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第七章 それぞれの過ごす日々
マリアの1日(13)
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マリアはざわついている食堂内を訝し気に見たが、こんなものかとすぐに納得して、特にそれ以上気に止めることはなかった。
5分もしない内に料理が運ばれてくる。
「はい、熱いから気をつけて食べてね」
「ありがとう、おばさん」
運ばれてきたのは黒パンにサラダ、そしてスープだった。
「……ベル、食べよう。出てきて」
「ウン」
ベルは器用に小さな手と、数本の蔓を使ってテーブルの上に移動した。ベルを見たことで、ようやく収まってきていた騒めきが、再び大きくなった。
『おい、あれって……』
『Bランクのアルラウネ。その変異種じゃないか?』
『Bランク!?』
『変異種!?』
『馬鹿、声が大きい』
『……流石《魔術姫》だな」
『……そうだな。俺らとは次元がちげぇよ』
呆れる者、他の者に頭を叩かれる者、遠い目をする者。反応は様々だった。そんな中でもあくまでもマリアはマイペースだった。
「ベル。ここの料理はどれも美味しいんだよ。特に私、このスープが好きなんだ」
王都から出てしばらく旅をしていた間、色んな料理を食べてきたが、マリアの中での一番は今でもこの宿のスープだった。
「……この味を越える料理を作ることが目標だけど、なかなか上手くいかないんだよね」
「マリア、そんな簡単に俺らを越えられたら、俺は今頃路頭に迷っているじゃねぇか。恐ろしいことを言うんじゃない」
「え~、でも目標にするのは良いでしょ?」
「……まぁそれぐらいはな」
ルアンは周りの者たちがそれとなく会話を聞いていることに気づいていたが、特に注意などはしなかった。
「オイシイ!」
ベルが一口スープを飲んで歓声を上げた。
「「「「「「「喋った!?」」」」」」」
「あっ」
当然その声は近くにいた者には聞こえてしまった。
マリアは額に手を当てた。
「……人前で喋っちゃダメって言わなかった私の責任だね」
「……マリア、さっき拾ったって言ったよな?」
「えっ?うん」
「いつだ。一体いつだ!?」
「えっ?ちょっ!?痛いって!」
肩を強く掴まれ、マリアは悲鳴を上げた。
「おっ、すまんすまん。……それでいつだ?」
「えっと、1時間半ぐらい前かな。2時間は経っていないと思う」
「……お前、その子がどれだけ希少かわかってるか?」
「えっ?」
「……変異種は10,000体に1体いれば良い方だ。片言でも人の言葉を喋れるのは100,000体に1体ぐらいだぞ。その両方ってことは……」
「……つまり1,000,000,000体に1体ってこと?」
「……そうだ。貴族の馬鹿どもがどんなに金を出しても手に入れようとするぐらいだ」
「……嘘でしょ?」
その場にいる者は皆、美味しそうに食事を続けるベルをまじまじと見つめた。
5分もしない内に料理が運ばれてくる。
「はい、熱いから気をつけて食べてね」
「ありがとう、おばさん」
運ばれてきたのは黒パンにサラダ、そしてスープだった。
「……ベル、食べよう。出てきて」
「ウン」
ベルは器用に小さな手と、数本の蔓を使ってテーブルの上に移動した。ベルを見たことで、ようやく収まってきていた騒めきが、再び大きくなった。
『おい、あれって……』
『Bランクのアルラウネ。その変異種じゃないか?』
『Bランク!?』
『変異種!?』
『馬鹿、声が大きい』
『……流石《魔術姫》だな」
『……そうだな。俺らとは次元がちげぇよ』
呆れる者、他の者に頭を叩かれる者、遠い目をする者。反応は様々だった。そんな中でもあくまでもマリアはマイペースだった。
「ベル。ここの料理はどれも美味しいんだよ。特に私、このスープが好きなんだ」
王都から出てしばらく旅をしていた間、色んな料理を食べてきたが、マリアの中での一番は今でもこの宿のスープだった。
「……この味を越える料理を作ることが目標だけど、なかなか上手くいかないんだよね」
「マリア、そんな簡単に俺らを越えられたら、俺は今頃路頭に迷っているじゃねぇか。恐ろしいことを言うんじゃない」
「え~、でも目標にするのは良いでしょ?」
「……まぁそれぐらいはな」
ルアンは周りの者たちがそれとなく会話を聞いていることに気づいていたが、特に注意などはしなかった。
「オイシイ!」
ベルが一口スープを飲んで歓声を上げた。
「「「「「「「喋った!?」」」」」」」
「あっ」
当然その声は近くにいた者には聞こえてしまった。
マリアは額に手を当てた。
「……人前で喋っちゃダメって言わなかった私の責任だね」
「……マリア、さっき拾ったって言ったよな?」
「えっ?うん」
「いつだ。一体いつだ!?」
「えっ?ちょっ!?痛いって!」
肩を強く掴まれ、マリアは悲鳴を上げた。
「おっ、すまんすまん。……それでいつだ?」
「えっと、1時間半ぐらい前かな。2時間は経っていないと思う」
「……お前、その子がどれだけ希少かわかってるか?」
「えっ?」
「……変異種は10,000体に1体いれば良い方だ。片言でも人の言葉を喋れるのは100,000体に1体ぐらいだぞ。その両方ってことは……」
「……つまり1,000,000,000体に1体ってこと?」
「……そうだ。貴族の馬鹿どもがどんなに金を出しても手に入れようとするぐらいだ」
「……嘘でしょ?」
その場にいる者は皆、美味しそうに食事を続けるベルをまじまじと見つめた。
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