魔物とあらゆる異人族になれるファンタジー世界にようこそ!

yukami

文字の大きさ
8 / 20

第八話 避難しました

しおりを挟む
次の日。

『それで、どうなりましたか?馴染んでいます…ひっ…ど、どうされたんですか?』

と、重く沈みきった様子のメーデルを見て悲鳴をあげそうになるのは様子を見に来たマルゼと悪魔族の人種、ケージだった。
「え、何。あの後なんかあったの?結晶の前にアルトは座り込んだままだったし…」

『居ないのよ』
『え?』

昨日あの後何があり何が起きたか聞いた後、どこまで探したのか聞くマルゼとケージ。

『地上は隈なく探したわ…』
『「地上…。……あ。」』

2人は同時に思い当たる場所について聞く。

『「地中は?」』
『…………地中?』
希望の光を宿した、メーデルは2人に問う。

『あの子は保護をするに至って、ずっと地中に潜って私たちの手を逃れてたんです。』
「地面の中だから、手が出せなくてな。地中を探してないならそこじゃないか?」

話を聞いた彼女はすぐに外に飛び出し地面に向かってサーチをする。その様子を見てすぐ見つかりそうだと予測したケージがアルトを呼び出しに動く。

「俺、アルトに知らせてくるわ」
『わかりました。』

しばらく地面に向かってサーチを広げていたメーデルが感極まったような状態で報告する。
『………………いたぁ…』
『それは良かった。さすが、あなたのサーチ力は素晴らしいですね。私はわかりません。』

『主人!あの子はどこだ?!』
『こっちね。』

結構深いところにいるわと話しながらそこに向かう。
その場所は施設の端っこの位置でちょうど中庭に位置する場所でもあった。人通りの少ない廊下が近くにあるくらいだった為気配察知を覚えていてそれを使ってここまでたどり着いたのではないかと推測が入る。しかしそのリーフィがいるであろう地中の真上の位置にある存在が寝そべっていた。

『……くぁ。』
『…………ジェット、なんであなたそこにいるの?』
若干の怒りを含んだメーデルが理由を聞くかのように大きなウルフに声をかけている。声をかけている光景を見てすぐに契約獣であることを察することができた。

『んー?なんだやっときたか。遅』

狼は大きく欠伸をしたと思ったら彼女と何か話を始める。

『な、ん、で!ここにいるのかなぁ?』
『なんでって見つけたから』
『報告しなさいよ!』
『やだよめんどくさい』
『こんの…』
『それに、教えたとしてどうする気だ?掘り出すのか?これ以上深く掘ったらアイツ水の通路に穴あけるぞ?』
『え?!』
『自分から出てくるまで放置じゃねーと無理だと思うぞ。ま、完全に人嫌いになってるから無理だろうけどな。』
『うぅ~』

と言う話をしていたのだと聞いてやはり俺たちには何もできない状況だということがわかった。まあ、場所がわかっただけでも進歩ではないかな。

「時々外に上がってきたりしてないか?光合成をしに。」

ケージが質問するとメーデルを通じて答えが聞けた。

『まだ一日目だからわからないそうよ。昨日は上がってきてないって。』

「……それなら時間置くしかないかもな…」
『……ジェット、場所変わる』
『お前は他の奴らの世話があるだろそれが終わったら交代な。』
『うぐ…』
『それと聞きてーことあんだけど。』


会いにきたんだけど会えず終い、地中に避難したリーフィは今何してんだろな。


~その頃地下のリーフィ~

やっぱり地下は落ち着きます。しかし、日光が浴びれないのは不満です。
それに甘い食べ物の存在を知ってしまいました。もっと食べたいと欲が出てしまいます。

まだ人に対抗できる力は備わってません。主に防御力。地下はある程度動き回れるよう空間を作りました。ここで戦略を立てて訓練しましょう。

森だと木に乗り移って移動する方法もありましたが、ここではあまりできません。まだ施設の土地でしょうから屋根に登るのはいいかもです。アルト師匠も登ってこれないでしょう。しかし、逃げる途中大きな狼さんが居ました。屋根乗れそうです。要注意です。
近くに何か気配があったら離れるまで待ってから外に出ましょう。待ってもダメそうだったら、辺りを見渡して何がいるか確認です。

