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48彼女がいない間のこと
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「さて! 煩いのがいなくなったところで、本題に戻ろうか」
リングはパンパンっと手を叩くと、その場を仕切り直した。ルーナルーナとコメットが、エアロスの扱いの悪さに驚いたのは言うまでもない。
「それで、ルーナルーナを姫にする件だが、王家の中では特に反対の声は上がっていない」
まずは王の意見。通常であれば実子を差し出さねばならないところだが、ダンクネス側からルーナルーナの指名が上がっているので、みすみす愛娘を他所へやろうとは考えていない。これはリングの読み通りだった。
次に、ミルキーナ。彼女はルーナルーナを自分の娘にできることを心から喜んでいる。娘であれば、これまで以上に愛でることが許されるからだ。ただし、ルーナルーナが結婚した後も、頻繁に里帰りさせることを目論んでいるとか何とか。
そしてエアロス。彼にとってルーナルーナは珍獣のようなものだった。王子であるプライドをズタズタにされた事も、一度や二度ではない。しかしその分、ルーナルーナの能力については認めている上、最近は彼女の容姿や心根も気に入り始めている様子だ。
第二王子や末姫には王からの伺いはなかったが、すぐに嫁に行ってしまうのであれば、王家における自分達の立ち位置は何も変わらないだろうということで静観している。
最後に王兄ジーク。ジークは、ルーナルーナのことをシャンデル王国指折りの魔道士と見込んでいるため、みすみす他国へ渡すことは当初反対の意向を示していた。しかし、リングからサニーとルーナルーナの熱愛を上げて諭され、泣く泣く首を縦に振ったのである。けれど実際は、身近な魔法談義できる者を求めていただけなので、今後はキプルジャムで頻繁にダンクネス王国へ渡れば良いと割り切っているらしい。
このように主要メンバーからは賛同の意を得ているわけだが、問題はシャンデル王国の上流階級を担っている貴族達だ。
「そこで考えたのだが、女神から力をいただいた証拠のようなものはないのか?」
ルーナルーナは、ふっと女神の言葉を思い出した。
「そういえば……」
ルーナルーナは、着せ付けられていたバスローブの胸元を緩める。すぐに瑞々しい柔肌、そして女性であるコメットも羨むほどの張りのある胸の谷間が顔を出した。
「これです」
谷間のすぐ上。二本の蔓草が絡み合ったような紋章がタトゥーのようにして入っていた。神殿の建物に刻み込まれているのと同じもので、女神の加護を示している。白い証は、ルーナルーナの黒い肌にとてもよく映えていた。リングは生唾を飲み込んで見入ってしまう。
(俺、後でエアロス様とサニウェル殿下に殺されるかもしれない。でも、これぐらいの役得、構わないよな?)
そんなリングの本音に気づいてしまった者がいる。コメットだ。
「リング様、それぐらいにしてください! 女性の胸を凝視するとか、欲求不満なんですか?! それともルナのことを好きになっちゃったんですか?!」
「そ、そ、そ、そんなわけないだろうが! ともかくだ。これがあれば頭の硬い貴族のジジイ共も、ルーナルーナが特別な存在であると納得するしかないだろう」
リングは、持ち込んでいた書類を引っ掴むと、転けそうになりながら部屋を出ていった。どこかで見たような後ろ姿である。部下は主人に似るらしい。
「それにしても、コメットさん。お仕事はどうされたのですか?」
今度こそ静かになった部屋。ルーナルーナはコメットが淹れた紅茶を啜っていた。
「私、昨日付けで、ルナの専属侍女になったのよ」
「え? どういうこと?!」
「だって、サニウェル王子はルナのことを完全にロックオンしているのだから、ダンクネス王国へ嫁ぐことはもはや決定事項でしょ? で、姫扱いするということは、侍女の一人や二人つけておかないと格好がつかないじゃない」
「でも、私なんかの……」
コメットは少し居心地悪そうに肩をすくめる。
「以前の私だったら、元庶民の姫の侍女なんて真っ平御免だったわ。でも今はルナのこと……友達だと思ってるし。私ね、ルナと一緒にダンクネス王国へ行こうと思ってるの。サニウェル王子がいくら良い人だからって、故郷の人が誰もいないのでは心細いでしょ?」
あまりにも嬉しい申し出。だが、ルーナルーナには気にかかることがあった。
「え……じゃぁ、婚約者様も一緒に?!」
コメットは、俯いた。
「実はね、私、婚約破棄されたの」
「え?! それ、どういうこと?! コメットさん程明るくて素敵な人、そうそういないのに!」
「ルナ、ありがとう。でもね、もう終わったことなのよ」
コメットはポツリポツリと話し始めた。
