローザは行動の中に一歩も入れずにいた。ここから一歩でも近づくと魔術が雨のように降り注ぐ。
だからといってローザの中に帰るという選択肢はなかった。
(さて、どうしたものかねぇ)
攻撃が迫っているにも関わらずローザは動く気配がなかった。
「馬鹿め! 自殺する気か!」
この言葉のとおり、降り注ぐ魔術のどれが当たっても間違いなく死亡するだろう。
だが、ローザにはたとえ防御のための魔術であろうと使用した時点でそれを理由に殺されるであろうことがわかった。結局死ぬのが早いか遅いかの違いしかない。
それでもローザの目からは光が消えていなかった。
ローザの体に当たる直前、ついにローザが動いた。攻撃を全て必要最小限の動きで紙一重でよけていく。
地面に当たった攻撃が土埃を巻き上げ、貴族たちからはローザの姿が見えなくなった。
「恥知らずにも平民がここに来るからだ」
ローザが死んだことを確信したのだろう、貴族の中の一人がそう呟いた。
土埃が収まってきてローザの姿が見えてきた。
「何!」
ローザは無傷だった。あえて被害を上げるとすれば土埃で服が少し汚れたことぐらいだろうか。
そう、ローザは純粋な身体能力だけでよけきってみせたのだ。
「う、嘘だろ」
「人間技じゃねぇ」
貴族たちの顔が恐怖で真っ青になった。
「な、何らかの魔術を使ったに決まっている!何をした!」
「何も使っておらんよ。それはあんただったらわかるだろう?」
ローザが話しかけたのは隅で座り込んで震えている10代後半の貴族の青年だった。
青年は魔力を見ることができる魔眼の持ち主だった。だからこそローザの言葉が正しいことがわかってしまったのだ。
「あ、あ、ああ」
そんな青年を周りの貴族たちは冷ややかな侮蔑のこもった眼差しで見下ろした。
「貴族の恥さらしが!」
この青年はまだ運が良かったといえるだろう。……他の貴族たちの末路に比べたら。
「確か王国法じゃたとえ相手がどんな身分であろうと殺されそうになった者はその相手に対して反撃が認められていたね?」
ローザは微笑みを浮かべた。
その日学園には貴族たちの悲鳴が響いたとか響かなかったとか。
マリアと別れたローザは講堂の前にいた。
「何をしに来たんだ平民が!」
いかにも貴族といった感じの男がそう言い捨てた。
「ここは平民の来る場所じゃない、帰れ!」
見た目は上品そうな女性がそう罵る。
幼い子供達もローザを睨んでいた。
そう、ローザは行動の中に一歩も入れずにいた。ここから一歩でも近づくと魔術が雨のように降り注ぐ。
だからといってローザの中に帰るという選択肢はなかった。
(さて、どうしたものかねぇ)
攻撃が迫っているにも関わらずローザは動く気配がなかった。
「馬鹿め! 自殺する気か!」
この言葉のとおり、降り注ぐ魔術のどれが当たっても間違いなく死亡するだろう。
だが、ローザにはたとえ防御のための魔術であろうと使用した時点でそれを理由に殺されるであろうことがわかった。結局死ぬのが早いか遅いかの違いしかない。
それでもローザの目からは光が消えていなかった。
ローザの体に当たる直前、ついにローザが動いた。攻撃を全て必要最小限の動きで紙一重でよけていく。
地面に当たった攻撃が土埃を巻き上げ、貴族たちからはローザの姿が見えなくなった。
「恥知らずにも平民がここに来るからだ」
ローザが死んだことを確信したのだろう、貴族の中の一人がそう呟いた。
土埃が収まってきてローザの姿が見えてきた。
「何!」
ローザは無傷だった。あえて被害を上げるとすれば土埃で服が少し汚れたことぐらいだろうか。
そう、ローザは純粋な身体能力だけでよけきってみせたのだ。
「う、嘘だろ」
「人間技じゃねぇ」
貴族たちの顔が恐怖で真っ青になった。
「な、何らかの魔術を使ったに決まっている!何をした!」
「何も使っておらんよ。それはあんただったらわかるだろう?」
ローザが話しかけたのは隅で座り込んで震えている10代後半の貴族の青年だった。
青年は魔力を見ることができる魔眼の持ち主だった。だからこそローザの言葉が正しいことがわかってしまったのだ。
「あ、あ、ああ」
そんな青年を周りの貴族たちは冷ややかな侮蔑のこもった眼差しで見下ろした。
「貴族の恥さらしが!」
この青年はまだ運が良かったといえるだろう。……他の貴族たちの末路に比べたら。
「確か王国法じゃたとえ相手がどんな身分であろうと殺されそうになった者はその相手に対して反撃が認められていたね?」
ローザは微笑みを浮かべた。
その日学園には貴族たちの悲鳴が響いたとか響かなかったとか。
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