こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第七章 それぞれの過ごす日々

アーティスの受難(10)

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 およそ5分後、3人は王都の門、それも貴族用の門の前にいた。

「はぁ?通せねぇってどういうことだよ!?」

 アーノルドは兵士に門を通してもらえず切れていた。

「ですから、身なりはともかくあなたの言動はとても貴族の方のものとは思えません。その指輪の紋章も本物かどうかも疑わしいですしね。連れの方に至ってはどこからどう見ても普通の冒険者ですし」

 兵士は3度目となる説明を繰り返した。

「あぁ?どこに俺が貴族じゃない、グランファルト子爵家の人間じゃないっていう証拠があんだよ。言いがかりじゃねぇか」

 完全にどこらのチンピラのセリフだった。アーティスもグレンも呆れた表情でアーノルドを見ている。

「で、ですから本人確認ができないのでここは通せないんです」

 怯えながらも仕事を放棄しないあたり、この兵士は兵士の鑑だと言えよう。

「だからごちゃごちゃ言ってねぇで通せっつってんだろうが!」

 2人の会話は堂々巡りだった。

「そんなに王都に入りたいんでしたら一般の門に行ってください!」

 兵士はもう涙目だった。

「おい!何を騒いでいるんだ!?」
「あっ、先輩」

 兵士の目が輝いた。そのまま手招きされるまま兵士は先輩兵士に近寄った。

「この人が門を通りたいといってるんですが……」
「身分証は確認したんだろ?だったら何で言い争いなんかしているんだ?」

 身分証を持っていないのなら力強くで追い返せば良いだけだ。

「き、貴族の紋章が入った指輪は持っていたんですが、その、言動が少し……」

 兵士は言い辛そうに言葉を濁した。
 先輩兵士は少し考え込んだ。

「……どこの家の方かは伺ったのか?」
「あっ、はい。グランファルト子爵家と言ってました」
「……やはりか」
「えっ?」

 先輩兵士が小さく呟いた言葉は兵士の耳にはハッキリと届かなかった。

「いや、フルネームは伺ったか?」
「えっ?いえ」

 先輩兵士は大きく溜息を吐いた。

「……おそらくアーノルド・グランファルト様だな。少し前に通行したという報告があった」
「えっ?」

 兵士は言われたことが理解できなかった。

「……報告書を読むのは常識だろう?読んでなかったのか?」
「……」

 兵士は俯いていた。目は絶望の色が浮かんでいた。
 先輩兵士は兵士の横を通り、アーノルドたち3人の身元を確認すると深く頭を下げた。

「……あの者は新人でして。後できつく言い含めておきますので」
「……別にいつものことだから気にしていない。通してくれるんだろ?」

 アーノルドの言葉は平坦で、感情が読み取れなかった。

「えっ、ええ、勿論です」

 結局3人が門を通るまでに5分以上も時間がかかってしまっていた。
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