そうだ頭だけ出して昼か夜か確認したらいいんです。まあ、気配察知で気配が居なくなってからですが。

もぞもぞと上に上がり、気配察知が反応します。危険性はないようです。
…!気配が動きました。離れていくようです。感知ができない場所まで移動したみたいなので少し顔を出してキョロキョロ…
残念ながら夜だったので、光合成はお預けです。

夜の地上に目が慣れてきたので少し探索してみることに。…おや?これはミーカと呼んでいた果物です。地面に落ちてます。
…………ミーカの木が近くにあるようには思えないです。さらに危険察知が1つに反応。残りは大丈夫みたい。1つは避けて残りをツルで近くに寄せて穴の中にお持ち帰りします。
穴の中で食べれば何かあっても大丈夫ですからね。
さっき上にいた気配の存在が忘れていったのでしょうか?泥棒になってないですかね?


地上に残った一つのミーカを見てフェンリルは考えていた。

『ふむ…』
『何をしておるのだ?』
『実験』
『それはミーカではないか?』
『嗚呼、スイミン花の蜜を周りにつけたな。』
『どういうことだ?』

これの他に普通のミーカを出てくる場所の付近に置き、どうするかを見た説明する。

『出てきたのか?!』
『嗚呼、こっちに上がってきたが俺がいることを感知しているかのように動きを止めてな。離れて見守っていた。おそらく危険察知と気配察知のスキルは持っているぞ。』
『そうか』
『食事は当分その方法がいいと思うぞ。今晩は大丈夫だろ』
『…ふむ。…主人に伝えてくる』
『嗚呼』

アルトはジェットから離れた後再度確認するように振り返り、主人にある提案をすることにした。


『あ、アルト。交代じゃないの?』
『うむ、その事なのだが。ジェットに任せてみようかと思ったのだ。』
『へ?あのめんどくさがり屋に?』
『先程頭を出したようでな…』
何があったかを説明し終えると、メーデルは考えるように顎に手をやる。

『そう…。ジェットも似たような境遇だからかしら…』
『放って置けないのかも知れんな。口頭で頼むとは伝えていない。どちらも様子見だ。』
『そうね。そうしましょう』

そして2人の間の話し合いによってリーフィの世話係はジェットと言う事になった。



今度は朝に出られるように早めに土の中から動き出します。気配察知は無反応。
誰もいないことを目視でも確認。
葉っぱを出して、光合成をします。はぅ。あったか…

ぼーっと暖かさに夢中になっていたら気配察知が反応。離れたところに大きな狼さんがこちらを見ていました。
慌てて、土の中に潜ります。
それ以上近づいてくるわけでもないようで…ゆっくりと顔を出してみます。
まだ光合成したいです。

次に顔を出すと狼さんは私のことは見ておらず、その場で伏せてお昼寝を始めました。
動かないようなので、動きがあったらすぐに潜ることにして、光合成の再開です。

流石にうとうとしてしまい、さらにお昼寝状態になってしまいました。
目がさめると影ができています。
もう日がくれたのかと思ったら、ぱちくりとした小さな目と目が合います。

『君こんなところで何してるのー?』
「フィー?!」
すぐに地面に潜ります。

私の叫び声と共に離れた位置で寝ていた狼さんらしき気配も起きたのか私の目の前にいた存在に近寄ります。

狼さん?がその小さな目の持ち主と一緒に離れていきます。びっくりしました。狼さん?は味方なのでしょうか。小さい子であろうと急に現れたら誰でもびっくりします。
めっちゃ顔近かった。更に肉食系だった。…あ、私は大丈夫なのか。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g
ファンタジー
※本作はフィクションです。 「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」 20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。 一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。 毎日19時更新予定。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

合成師

あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。 そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

処理中です...