215 / 464
第六章 王都への帰路
マジックテント(4)
しおりを挟む
「そう言えばこの階段も無駄に豪華だよね」
階段を下りながらマリアはしみじみとそう呟いた。
「そういう注文だったからね」
階段自体は全て木製で落ち着いた印象だが、手すりには蔦が絡んだ彫刻が施されていた。
「……これが高いのって、そういう技術料もある気がする」
「よく見るとあっちこっち彫刻が入ってるしね……」
「?その割には置いてあった家具類はシンプルだったわね」
「……とりあえず使えるように適当な家具を入れておけと言われたからね。できるだけ安い品を入れておいたんだよ。……内装に見合った品だけあって、それなりの値段はするがね。売り払おうと何度も思ったが、高価すぎて売れなかったんだよ。私には金持ちのツテなんてないからね」
そんな説明を聞きながらいやに長い階段を下りきった。階段を下りた先には2つの扉があった。
「どっちに入っても造りは同じだよ」
そう言いながらフェジーは左のドアを開けた。
「……広いけど普通ね」
「……そうだね。広いけど……」
広さだけはあるが、ごくごく普通の更衣室だった。奥には浴室への扉がある。
エリザベートは拍子抜けしたようで浴室の扉を開け、そして固まった。
「……何……これ……」
今までの経験から浴室が広いことはわかり切っていた。だが、流石に天井はなく空が広がっているのは予想外だった。壁の一部もなく、遥か下方に雲海が広がっている。
「驚いたかい?いい景色だろう?」
驚いている6人にフェジーは満足気に笑った。
「……どうなっているんですか?」
「なに、ちょっと空間を繋いだだけだよ。雲の上だから雨が降る心配もない。高すぎて何か魔物が入ってくる心配もない。柵代わりに透明な障壁が張ってあるから誤って落ちる心配もない」
「……あなたは何者です?」
アルフォードは何かを見定めるようにフェジーを見た。
「一介の街のマジックアイテム屋兼錬金術師だよ」
「……誤魔化さないでください。普通の人間はそう簡単に空間を繋ぐだなんてできません。それに障壁を張るのにエネルギー源に魔石を使っている様子がない。障壁なんて燃費が悪いものの代表例にも関わらずだ。そんなことは城の、それも筆頭錬金術師ができるかどうかだ。もう一度訊きます。あなたは何者です?」
階段を下りながらマリアはしみじみとそう呟いた。
「そういう注文だったからね」
階段自体は全て木製で落ち着いた印象だが、手すりには蔦が絡んだ彫刻が施されていた。
「……これが高いのって、そういう技術料もある気がする」
「よく見るとあっちこっち彫刻が入ってるしね……」
「?その割には置いてあった家具類はシンプルだったわね」
「……とりあえず使えるように適当な家具を入れておけと言われたからね。できるだけ安い品を入れておいたんだよ。……内装に見合った品だけあって、それなりの値段はするがね。売り払おうと何度も思ったが、高価すぎて売れなかったんだよ。私には金持ちのツテなんてないからね」
そんな説明を聞きながらいやに長い階段を下りきった。階段を下りた先には2つの扉があった。
「どっちに入っても造りは同じだよ」
そう言いながらフェジーは左のドアを開けた。
「……広いけど普通ね」
「……そうだね。広いけど……」
広さだけはあるが、ごくごく普通の更衣室だった。奥には浴室への扉がある。
エリザベートは拍子抜けしたようで浴室の扉を開け、そして固まった。
「……何……これ……」
今までの経験から浴室が広いことはわかり切っていた。だが、流石に天井はなく空が広がっているのは予想外だった。壁の一部もなく、遥か下方に雲海が広がっている。
「驚いたかい?いい景色だろう?」
驚いている6人にフェジーは満足気に笑った。
「……どうなっているんですか?」
「なに、ちょっと空間を繋いだだけだよ。雲の上だから雨が降る心配もない。高すぎて何か魔物が入ってくる心配もない。柵代わりに透明な障壁が張ってあるから誤って落ちる心配もない」
「……あなたは何者です?」
アルフォードは何かを見定めるようにフェジーを見た。
「一介の街のマジックアイテム屋兼錬金術師だよ」
「……誤魔化さないでください。普通の人間はそう簡単に空間を繋ぐだなんてできません。それに障壁を張るのにエネルギー源に魔石を使っている様子がない。障壁なんて燃費が悪いものの代表例にも関わらずだ。そんなことは城の、それも筆頭錬金術師ができるかどうかだ。もう一度訊きます。あなたは何者です?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる