こうして少女は最強となった

松本鈴歌

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第九章 夏季休業

帰り道

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 一行は時間的に多少余裕があった為、少し遠回りだが来た時とは違う道で帰ることにした。

「来て良かったな」
「うん。いろんな意味でね」

 王都を歩きながら、アルフォードとマリアはしみじみと話していた。

「俺らは心臓がいくつあっても足りなかったけどな」

 そう言って苦笑いするのはダスケル。

「えっ? でも楽しかったじゃないですか?」
「貴重な体験はしたが、楽しかったかと言われれば微妙だな」
「そうそう。気が休まらなかったからな。もう1度同じことをしたいかと言われれば、迷いなく断る」

 ダスケルとサウリ、2人から同時に否定され、マリアは頬を膨らませた。

「えぇ~、慣れれば楽しいですよ」
「マリア、普通慣れるまで王族、貴族とはかかわりは持たないからな」

 アルフォードはそっとマリアの肩に手を置いた。

「マリア、サイキンカンカクオカシイ」

 頭上でベルからも言われ、マリアは肩を落とした。

「私、おかしいのかな?」
「普通とは言えないのは確かだと思うぞ」
「アルがそれを言う? 半分くらい元凶はアルじゃない」

 マリアはそう言って肩を竦めた。

「あれは不可抗力だろうが。自分から好き好んで付き合いを持とうとしてないからな」
「うん……それはわかってるよ? でもね、王族に呼び出されるようになったの、明らか~にアルの所為だよね?」

 王族からの呼び出しという言葉に、ギルガルドたちが固まった。

「あ~うん、そうだな」

 渋々とアルフォードは認めた。

「ちょっと待て! 王族からの呼び出しって何のことだ!?」
「あれ? 言ってませんでしたっけ?」

 マリアは小首を傾げるとかい摘んで説明する。

「なんか問答無用で城に連れて行かれて、ちょっとおじいちゃん連れてエーデル王国を観光してこいって言われて……」
「……まあ細かいニュアンスは違う気もするが、概ね合ってるな」

 ギルガルドは頬を引きつらせる。

「そうか……」

 行きと同じく、帰りも各地のギルドに寄って依頼を達成していく。だが、行きのように盗賊に遭遇することもなければ、魔物の大群に遭遇するなどのトラブルに合うということもなく、およそ1月、学園の新学期が始まるまで後4日という日の昼過ぎ、無事に王都へと帰り着いたのだった。

「マリア、久しぶり」
「リオ、2月ぶり?」

 レリオンとは門で別れ、ギルドに顔を出すとちょうどリオナとエリザベートがいた。

「そうだね。すっごい久しぶりに感じるよ」
「リオ、後でこの2月の間にあったこと、教えて」
「うん、いいよ。でも、マリアの話も聞かせてね」
「うん、勿論」

 マリアとリオナは顔を見合わせて笑いあった。

「なぜだかあっちで疲れきっている人がいるんだけど、いったいどうしたの?」

 マリアたちが和やかな雰囲気を出している一方、アルファードはエリザベートから詰問されていた。

「あ~、どこから話せば良いか……」
「じゃあ一言で纏めなさい」

 無茶なことを言うと、アルファードは溜息を吐いた。

「エルドラントとエーデル、両国の国王にあった」
「は? 何を言って……」
「詳しい話はまた後でだ」
「……わかったわ」

 その日の夜、4人は夏休み中にあった話をお互いにして過ごすした。

「そう言えばアーティスとグレンは?」
「2人ともまだ帰ってきてないわ」
「えっ? 大丈夫なの、それ……」

 結局2人が王都に戻ってきたのはその3日後であり、散々皆からからかわれることとなった。

☆★☆★☆

9章はこれで終了です。そして、前から近況ボードの方では予告させていただいていましたが、しばらく休載に入ります。ただし時々息抜きで書いた番外編は上げていきたいと思っています。多少はリクエストも受け付けたいと思っていますので、お知らせください。
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