こうして少女は最強となった

松本鈴歌

文字の大きさ
185 / 464
第六章 王都への帰路

アイテムポーチ

しおりを挟む
「こんにちは~!」
「アイテムポーチ、できていますか~!?」

 マリアとアルフォードの声が店内に響いた。

「おや、誰かと思ったらお前たちかい。アイテムポーチならできてるよ。今持ってくるから待っていな」

 そう言ってフェジーは奥に引っ込むと、すぐに小ぶりな箱を持って戻ってきた。

「これが頼まれていたアイテムポーチだよ。そこの2人の分も作るのかい?」
「話が早くて助かります。お金はあるのでお願いします」
「完成は1週間後だよ。これらとデザインは共通にするのかい?」
「はい。細かいところは本人の希望を聞いてください」
「わかったよ。2人ともこっちに来な」

 リオナとグレンはフェジーに引き擦られていった。

「……じゃあ私たちはできたやつの確認と、中身の入れ替えをしましょうか?」
「そうだね」
「ああ」
「……ああ」

 エリザベートが何事もなかったかのように言った。アーティスはそれがどこか釈然としないようだった。

「……今思えば全くの偶然だけど、こんなに私たちにピッタリなモチーフってないよね?」
「そうね」

 箱から出されたアイテムポーチには全て蔓薔薇に囲まれた龍が刺繍されていた。アイテムポーチ自体の色は汚れが目立たないという理由で漆黒になっていた。

「え~と、青薔薇に銀色の龍が私で、赤薔薇に銀色の龍がエリザだったよね?」
「そうよ。緑の薔薇に茶色の龍がアルで、青薔薇に金色の龍がアーティスね」

 いちいち名前が呼ぶには長すぎるという理由で、エイセルの屋敷に滞在していたのを機に、エリザベートもアルフォードをアルと呼ぶようになっていた。
 ちなみにこの刺繍、それぞれの瞳の色が薔薇の色で、龍の色が髪の色になっており、パッと見てわかりやすくなっている。
 葉と蔓の色が萌葱色、アルフォードの薔薇の花の色が鶸萌黄となっており、色が被ることを避けつつ、落ち着いた色合いになっている。また、マリアとエリザベートの銀色の龍も、正確にはマリアが卯の花色、エリザベートが桜色となっており、若干色味が違う。また、バラの色もマリアが鮮やかな夏の空のような青、アーティスが淡い水色となっている。アルフォードの茶色の龍も胡桃色で、見辛いということもない。
 また、それ以外の縫い合わせている糸も、龍か薔薇の色と同系色の色になっている辺りに、並みならぬこだわりが見える。

「機能性を考えたら、形なんてほとんどパターンなんてないけど、糸の色って多いからね」
「選ぶだけで大変よね」
「リオなんか紫系の色ばっかりだから選ぶの大変じゃないかな?」
「グレンは縫い糸を選ぶのが大変そうね」
「気長に待つか」

 その後、グレンが10分ほどで決めたが、縫い糸が派手すぎるとエリザベートに却下されたり、リオナが同系色ばかりのため、選ぶのに苦労したりしたため、店を出るのはお昼を回る頃になっていた。
 支払いを済ませると、1週間後にまた来ることを約束して店を出た。

☆★☆★☆

書いていて、目や髪の色を描写し忘れていたことに気がつきました。登場人物紹介の方にその情報を追加しましたので、よろしければご覧ください。
しおりを挟む
感想 131

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...