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第三章〜昭和篇その一
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『とつぜんの手紙、失礼いたします。
わたくしは日野市に住む玉川千津子と申します。
小學校しか出ておりませず、そのあと長い間、病院でくらしておりましたので、讀み畫きがおぼつかないことをおゆるしください。
先だって、 “おしゃれ倶楽部” の特集で拝見いたしました、児島徳子様のことでおたずねしたく思い、筆をとりました次第です。
徳子様のお部屋にかざられていた宝石箱が、私の知人が児島正三郎様からゆずり受けた物にそっくりなのです。知人も宝石箱も、関東大しんさいで行方知れずになってしまったのでございますが。
似ているだけの別の物かもしれませんが、とても気になりまして。
徳子様という方は、児島正三郎様のご縁続きの方でございますね。徳子様は、ご無事でいらっしゃいますでしょうか?
“おしゃれ倶楽部” の御本は、銀行の待合室でちらと見ただけですから、もう一度よく見てみたいと、お願いの手紙をこうしてしたためました。
お手すきの時にでも、徳子様のページをお送りいただけたら幸いです。
厚かましいことと存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます』
わたくしは日野市に住む玉川千津子と申します。
小學校しか出ておりませず、そのあと長い間、病院でくらしておりましたので、讀み畫きがおぼつかないことをおゆるしください。
先だって、 “おしゃれ倶楽部” の特集で拝見いたしました、児島徳子様のことでおたずねしたく思い、筆をとりました次第です。
徳子様のお部屋にかざられていた宝石箱が、私の知人が児島正三郎様からゆずり受けた物にそっくりなのです。知人も宝石箱も、関東大しんさいで行方知れずになってしまったのでございますが。
似ているだけの別の物かもしれませんが、とても気になりまして。
徳子様という方は、児島正三郎様のご縁続きの方でございますね。徳子様は、ご無事でいらっしゃいますでしょうか?
“おしゃれ倶楽部” の御本は、銀行の待合室でちらと見ただけですから、もう一度よく見てみたいと、お願いの手紙をこうしてしたためました。
お手すきの時にでも、徳子様のページをお送りいただけたら幸いです。
厚かましいことと存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます』
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