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第九章 夏季休業
謎と手がかりへの足がかりと記憶と
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マリアは落ち込んでいるエーアリアスにかける言葉を持っていなかった。
時間にして数10秒ほどの間、沈黙が流れる。
「……でも、なんでお父さんはこんなものを持っていたんだろう? いったいどこで……」
沈黙に堪えかね、マリアは慰めの言葉の代わりに疑問を口に出してみた。だが答えは出ない。
「それがわかれば叔父様に一歩近づくのよ」
「そんなこと言われても、私、お父さんのことはあまりよく覚えていないから……前に聞いたことはあるのかもしれないけど……」
エーアリアスはお手上げだとでも言うように深く溜息を吐いた。
「今これ以上その話をしても時間の無駄そうなの。だからこの話はまた王城でするの」
「王城で?」
言外に、場所を変えたところで何が変わるのだと尋ねる。
「王城なら魔導具を使って、すでに忘れてしまった過去の記憶も確認できるの」
「記憶を……?」
マリアは胡散臭そうにエーアリアスを見る。それも無理もない。記憶を覗くなど、そうできることとは思えないのだから。
「そうなの。この国の長年の研究と技術の結晶なのよ」
エーアリアスは我がことのように誇らし気に言い切った。
「あれのお陰で大きな事件で冤罪を発生させることなどないの。この国の自慢なのよ」
そして胸を張る。
だがマリアはエーアリアスの言葉を聞いてはいなかった。
(過去の記憶を見れるのなら……)
エーアリアスに強い光の灯った瞳を向けると尋ねた。
「ねぇ、どれぐらい昔の記憶まで見れるの?」
「……一応制限はないの。ただ、幼い子どもの頃の記憶ほど見辛いのは確かなの」
だから人にもよるが2~3歳ぐらいまでが限界なのだとエーアリアスは続けた。
「でもそれがどうしたの?」
不思議そうな表情で首を傾げる。
「……私、お父さんのことは顔も思い出せないから。お父さんの顔を見てみたいなって……あっ、無理そうなら別に良いんだけどね」
マリアはそう言って寂し気に笑った。
「それぐらい簡単なのよ。ついででできるの」
エーアリアスは柔らかな笑顔を浮かべた。
「本当に? ありがとう」
「あくまでついでなの。これぐらい、感謝されるようなことじゃないの」
エーアリアスはそう言って視線を逸らした。
「それでもお礼は言わせて。……本当にありがとう」
丁寧に頭を下げる。
エーアリアスはそれを困ったような目で見た。
「だから感謝されるようなことじゃないの」
エーアリアスの白い耳先は仄かに薄桃色に染まっていた。
「お礼は魔術具を作った研究者たちに言ってほしいの」
時間にして数10秒ほどの間、沈黙が流れる。
「……でも、なんでお父さんはこんなものを持っていたんだろう? いったいどこで……」
沈黙に堪えかね、マリアは慰めの言葉の代わりに疑問を口に出してみた。だが答えは出ない。
「それがわかれば叔父様に一歩近づくのよ」
「そんなこと言われても、私、お父さんのことはあまりよく覚えていないから……前に聞いたことはあるのかもしれないけど……」
エーアリアスはお手上げだとでも言うように深く溜息を吐いた。
「今これ以上その話をしても時間の無駄そうなの。だからこの話はまた王城でするの」
「王城で?」
言外に、場所を変えたところで何が変わるのだと尋ねる。
「王城なら魔導具を使って、すでに忘れてしまった過去の記憶も確認できるの」
「記憶を……?」
マリアは胡散臭そうにエーアリアスを見る。それも無理もない。記憶を覗くなど、そうできることとは思えないのだから。
「そうなの。この国の長年の研究と技術の結晶なのよ」
エーアリアスは我がことのように誇らし気に言い切った。
「あれのお陰で大きな事件で冤罪を発生させることなどないの。この国の自慢なのよ」
そして胸を張る。
だがマリアはエーアリアスの言葉を聞いてはいなかった。
(過去の記憶を見れるのなら……)
エーアリアスに強い光の灯った瞳を向けると尋ねた。
「ねぇ、どれぐらい昔の記憶まで見れるの?」
「……一応制限はないの。ただ、幼い子どもの頃の記憶ほど見辛いのは確かなの」
だから人にもよるが2~3歳ぐらいまでが限界なのだとエーアリアスは続けた。
「でもそれがどうしたの?」
不思議そうな表情で首を傾げる。
「……私、お父さんのことは顔も思い出せないから。お父さんの顔を見てみたいなって……あっ、無理そうなら別に良いんだけどね」
マリアはそう言って寂し気に笑った。
「それぐらい簡単なのよ。ついででできるの」
エーアリアスは柔らかな笑顔を浮かべた。
「本当に? ありがとう」
「あくまでついでなの。これぐらい、感謝されるようなことじゃないの」
エーアリアスはそう言って視線を逸らした。
「それでもお礼は言わせて。……本当にありがとう」
丁寧に頭を下げる。
エーアリアスはそれを困ったような目で見た。
「だから感謝されるようなことじゃないの」
エーアリアスの白い耳先は仄かに薄桃色に染まっていた。
「お礼は魔術具を作った研究者たちに言ってほしいの」
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