コメットが幼馴染でもある婚約者と最後に顔を合わしたのは、二つの世界が重なり合ったあの日のことだった。いつも婚約者をサニーと比べてはため息をついていた彼女だが、大切に思う気持ちも、長年育んできた情も、誰にも負けないぐらい深いものがある。だが、それはコメット側だけのことだった。
コメットは、世界の重なりで幼馴染が不安に襲われているのではないかと思い、すぐにその男の屋敷に向かった。しかし、男の自室を開け放った途端視界に入ったのは、見知らぬ女と寝台の上で睦み合っている婚約者の姿。
「百年の恋も覚めるとはこのことよ。しかも、その女はどこかの子爵令嬢だとかで、既に彼の子どもを授かっていたというのよ? だから、婚約を破棄したいですって。彼の屋敷の人達も、いつ私にバレるかとずっとヒヤヒヤしていたみたい。これには私の両親も大激怒だったけど、もう何もなす術がなくて。世界が混沌と破滅に向かおうとする時にも関わらず、私は一緒に乗り越えてくれるパートナーを無くしてしまったの」
ルーナルーナは知らぬ間に頬を涙で濡らしていた。自分がサニーと共に過ごして舞い上がっている間にこんなことがあったなんて、申し訳なさと悔しさが次から次へと湧き上がってくる。
「今回なんて私の悪い噂の鎮火に回ってくれたばかりか、いつもお世話になっているのに……肝心な時に一緒にいなくて、本当にごめんなさい」
「いいの。私もダンクネス王国へ行ったら、サニウェル王子に負けないぐらいイイ男を捕まえてやるんだから!」
コメットは、ルーナルーナの枕元でひとしきり泣いた。泣き終えた時には、元の明るさも、愛らしさも、ピンクブロンドの髪のツヤも、完全に復活を遂げていた。
その頃、ダンクネス王国では久々の公開処刑が行われようとしていた。
「異教徒を名乗って世界を一つにしようとし、我が国だけでなく他国までをも恐怖と混沌に貶めた罪はあまりにも重い」
クロノスの声が響き渡る。
王城前の広場ではあちらこちらに篝火がたかれ、国中の人間がこぞって集まって黒い群れを成している。処刑台の周りを完全に取り囲んだ民衆は、蠢きながら口々に怒号や罪人に対する侮蔑の言葉を罵り、豪雨が降っているのような音が周辺を支配していた。
処刑人と思しき黒装束の男が、高らかに声を上げる。
「商人ヒート、前へ!」
リングはパンパンっと手を叩くと、その場を仕切り直した。ルーナルーナとコメットが、エアロスの扱いの悪さに驚いたのは言うまでもない。
「それで、ルーナルーナを姫にする件だが、王家の中では特に反対の声は上がっていない」
まずは王の意見。通常であれば実子を差し出さねばならないところだが、ダンクネス側からルーナルーナの指名が上がっているので、みすみす愛娘を他所へやろうとは考えていない。これはリングの読み通りだった。
次に、ミルキーナ。彼女はルーナルーナを自分の娘にできることを心から喜んでいる。娘であれば、これまで以上に愛でることが許されるからだ。ただし、ルーナルーナが結婚した後も、頻繁に里帰りさせることを目論んでいるとか何とか。
そしてエアロス。彼にとってルーナルーナは珍獣のようなものだった。王子であるプライドをズタズタにされた事も、一度や二度ではない。しかしその分、ルーナルーナの能力については認めている上、最近は彼女の容姿や心根も気に入り始めている様子だ。
第二王子や末姫には王からの伺いはなかったが、すぐに嫁に行ってしまうのであれば、王家における自分達の立ち位置は何も変わらないだろうということで静観している。
最後に王兄ジーク。ジークは、ルーナルーナのことをシャンデル王国指折りの魔道士と見込んでいるため、みすみす他国へ渡すことは当初反対の意向を示していた。しかし、リングからサニーとルーナルーナの熱愛を上げて諭され、泣く泣く首を縦に振ったのである。けれど実際は、身近な魔法談義できる者を求めていただけなので、今後はキプルジャムで頻繁にダンクネス王国へ渡れば良いと割り切っているらしい。
このように主要メンバーからは賛同の意を得ているわけだが、問題はシャンデル王国の上流階級を担っている貴族達だ。
「そこで考えたのだが、女神から力をいただいた証拠のようなものはないのか?」
ルーナルーナは、ふっと女神の言葉を思い出した。
「そういえば……」
ルーナルーナは、着せ付けられていたバスローブの胸元を緩める。すぐに瑞々しい柔肌、そして女性であるコメットも羨むほどの張りのある胸の谷間が顔を出した。
「これです」
谷間のすぐ上。二本の蔓草が絡み合ったような紋章がタトゥーのようにして入っていた。神殿の建物に刻み込まれているのと同じもので、女神の加護を示している。白い証は、ルーナルーナの黒い肌にとてもよく映えていた。リングは生唾を飲み込んで見入ってしまう。
(俺、後でエアロス様とサニウェル殿下に殺されるかもしれない。でも、これぐらいの役得、構わないよな?)
