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第十章
商談(2)
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幸いなことにモーガンはすぐに意識を取り戻した。
「⋯⋯今、大変理解し難いことを聞いたような気がするのですが」
「シュネー商会が王家が経営する商会で私が第二王女だってこと?」
「⋯⋯聞き間違いじゃなかったのか。聞き間違いであって欲しかった⋯⋯」
ブツブツと呟くモーガンを無視してエーアリアスは本題に入る。
「そんなことよりも、今回そちらの商会で販売して欲しい商品なのだけれど⋯⋯」
「そんなことじゃないです。なんていう爆弾を投げてくれているんですか⁉」
「別にエーデルだったら一定程度以上の大きな商会なら知ってる話だし、隠してるわけではないの。だから別に漏らそうが何しようが構わないの。それにもし何かエーデル関連で困ったことがあれば過度なことはできないけど多少は王家が力になるの。まぁそれはこの商談が纏まったらだけど⋯⋯」
そう言いながら商品を並ばさせる。
「それで今回卸したいのはこの布とそちらのアクセサリーなの」
そして意識をテーブルに向けさせ、無理矢理話を本題に入らせた。
「これは⋯⋯どれも見事としか言いようがありませんね。流石名高いエーデルの物だけはある」
その言葉にエーアリアスは目をぱちくりさせた。
「そう言って貰えるのは光栄だけど、こちらはどれもエーデルでは大した値段の付かない物なの」
「はい?」
「嘆かわしいことにここ数か月の間に急に単色のただの織っただけの布よりも模様とかが入った物が良いという風潮が生まれて値段が暴落してしまったの⋯⋯孤児院の運営資金の一部は子ども達が織ったそんな布を売ったお金だから色々と経営に支障が出てしまって、緊急措置として国で纏めて買い取ったのだけど売るところがなくて⋯⋯いつまでも城に置いておくわけにも行かないし、今回格安で国外に輸出することにしたの」
そう言いながら布を1枚1枚広げてみせる。
「それですと、こちらの布は今回限り、ということですか?」
「それが⋯⋯荷馬車で千を軽く超える量があって⋯⋯正直困ってるの。だからそれらの──言い方は悪いけど在庫処分が終わるまでなの。そっちのネックレスとかは半永続的に卸せるの。もともとそれをエルドラントで売る予定はあったし、ついでなの」
そう言って金属製の髪飾りや指輪をモーガンの方にそっと押し出す。それらはどれも色とりどりに輝く鉱石が飾りとして1つずつ付いている。
「⋯⋯ついで、ですか?」
「そうなの。ちょうど良い機会だったの。布の方は馬鹿みたいに高い関税以外はそちらの言い値で良いの。髪飾りは1つ銀貨1枚がこちらの希望なの」
「それはまた⋯⋯随分と高いですね」
庶民が手を出しづらい金額設定に苦い顔をする。
「飾りに使っている石がただの石ではなくて魔石を加工したものなの。一応一度だけ怪我を即時に治療できるやつと、一度だけ障壁を張れるやつがあるの。使うと割れちゃうし、大怪我は完全には治せないし、障壁は強度が弱めだけど、それでもそれを考えれば安いと思うの」
「それは⋯⋯装飾品と言うよりもマジックアイテムでは?」
「そうとも言うの。まぁお守りみたいなものなの。それに、そちらが利益を乗せても一般庶民が手を出せない金額にはならないでしょう?」
「⋯⋯まぁ、多少無理をすればなんとか買えそうではありますね。普段使いにするには高すぎる気もしますが⋯⋯」
それでもマジックアイテムであることも考慮すれば十分売れる金額だと頷いてみせる。
「それでこちら側の条件は以上なの。あとはそっちで判断して欲しいの。質問があれば答えるの」
モーガンは少し考えこんでから口を開いた。
「⋯⋯販売の際にシュネー商会の名前を出すことは?」
「勿論構わないの」
「一度に卸せる量と頻度はどれぐらいでしょう?」
「月1で布が全部で100巻き、治癒のネックレスと腕輪が30、指輪が20、髪飾りは各種10ずつ、障壁の方も同じなの」
言い忘れていたと少し慌てる。
「十分すぎるほどですね。それでしたら布は茶色と黒が多めで月50で契約させてください」
その返答にエーアリアスは満面の笑みを浮かべた。
「布の値段は?」
