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第八章 ベルジュラック公爵家
断罪の前に
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3日後、マリアは再びアルフォードとともに城にやってきていた。
「おお、来たな。……顔色が悪いようだが大丈夫か?」
「……はい、大丈夫です。お気遣いいただきありがとうございます」
マリアの顔色は心配をするなというのが無理なほどに悪く、真っ青だった。
「そうか……。無理はするなよ」
ここは城の大広間。広い部屋の中にはマリアたち以外にも何人もの人々がおり、国王という立場からそれ以上の言葉をかけることはなかった。あまりマリアを悪目立ちさせぬようにという配慮だ。
だがそもそも、国王がマリアに声をかけようとかけまいとマリアは目立っていた。ここにいるのはある程度以上人格がしっかりした貴族の当主たちである。歳も服装も浮いていた。年齢という点でははアルフォードも同じだ。ちなみに今回アルフォードは完全にマリアの付き添いだけで来ている。
「……本当に大丈夫か?」
アルフォードのこの質問も今ので何度目になるかわからない。
「……大丈夫だって」
「……これ以上少しでも具合が悪化したら力強くでも連れて帰るからな」
「わかってるってば」
心配し過ぎだとマリアは苦笑いした。
不意に入口付近が騒がしくなった。
「……どうしたんだろう?」
人垣が割れ、現れたのはベルジュラック公爵の1人娘、フェリシー・ベルジュラックだった。周りは物々しく騎士たちが囲んでいる。この状況が不本意なのか目につく者を睨み付けていたが、不意にその顔を強張らせた。
「……なぜ、なぜ貴女がここにいますの!?」
その視線はマリアに固定されていた。
「……なんでって言われても、ねぇ?あえて言えば関係者ってところかな?」
改めて理由を訊かれても答えるのは難しかった。
「……どうせこの私の無様な姿を見ようと来たのでしょう?すぐにつまみ出されるに決まっていますけれど」
自分の身分をわきまえないからだと、フェリシーは笑った。
「いや、そんな気はまったくないんだけど……。それに今この場にいるのは国王様に招待されたからだし……」
流石に全員とまではいかないが、国王と親し気に言葉を交わしていたのは多くの者が見ていた。
「……そういうことにしておいて差し上げますわ」
だがその光景を見ていないフェリシーは全く信じていなかった。
「いや、事実なんだけど……」
そんな2人の会話を聞きながら、アルフォードは顔を顰めていた。
3人から少し離れたところではマリアがどこのお嬢さんだとしきりに話していた。しかし当然のことながらに、誰もその答えを知らなかった。本人の与り知らぬところで、どこそこのお嬢さんでは、いや、何某のお嬢さんではと、推測の言葉だけが増えていく。
(まさか貴族でも何でもない子どもだとは思っていないんだろうな)
その声はアルフォードの耳にも届いていた。
(これが終わったら父上のもとに問い合わせが殺到しそうだな)
なんといって答えるのか、それを聞くだけでも面白そうだとアルフォードは内心で笑っていた。
「おお、来たな。……顔色が悪いようだが大丈夫か?」
「……はい、大丈夫です。お気遣いいただきありがとうございます」
マリアの顔色は心配をするなというのが無理なほどに悪く、真っ青だった。
「そうか……。無理はするなよ」
ここは城の大広間。広い部屋の中にはマリアたち以外にも何人もの人々がおり、国王という立場からそれ以上の言葉をかけることはなかった。あまりマリアを悪目立ちさせぬようにという配慮だ。
だがそもそも、国王がマリアに声をかけようとかけまいとマリアは目立っていた。ここにいるのはある程度以上人格がしっかりした貴族の当主たちである。歳も服装も浮いていた。年齢という点でははアルフォードも同じだ。ちなみに今回アルフォードは完全にマリアの付き添いだけで来ている。
「……本当に大丈夫か?」
アルフォードのこの質問も今ので何度目になるかわからない。
「……大丈夫だって」
「……これ以上少しでも具合が悪化したら力強くでも連れて帰るからな」
「わかってるってば」
心配し過ぎだとマリアは苦笑いした。
不意に入口付近が騒がしくなった。
「……どうしたんだろう?」
人垣が割れ、現れたのはベルジュラック公爵の1人娘、フェリシー・ベルジュラックだった。周りは物々しく騎士たちが囲んでいる。この状況が不本意なのか目につく者を睨み付けていたが、不意にその顔を強張らせた。
「……なぜ、なぜ貴女がここにいますの!?」
その視線はマリアに固定されていた。
「……なんでって言われても、ねぇ?あえて言えば関係者ってところかな?」
改めて理由を訊かれても答えるのは難しかった。
「……どうせこの私の無様な姿を見ようと来たのでしょう?すぐにつまみ出されるに決まっていますけれど」
自分の身分をわきまえないからだと、フェリシーは笑った。
「いや、そんな気はまったくないんだけど……。それに今この場にいるのは国王様に招待されたからだし……」
流石に全員とまではいかないが、国王と親し気に言葉を交わしていたのは多くの者が見ていた。
「……そういうことにしておいて差し上げますわ」
だがその光景を見ていないフェリシーは全く信じていなかった。
「いや、事実なんだけど……」
そんな2人の会話を聞きながら、アルフォードは顔を顰めていた。
3人から少し離れたところではマリアがどこのお嬢さんだとしきりに話していた。しかし当然のことながらに、誰もその答えを知らなかった。本人の与り知らぬところで、どこそこのお嬢さんでは、いや、何某のお嬢さんではと、推測の言葉だけが増えていく。
(まさか貴族でも何でもない子どもだとは思っていないんだろうな)
その声はアルフォードの耳にも届いていた。
(これが終わったら父上のもとに問い合わせが殺到しそうだな)
なんといって答えるのか、それを聞くだけでも面白そうだとアルフォードは内心で笑っていた。
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