こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第五章 エイセルの街

アーティス&アルフォードの場合(2)

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「はぁ、これ以上言い合ってても不毛なだけか」

 アルフォードは深く溜息を吐くと再度アリアに目を向けた。

「で、その女性が魔力病かどうかだが……アーティスの予想通り魔力病で間違いないと思うぞ」
「そ、それで治療法は!?」

 アルフォードの断言にジャンは瞳を輝かせた。

「落ち着け。治療法よりも先に魔力病について説明した方が良いな。これは自身の魔力に体を侵される病だ。治療法はその魔力を減らしてやるか制御できるようにすれば良い。……どんなに早くとも半年はかかるがな。様子を見る限りそこまでは持たないだろう」
「そんな……」

 希望が現れた矢先にそれが否定され、ジャンは絶望に蒼白になった。

「ただしそれはその技能を身に付けようとしたらの話だ。方法がないわけじゃない」
「何だ!?それは!」
「自分で外に出せないなら、外から無理矢理吸い出してやれば良い」

 アルフォードはニヤリと笑った。 そしてレインに目で合図してペンダントを持って来させた。蝶を模してあり、羽の部分には淡い紅色の宝石が嵌まっていた。

「これは?」
「大した効果はないが、一応魔道具の一種だ。これは身体強化だな。着けている者から自動的に魔力を吸い取って起動する。どうせ殆ど寝たきり状態で筋力も低下しているだろう?多少はましになる筈だ」
「ではこれを身に付けていれば良いのか?」
「いや、これはただの応急処置だ。最終的には魔力の制御を覚えてもらう」
「えっ?でもそれがあれば大丈夫なんじゃ……」

 ジャンは困惑した。

「魔道具は所詮物だ。いつかは壊れる。これはタダでやるが買えば魔道具は金貨どころか白金貨が飛んでいくこともザラだぞ?お前に払えるのか?」
「……」

 ジャンは押し黙った。白金貨と言えば、人家族が倹約して過ごせば2年は暮らせる金額だ。ジャンに払えるわけがなかった。

「それにな、メリットだってあるんだぞ?」
「えっ?」
「魔力を制御できれば魔術だって覚えられる。魔術師がどれだけ希少かぐらい知っているだろう?」
「……はい、でも」
「危険なことはさせたくないと?」
「はい……」

 ジャンは消え入りそうな声で答えた。

「あのなぁ、誤解しているようだが魔術師がいつもいつも冒険者のような危険なことばかりしているとは限らないんだぞ?確かにそのイメージは強いがな。これのような魔道具を作るのだって魔術師の仕事だ。まぁ、本人の資質にもよるがな」
「で、でもそれにはかなりのお金がかかるんじゃ……」
「王都には学費が無料の魔術学園がある。王都までの旅費ぐらいなら用立ててやれるし、なんだったらお前の職も斡旋してやる。それでは不満か?」
「い、いや、そんな……でもなんでそこまでしてくれるんだ?」
「お前のような者を見ると無性に応援してやりたくなるんだ。……それだけだ」

 アルフォードは困ったようでいてどこか楽し気に笑った。
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