こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第五章 エイセルの街

エリザベートの場合(9)

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「別にいじめてるわけじゃないのよ。ただその可能性があるってだけで。それで提案なんだけど、あなた冒険者登録しているのよね?」
「うん」
「私たちのパーティーに入らない?あなた魔術に興味を持っていたみたいだけど、良かったら教えるわよ?勿論しばらく考えてもらって構わないわ」

 リオナは目をせわしなく動かした。

「あの、私、この街はお母さんが元に戻るまでは出ていたくないの。それに私は戦闘なんてできないし。でももしそれでお母さんを治せるなら、魔術は習いたい。無茶を言っているのはわかるけど……」
「……私は回復系は使えないのよ」

 リースは申し訳なさそうに言った。

「エリザベートは教えられる?」

 リオナはその時になって初めて男たちの傷の大半が塞がっていることに気がついた。

「えっ?なんで……?」
「う~ん、私、教えるのは苦手なのよね。それに適性があるとは限らないし。王都まで来られるんだったら魔術学園に通うっていう手段はあるけど、お勧めはしないわ」
「それはなんでかしら?」
「学園の中では身分は関係がないってことになっているけど、それは建前だけ。入ったら馬鹿貴族どもにいじめられることは目に見えているもの。現にマリアが平民ってだけで馬鹿にされるのを近くで見てきたもの」

 エリザベートは苦々しく言った。

「エリザお姉ちゃんは貴族なの?」
「……男爵家の三女だけどね」

 エリザベートは苦笑いした。

「私の持っている力なんて、その辺の豪商よりも弱いわ」
「そうなの?」
「人望はそれなりにあるけどね」
「へぇ~」
「驚かないのね?」
「だって、エリザお姉ちゃんって、ちょっとその辺の人とはちがう気がするもん」

 この話は一時保留となった。

「とりあえず、リオナを送りましょうか?エリザベートもそこに泊まっているのよね?」
「ええ」

 エリザベートの願いも虚しく、リースとリアリスも代官屋敷までついてくることになった。

(どうかグレンに会いませんように。会っても正体に気がつきませんように)

 エリザベートは祈りながら屋敷までの道を重い足取りで歩いた。
 途中詰所に寄って、男たちを引き渡した後、30分ほどで屋敷に到着した。

「どういうメンバーだ?うちで預かっている子にレイン様の客人。それにエルフって」
「……色々あったのよ」

 リースとリアリスは剣を預けるように言われたが、身体検査の類はなく中に入れた。

「警備がこんな笊で良いのかしらね?」

 首を傾げているのはリースだけだった。
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