「関税抜きで1巻き──」
話し合いが終わったのはそれから数十分後のことだった。
「⋯⋯今、大変理解し難いことを聞いたような気がするのですが」
「シュネー商会が王家が経営する商会で私が第二王女だってこと?」
「⋯⋯聞き間違いじゃなかったのか。聞き間違いであって欲しかった⋯⋯」
ブツブツと呟くモーガンを無視してエーアリアスは本題に入る。
「そんなことよりも、今回そちらの商会で販売して欲しい商品なのだけれど⋯⋯」
「そんなことじゃないです。なんていう爆弾を投げてくれているんですか⁉」
「別にエーデルだったら一定程度以上の大きな商会なら知ってる話だし、隠してるわけではないの。だから別に漏らそうが何しようが構わないの。それにもし何かエーデル関連で困ったことがあれば過度なことはできないけど多少は王家が力になるの。まぁそれはこの商談が纏まったらだけど⋯⋯」
そう言いながら商品を並ばさせる。
「それで今回卸したいのはこの布とそちらのアクセサリーなの」
そして意識をテーブルに向けさせ、無理矢理話を本題に入らせた。
「これは⋯⋯どれも見事としか言いようがありませんね。流石名高いエーデルの物だけはある」
その言葉にエーアリアスは目をぱちくりさせた。
「そう言って貰えるのは光栄だけど、こちらはどれもエーデルでは大した値段の付かない物なの」
「はい?」
「嘆かわしいことにここ数か月の間に急に単色のただの織っただけの布よりも模様とかが入った物が良いという風潮が生まれて値段が暴落してしまったの⋯⋯孤児院の運営資金の一部は子ども達が織ったそんな布を売ったお金だから色々と経営に支障が出てしまって、緊急措置として国で纏めて買い取ったのだけど売るところがなくて⋯⋯いつまでも城に置いておくわけにも行かないし、今回格安で国外に輸出することにしたの」
そう言いながら布を1枚1枚広げてみせる。
「それですと、こちらの布は今回限り、ということですか?」
「それが⋯⋯荷馬車で千を軽く超える量があって⋯⋯正直困ってるの。だからそれらの──言い方は悪いけど在庫処分が終わるまでなの。そっちのネックレスとかは半永続的に卸せるの。もともとそれをエルドラントで売る予定はあったし、ついでなの」
そう言って金属製の髪飾りや指輪をモーガンの方にそっと押し出す。それらはどれも色とりどりに輝く鉱石が飾りとして1つずつ付いている。
「⋯⋯ついで、ですか?」
「そうなの。ちょうど良い機会だったの。布の方は馬鹿みたいに高い関税以外はそちらの言い値で良いの。髪飾りは1つ銀貨1枚がこちらの希望なの」
「それはまた⋯⋯随分と高いですね」
庶民が手を出しづらい金額設定に苦い顔をする。
「飾りに使っている石がただの石ではなくて魔石を加工したものなの。一応一度だけ怪我を即時に治療できるやつと、一度だけ障壁を張れるやつがあるの。使うと割れちゃうし、大怪我は完全には治せないし、障壁は強度が弱めだけど、それでもそれを考えれば安いと思うの」
「それは⋯⋯装飾品と言うよりもマジックアイテムでは?」
「そうとも言うの。まぁお守りみたいなものなの。それに、そちらが利益を乗せても一般庶民が手を出せない金額にはならないでしょう?」
「⋯⋯まぁ、多少無理をすればなんとか買えそうではありますね。普段使いにするには高すぎる気もしますが⋯⋯」
それでもマジックアイテムであることも考慮すれば十分売れる金額だと頷いてみせる。
「それでこちら側の条件は以上なの。あとはそっちで判断して欲しいの。質問があれば答えるの」
モーガンは少し考えこんでから口を開いた。
「⋯⋯販売の際にシュネー商会の名前を出すことは?」
「勿論構わないの」
「一度に卸せる量と頻度はどれぐらいでしょう?」
「月1で布が全部で100巻き、治癒のネックレスと腕輪が30、指輪が20、髪飾りは各種10ずつ、障壁の方も同じなの」
言い忘れていたと少し慌てる。
「十分すぎるほどですね。それでしたら布は茶色と黒が多めで月50で契約させてください」
その返答にエーアリアスは満面の笑みを浮かべた。
「布の値段は?」
「関税抜きで1巻き──」
話し合いが終わったのはそれから数十分後のことだった。
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