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第八章 ベルジュラック公爵家
処刑の日(2)
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「……王妃のクリスティーナも本来ならばこの場にいるべきなのだろうが、この件の話を聞いた数日前から体調を崩して臥せっている。そこは理解してもらいたい」
そう言って国王が頭を下げると騒めきが起こった。公の場で国王が頭を下げるなど本来あってはならないことだ。当然のことと言えた。
「こ、国王が頭を下げるなど!」
宰相は慌てて止めようとしたが、それを手で制して国王は悲し気な面持ちで言った。
「今回の件は貴族たちを止めることができなかった私の責任だ。これはそのせめてもの贖罪のつもりだ。貴族をまともに纏めることもできなかった愚かな国王のな」
自嘲気味に微笑する国王に宰相は目を大きく見開いた。
「愚かなど、そんなことはございません。あなた様は立派に国王を努めておられます」
だが国王は静かに首を横に振った。
「……いや、これは貴族を抑えることはできずとももっと早急に解決することはできた。横暴だなんだと言われることを恐れ、強引な家宅捜索もすることができなかった私の怠慢だ」
広場は静まり返っていた。誰も声を漏らす者はいない。国王と宰相の声、そして時折マクシミリアンたちを物理的に止める音だけが響いていた。
「……皆はこのような国王でも赦してくれるか?」
その声は僅かに震えていた。
「……国王様だって私たちと同じ人間でしょう?失敗することだってある。私は赦すも何も初めから恨んでなんていないわ」
静寂を破ったのは若い女性の声。それを皮切りに次々と賛同の声が上がる。
「……何この茶番」
マリアはポツリと呟いた。
「そんなこと言うな。きれいごとだけじゃ国は治められない。国王が民衆に正式に謝罪して国民がそれを赦したという事実が大事なんだ。それがなければ他国につけこまれ、舐められる。ただでさえこの辺では一番発言力が弱いのにも関わらずだ」
アルフォードは苦笑しながらマリアを宥めた。一応周りに聞こえないよう小声で。
「……それはわかるけど」
頭では理解できても納得はできなかった。
「……最近はまた北の帝国がきな臭いからこれ以上国内を荒れさせるわけにはいかないんだろう。前の戦いでは国民からの疑問の声も多い。本当にあれだけの死者が出る必要があったのかとな。現にベルジュラック公爵の例もある」
「……うん。私もお父さんがそれで死んじゃったから気持ちはよくわかるよ」
何の前触れもなく触れられた父親の話にアルフォードは目を瞬いた。
「……良かったのか?」
「えっ?何が?」
「……家族については触れたくなかったんじゃないかと思ってな。今まで話題にも出たことがないだろう?」
マリアは首を横に振った。
「……お父さんのことは話題に出したくても出せなかったから。私ね、お父さんのことはほとんど覚えていないから」
「……そうか」
アルフォードは母親については怖くて訊けなかった。自分から話してくれる日を待とうと、静かに心に決めた。
そう言って国王が頭を下げると騒めきが起こった。公の場で国王が頭を下げるなど本来あってはならないことだ。当然のことと言えた。
「こ、国王が頭を下げるなど!」
宰相は慌てて止めようとしたが、それを手で制して国王は悲し気な面持ちで言った。
「今回の件は貴族たちを止めることができなかった私の責任だ。これはそのせめてもの贖罪のつもりだ。貴族をまともに纏めることもできなかった愚かな国王のな」
自嘲気味に微笑する国王に宰相は目を大きく見開いた。
「愚かなど、そんなことはございません。あなた様は立派に国王を努めておられます」
だが国王は静かに首を横に振った。
「……いや、これは貴族を抑えることはできずとももっと早急に解決することはできた。横暴だなんだと言われることを恐れ、強引な家宅捜索もすることができなかった私の怠慢だ」
広場は静まり返っていた。誰も声を漏らす者はいない。国王と宰相の声、そして時折マクシミリアンたちを物理的に止める音だけが響いていた。
「……皆はこのような国王でも赦してくれるか?」
その声は僅かに震えていた。
「……国王様だって私たちと同じ人間でしょう?失敗することだってある。私は赦すも何も初めから恨んでなんていないわ」
静寂を破ったのは若い女性の声。それを皮切りに次々と賛同の声が上がる。
「……何この茶番」
マリアはポツリと呟いた。
「そんなこと言うな。きれいごとだけじゃ国は治められない。国王が民衆に正式に謝罪して国民がそれを赦したという事実が大事なんだ。それがなければ他国につけこまれ、舐められる。ただでさえこの辺では一番発言力が弱いのにも関わらずだ」
アルフォードは苦笑しながらマリアを宥めた。一応周りに聞こえないよう小声で。
「……それはわかるけど」
頭では理解できても納得はできなかった。
「……最近はまた北の帝国がきな臭いからこれ以上国内を荒れさせるわけにはいかないんだろう。前の戦いでは国民からの疑問の声も多い。本当にあれだけの死者が出る必要があったのかとな。現にベルジュラック公爵の例もある」
「……うん。私もお父さんがそれで死んじゃったから気持ちはよくわかるよ」
何の前触れもなく触れられた父親の話にアルフォードは目を瞬いた。
「……良かったのか?」
「えっ?何が?」
「……家族については触れたくなかったんじゃないかと思ってな。今まで話題にも出たことがないだろう?」
マリアは首を横に振った。
「……お父さんのことは話題に出したくても出せなかったから。私ね、お父さんのことはほとんど覚えていないから」
「……そうか」
アルフォードは母親については怖くて訊けなかった。自分から話してくれる日を待とうと、静かに心に決めた。
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