こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第六章 王都への帰路

フェジーの過去

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「そんなことを言われたのは初めてだよ」

 フェジーは困ったように笑った。

「……私は昔は王都に店を持っていた。貴族の常連だっていた。貴族といったって腹黒い貴族ではなく素晴らしい人格者ばかりだった」

 当時のことを懐かしがっているのか優し気な眼差しで笑った。

「どこかから噂を聞いたのか、ある日王女様がやって来た。懐中時計を注文したいと言われた。わたしゃ自分の腕を認められた気がして嬉しかった。王女様は私が作った時計を気に入ってくださって、それからも度々注文してくださった。その頃が私にとって一番楽しかった頃だよ」

◇◆◇

 あれは王女様が来店するようになってから1年が経った頃だったように思う。あの日も私は王女様───ローズマリー様の注文の各属性の魔石が付いた指輪を作っていた。
 大した仕事ではないけど、私のデザインが好きだと言って笑ってくださったローズマリー様の期待に答えようと、いつもより遅くまで工房に籠もっていた。
 深夜になってようやく帰路についた私は帰り道で何者かに襲われた。幸いと言っちゃなんだけど、人が通りかかったお陰で大事には至らなかった。犯人は未だにわかっていない。私は同業者じゃないかと思っている。
 ローズマリー様が出入りするようになってから大口の注文は全てうちに来るようになっていた。弱小工房のうちを大きな工房の者の妬みを買って当然だった。

 次の日、どこから聞いたのかわからないが私が襲われたと聞いてローズマリー様は早朝から飛んできた。

「フェジー!?襲われたって聞いたけど大丈夫?」
「大丈夫です。ちょっと頭を打っただけですから」

 ローズマリー様は今にも泣きそうだった。

「そう。良かった。あなたもいなくなってしまうのかと思ったわ」

 ローズマリー様は父親を、先々代の国王を亡くしたばかりだった。肉親を亡くしたばかりで感情が不安定なっていたのかもしれない。
 ローズマリー様は手をギュッと握って私に笑いかけた。無理に笑っているのがわかったけど、私は気づいていないふりをした。

「ねぇ、フェジー。あなた城で働く気はない?私、またあなたが襲われるんじゃないかって心配で……。あなたにその気があるんだったらお兄様にお願いしてみるわ。あっ、嫌だったら別に良いのよ」

 あの時私は何と答えたのかよく覚えていない。ただローズマリー様が帰る時に一度見学してから決めると言ったことは覚えている。
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