こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第四章 護衛依頼

十四日目(3) 朝食

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 4人は魔物を片っ端から解体し始めた。
 驚いたことにC、Bランクが中心でいくつかAランクも混じっていた。

「こういう時、高かったけど5級のアイテムポーチを買って良かったと思うわ」

 エリザベートはしみじみと呟いた。

「そうだね~。入りきらないと勿体ないもんね」
「……今の言葉で何かが台無しになったような気がするのは私だけ?」
「安心しろ、僕もだ。それよりも手を動かせ、終わらないぞ」

 諭され、止まっていた手を再び動かし始めた。

「なんか前にも似たことがあったような……?」

 何やかんやで全て解体するのに1時間近くかかり、アイテムポーチも9割ほど埋まった。

「朝ご飯を作らなくちゃいけないんだけど……皆疲れてるみたいだし、簡単なもので良かったら私作るけど」
「お願い」
「僕が手伝ったらかえって時間がかかる気がするから大人しくしているよ」
「お言葉に甘えさせて貰う」
「わかった」

 マリアは三者三様な返事を聞くと、昨夜と同じように魔術で簡易の窯を作り出し、火を入れた。そして温まるのを待つ間にホールに小麦粉、塩、水を適量入れると手早く混ぜ、一纏めにした。それを適当な大きさに分け、丸めるとその中の一つでスライスチーズを包み、薄く伸ばした。そして丁度良い温度になった窯の中に入れた。

「焼いてる間に他もやっちゃわないと」

 残った5つの内の2つを、同じように焼く直前の状態にすると今度はパトタ(ポテト)、アヌアン(オニオン)を薄く切り、予め作ってあったタミタ(トマト)のソースと一緒に残りの生地に入れ、伸ばした。

「そろそろ良いかな?」

 4枚目が出来た辺りで窯の中の様子を見るとほど良く焼き色がついていた。それを取り出し、皿に載せた。

「1枚目焼けたよ~。冷める前に食べちゃって。私は気にしなくて良いから」

 エリザベートに皿を渡すと2枚目を――今度は伸ばしたばかりの野菜入り――を入れた。
 残りも同じように後は焼くだけの状況にしたところで2枚目が焼けた。
 マリアはそれを出し、3枚目を入れるとそれを持って3人の方に行った。

「あれ?食べてなかったの?」

 3人は食べずにマリアを待っていた。

「気にせず食べろとは言われたけど……」
「なんか悪いしな」
「まぁぶっちゃけどう食べれば良いのかわからなかっただけなんだけどね」
「ちょっ!それは言わない約束!」
「あ~ごめんごめん」

 マリアは謝りながらそれぞれを四等分に切った。

「中身はチーズのと野菜の二種類にしたよ。気にせずに手に持って齧っちゃって」

 そう言うと早速とばかりにチーズ入りの方を手に取り齧った。その際溶けたチーズがほど良く伸びた。

「?どうしたの?冷めちゃうと美味しくないよ」

 食べる様子のない3人に心配そうに訊いた。

「あっ、いや、何でもない。冷めてしまうし食べてしまおう」
「そうそう、冷めちゃうしね」

 誤魔化すように笑いながらそれぞれ好きな方を手に取った。

「まだ焼いてるからお代わりあるからね」

 そう言ってマリアは焼き加減を見るために席を立った。
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