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第六章 王都への帰路
フェジーの過去(2)
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約束はその3日後だった。その日の朝ローズマリー様は馬車でわざわざ迎えに来てくださった。
「別に来てもらわなくっても大丈夫だったのに……」
「気にしないで。私がしたかっただけだから」
ローズマリー様と一緒だったからか、城の中にはあっさり入れた。
城の中に入って驚いたこと、それは広さよりも何よりも獣人がいないことだった。歩いている人たちも私を物珍しそうに見ていた。その視線が少し怖かったことをよく覚えている。
「ここが錬金術師の部屋よ」
案内されたのは大きな工房だった。置かれている設備はどれも当時の私が欲しくても手に入れられないものばかりだった。
そこで働いていた人たちは皆優しかったこともあり、すぐにそこで働くことを決めた。
あの時の私は何も知らない小娘だった。後で思い返せば、なぜその時に気づかなかったのか不思議だ。
それからの1月は楽しかった。自分の店で働いていた時と比べ、ローズマリー様が工房を訪れる頻度も上がっていた。
「フェジーが作るマジックアイテムはどれも素晴らしいできね。あなたなら将来ここの長にもなれるんじゃない?」
その日も工房を訪れていたローズマリー様は茶色の瞳を細め、笑いながらそうおっしゃった。
「そんな、私なんてまだまだ未熟です……」
それは謙遜でも何でもなく紛れもない事実だった。
だが、その会話を聞いていた先輩たちはそうは思わなかったようだ。ローズマリー様がお帰りになった後に皆で私の周りを囲んで言った。
「王女様に気に入られてるからって調子に乗ってるんじゃないわよ」
「そんな、私調子に乗ってなんか……」
「どうせさっきも口では謙遜しておいて俺たちのことを見下していたんだろうが!?」
「ち、違っ!」
「王女様が連れてきたから我慢していたがな、お前、最初から気に食わないんだよ」
「そうそう、高々獣風情の分際で!王女様がいつもお声をかけるのはあなただけ。それでもあなたと仲良く見せれば私にも目を止めて下さると思ったのに……」
獣風情、その言葉は私が幼い頃から言われ続けていたことだ。今ではそのような差別はないが、当時は表面上は平等を歌っていても根深い獣人差別が残っていた。
「……あなたたちは私をどうしたいのよ!?」
我慢の限界だった。法律ではきちんと獣人も同格の1人の人間として扱わなければならないと明記してある。それを破った場合厳しく罰せられるとも。
「俺たちは優しいからなぁ~。特別に自分で辞めるかそれとも国庫の金を盗んだ犯人として突き出されるか選ばせてやる」
先輩は気持ち悪いニタニタ笑いを浮かべていた。
「……そういうこと。自分たちの罪を擦り付ける先が欲しかっただけなのね」
「別に来てもらわなくっても大丈夫だったのに……」
「気にしないで。私がしたかっただけだから」
ローズマリー様と一緒だったからか、城の中にはあっさり入れた。
城の中に入って驚いたこと、それは広さよりも何よりも獣人がいないことだった。歩いている人たちも私を物珍しそうに見ていた。その視線が少し怖かったことをよく覚えている。
「ここが錬金術師の部屋よ」
案内されたのは大きな工房だった。置かれている設備はどれも当時の私が欲しくても手に入れられないものばかりだった。
そこで働いていた人たちは皆優しかったこともあり、すぐにそこで働くことを決めた。
あの時の私は何も知らない小娘だった。後で思い返せば、なぜその時に気づかなかったのか不思議だ。
それからの1月は楽しかった。自分の店で働いていた時と比べ、ローズマリー様が工房を訪れる頻度も上がっていた。
「フェジーが作るマジックアイテムはどれも素晴らしいできね。あなたなら将来ここの長にもなれるんじゃない?」
その日も工房を訪れていたローズマリー様は茶色の瞳を細め、笑いながらそうおっしゃった。
「そんな、私なんてまだまだ未熟です……」
それは謙遜でも何でもなく紛れもない事実だった。
だが、その会話を聞いていた先輩たちはそうは思わなかったようだ。ローズマリー様がお帰りになった後に皆で私の周りを囲んで言った。
「王女様に気に入られてるからって調子に乗ってるんじゃないわよ」
「そんな、私調子に乗ってなんか……」
「どうせさっきも口では謙遜しておいて俺たちのことを見下していたんだろうが!?」
「ち、違っ!」
「王女様が連れてきたから我慢していたがな、お前、最初から気に食わないんだよ」
「そうそう、高々獣風情の分際で!王女様がいつもお声をかけるのはあなただけ。それでもあなたと仲良く見せれば私にも目を止めて下さると思ったのに……」
獣風情、その言葉は私が幼い頃から言われ続けていたことだ。今ではそのような差別はないが、当時は表面上は平等を歌っていても根深い獣人差別が残っていた。
「……あなたたちは私をどうしたいのよ!?」
我慢の限界だった。法律ではきちんと獣人も同格の1人の人間として扱わなければならないと明記してある。それを破った場合厳しく罰せられるとも。
「俺たちは優しいからなぁ~。特別に自分で辞めるかそれとも国庫の金を盗んだ犯人として突き出されるか選ばせてやる」
先輩は気持ち悪いニタニタ笑いを浮かべていた。
「……そういうこと。自分たちの罪を擦り付ける先が欲しかっただけなのね」
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