こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第九章 夏季休業

図書室にて

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「ホンー! ホンガワタシヲヨンデタノ!」

 図書室に入るや否や床に跳び降りてそう叫んだベルにマリアは呆れを隠せなかった。

「はいはい。本は声なんて出せないからね。まったく、どこでそんな言葉を覚えてくるの?」
「エッ? ソ、ソレハ……ナイショ」
「……内緒、ねぇ?」
「……」

 ベルの額に冷たい汗が流れる。

「オ、オトメニハ、ヒミツノヒトツヤフタツ、アルモノ」
「……乙女? どこが?」

 ベルの心に言葉の槍が突き刺さる。

「ドコガ……? エッ?」
「だってねぇ?」

 マリアはそこで小さく溜息を吐く。

「ベルって、乙女っていうよりはお子様だし……」

 ベルに追い打ちがかかる。

「オコ、サマ……? ワタシ、オコサマ?」
「うん。だって、すぐにはしゃぐのは小さい子どもぐらいだし……」
「ソ、ソンナ……」

 さらなる追い打ちに、ベルはショックからか崩れ落ちた。

「いい加減にしろ」
「痛っ!? ちょっとアル、なんで叩くの!?」

 マリアが後頭部を押さえて振り返ると、アルフォードが手を振り上げた形で立っていた。

「お前、自分の年齢考えてみろ。世間一般的には十分子どもと呼ばれる範疇だぞ」

 溜息混じりの言葉にマリアの目が大きく見開かれる。

「そ、そうだった……」

 エーアリアスは苦笑しながら話しかける。

「まあ、それを言ったら私もそうだし、気にしても仕方ないの。そんなことよりも時間はこく一刻と減ってるの。本、読むんじゃなかったの?」

 時間になったら情け容赦なく連れていくと、少し意地悪そうに笑った。

「そ、そうだった! ベル!」
「ウ、ウン!」

 一瞬で立ち直ると、マリアはベルを抱え上げて本棚にダッシュする。

「どの分野の本が良い?」
「マドウグ!」

 迷いのない返答に苦笑しながら、マリアは一番最初に目についた本を抜き出す。
 そして読書用に置いてあった机に着くと、ベルを机の上に降ろした。
 自分との間にベルを入れるようにして本を広げる。

「良い? 文字は全部で20ちょっとしか種類がないの。文字を2つ、または3つ組み合わせて1つの音を表すんだよ」

 マリアはそう言うと、1字1字指を指しながら読み始めた。

「『はじめに。魔導具の作成にあたって、多量の魔力が必要となる。魔力量の少ない者も魔石を利用することで作れぬわけではあらぬが、勧めはせん。ただ、人よりも多大な苦労をするであろう。また、作成に複数の属性が必要となるものが大半である。これもまた、魔石を利用することで作ることができるが、人よりも苦労するであろう。……』」
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