こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第六章 王都への帰路

スープ作り

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「でもこんなに野菜を切ってどうするんだ?」

 大量のパンを焼き終えたところで、アルフォードは不思議そうにマリアに尋ねた。

「えっ?どうするって、煮るに決まってるじゃない」

 そう言いながら取り出された鍋を見て頬を引きつらせた。

「……大きすぎないか?」
「そう?」

 直径がマリアの腕を広げた長さと同じくらいの鍋を見た皆は固まっていた。
 それを気にすることなく、すでに切り終わっていた野菜を放り込んでいった。

「『《ウォーター》』」

 竈に乗せると水を野菜が全て浸るまで入れた。

「『《ファイア》』」

 火を入れると満足気に頷いた。

「誰か焦げないようにかき回してくれる?」
「どれくらい?」
「う~ん、様子を見ながらだけど、とりあえず1時間以上は」
「……わかった」

 アーティスは文句も言わず、ひたすらかき混ぜ始めた。
 その横でマリアは様子を見ながら野菜を足していった。

「……それじゃあしばらくこのまま混ぜといてね。何かあったら声をかけて」
「えっ?ちょっ!?」

 マリアはにっこり微笑むと、アーティスを放置して他の者に声をかけた。

「じゃあ手間がかかるのはアーティスがやってくれるから、こっちは普通のスープを作ろうか?」
「……アーティスはほっといていいの?」
「焦げないように混ぜることぐらい、誰だってできるでしょ?大丈夫だと思うよ、リオ」

 そんな会話をアーティスは涙目で聞いていたのだが、アーティスが何かを口にすることはなかった。

(誰でもできるって、僕には難しいんだけど!?)

 マリアは鼻歌を歌いながら小さな鍋を3つ取り出した。

「リオは簡単な料理はできるよね?」
「うん、いちおう一通りは」
「今日は皆に簡単なスープぐらいは自力で作れるようになってもらおうと思っていたんだけど、リオは教える方に回ってくれる?……特にグレンが心配だから」
「わかった」

 リオナは納得の色を浮かべ、深く頷いた。

「それじゃあ3人とも、鍋に根菜を入れて。具材は後で追加するから少ないぐらいで丁度良いと思うよ」

 マリア主導で3人に教え始めたが、エリザベートは最初から具材を入れすぎる。グレンはなかなか煮えないことに腹を立て、自分で出した炎で鍋を焦げ付かせるという騒動に発展した。その結果、まともに完成したのは、マリアの指示に忠実に従ったアルフォードだけで、エリザベートは煮物、グレンは元々何だったかも判別ができない炭が完成した。

「……エリザは入れる具材を減らせば大丈夫だね。アルは特に言うことはないよ。しいて言えば、もっと包丁を使うのが上手になることかな?見ていて危なっかしいから。まぁ、こればっかしは慣れもあるから……。グレンは……台所に近づかないで」

 マリアは辛辣に言い放った。

「犠牲になった食材がもったいないし、何よりもグレンにやる気が感じられない。時間の無駄。そのうち台所を破壊し始めそうだし……」

 グレンはその後、夕食を食べ終わるまでマリアに悪かった点を延々と説教された。
 なお、アーティスはこれぐらいできて当然と言われ、その夜宿の部屋で泣いていたところをグレンに慰められていたという。
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