そんなリングの本音に気づいてしまった者がいる。コメットだ。
「リング様、それぐらいにしてください! 女性の胸を凝視するとか、欲求不満なんですか?! それともルナのことを好きになっちゃったんですか?!」
「そ、そ、そ、そんなわけないだろうが! ともかくだ。これがあれば頭の硬い貴族のジジイ共も、ルーナルーナが特別な存在であると納得するしかないだろう」
リングは、持ち込んでいた書類を引っ掴むと、転けそうになりながら部屋を出ていった。どこかで見たような後ろ姿である。部下は主人に似るらしい。
「それにしても、コメットさん。お仕事はどうされたのですか?」
今度こそ静かになった部屋。ルーナルーナはコメットが淹れた紅茶を啜っていた。
「私、昨日付けで、ルナの専属侍女になったのよ」
「え? どういうこと?!」
「だって、サニウェル王子はルナのことを完全にロックオンしているのだから、ダンクネス王国へ嫁ぐことはもはや決定事項でしょ? で、姫扱いするということは、侍女の一人や二人つけておかないと格好がつかないじゃない」
「でも、私なんかの……」
コメットは少し居心地悪そうに肩をすくめる。
「以前の私だったら、元庶民の姫の侍女なんて真っ平御免だったわ。でも今はルナのこと……友達だと思ってるし。私ね、ルナと一緒にダンクネス王国へ行こうと思ってるの。サニウェル王子がいくら良い人だからって、故郷の人が誰もいないのでは心細いでしょ?」
あまりにも嬉しい申し出。だが、ルーナルーナには気にかかることがあった。
「え……じゃぁ、婚約者様も一緒に?!」
コメットは、俯いた。
「実はね、私、婚約破棄されたの」
「え?! それ、どういうこと?! コメットさん程明るくて素敵な人、そうそういないのに!」
「ルナ、ありがとう。でもね、もう終わったことなのよ」
コメットはポツリポツリと話し始めた。
コメットが幼馴染でもある婚約者と最後に顔を合わしたのは、二つの世界が重なり合ったあの日のことだった。いつも婚約者をサニーと比べてはため息をついていた彼女だが、大切に思う気持ちも、長年育んできた情も、誰にも負けないぐらい深いものがある。だが、それはコメット側だけのことだった。
コメットは、世界の重なりで幼馴染が不安に襲われているのではないかと思い、すぐにその男の屋敷に向かった。しかし、男の自室を開け放った途端視界に入ったのは、見知らぬ女と寝台の上で睦み合っている婚約者の姿。
「百年の恋も覚めるとはこのことよ。しかも、その女はどこかの子爵令嬢だとかで、既に彼の子どもを授かっていたというのよ? だから、婚約を破棄したいですって。彼の屋敷の人達も、いつ私にバレるかとずっとヒヤヒヤしていたみたい。これには私の両親も大激怒だったけど、もう何もなす術がなくて。世界が混沌と破滅に向かおうとする時にも関わらず、私は一緒に乗り越えてくれるパートナーを無くしてしまったの」
ルーナルーナは知らぬ間に頬を涙で濡らしていた。自分がサニーと共に過ごして舞い上がっている間にこんなことがあったなんて、申し訳なさと悔しさが次から次へと湧き上がってくる。
「今回なんて私の悪い噂の鎮火に回ってくれたばかりか、いつもお世話になっているのに……肝心な時に一緒にいなくて、本当にごめんなさい」
「いいの。私もダンクネス王国へ行ったら、サニウェル王子に負けないぐらいイイ男を捕まえてやるんだから!」
コメットは、ルーナルーナの枕元でひとしきり泣いた。泣き終えた時には、元の明るさも、愛らしさも、ピンクブロンドの髪のツヤも、完全に復活を遂げていた。
その頃、ダンクネス王国では久々の公開処刑が行われようとしていた。
「異教徒を名乗って世界を一つにしようとし、我が国だけでなく他国までをも恐怖と混沌に貶めた罪はあまりにも重い」
クロノスの声が響き渡る。
王城前の広場ではあちらこちらに篝火がたかれ、国中の人間がこぞって集まって黒い群れを成している。処刑台の周りを完全に取り囲んだ民衆は、蠢きながら口々に怒号や罪人に対する侮蔑の言葉を罵り、豪雨が降っているのような音が周辺を支配していた。
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