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第十二話 おやつとチュートリアル
しおりを挟むお昼時ということもあり、人がいっぱい、魔物も少し…狼さんみたいなメーデルさんと契約している魔物さん達でしょうか。
『なんだ…多いな』
狼さんも予想外だったようです。気配察知なしで油断していたのもありますが…チラチラとこちらに視線を送る人も少なからずいるみたいな…
『……アレ…』
「見えな…」
『……ジェッ……まだな…』
狼さんの耳がピクピク動き、機嫌が少し悪くなるのを感じます。
人が減る気配はないです。逆に現在も増加してる…?
そんな時、聞き覚えのある声が聞こえてきます。
『何だ?なぜこんなに多いのだ?皆、仕事をサボってると私がメーデルに報告せねばならないのだが?』
その声を聞いて、声の主を確かめた人たちはパラパラと駆け出して解散してくれた。
『……まったく。』
『お前も、その1人だろう。早くどっかいけ』
『……むぅ。少しぐらい話しをだな……』
私の方を伺うアルト元師匠。
私を人に売った恨みは深いです。
半分以上隠しつつ覗きます。
『…うぅ、リーフィ。嫌がっていたのに人の前に無理に向かわせてすまんかった。頼む、許してくれ。』
『……どうする?』
ちゃんと謝ってくれてますし、あの状況では仕方なかったということもありえます。無理やりは良くないことがアルトさんにも伝わったのなら良い……ということにしましょう。
私は寛大なのです。
「……フィ」
『めっちゃ震えてるけどな。』
『ぬぐぅ』
体は正直でした。
『ま、時間だな。今日は食堂散歩だけだ。明日は別のとこだから。交流もしつつな。』
「フィ…」
怯える毎日の克服…頑張ります…
『ほら、飯をもらいに行くぞ。ジェーノス。新人だ』
『お前ら話し込みすぎ、早くこっち来い。会わせろ』
『…相変わらずだな。リーフィ、挨拶できるか?』
「フィー?」
『かっわっ…』
「「きゃー!かわいいっ」」
『ちょ、お前らあんま前でんな』
女の人がいます…小さくてかわいいとみられている私には危険察知が小さく警報を鳴らしています。
急いで第1段階の防御態勢に入ります。
『オイ、飯取りに来ただけだぞ。怖がらせたら2度と来ないぞ。』
「「……下がりまーす」」
下がったのを確認して、恐る恐る狼さんの背から覗きます。
『ほら…嬢ちゃんか?』
丸を作ってお返事。
『なら嬢ちゃん、好きなものを1つ選んでいいぞ。』
と言われても、分かるものが少ないのです。
ミーカと呼ばれるミカン似の果物はわかります。他はわからないです。
不思議そうに並んでいる果物?を見つめていきます。
1つ1つ持ってみたり、振ってみたり?
『おもちゃではないぞ。全部お前が食べられる果物だ。』
振ったら注意されました。
見た目通り味も同じものなのでしょうか?
1つ1つ、持ち上げて匂いを嗅いでみたり。
『もしかして見たことないのか?そいや…ジェットもミーカしか持って行ったことないな。』
それじゃ1つ1つ紹介してやるとおじちゃんが張り切り始めました。
『まずそれはリーゴ。身は固いが、シャリシャリした食感だ。皮ごと食べられる。……歯はあるよな?』
歯はある…と思うので丸。
りんごですね。
『で、これがメーロって言う果物で、皮は食べられないが、果肉が甘くて美味しいぞ。』
メロンですな。
『こっちはマーゴていう果物だ。皮は薄いが食べられない。これも甘くてうまい。少し癖があるから好き嫌いは分かれる。』
マンゴーです。
『ブードはこの1つ1つがそのまま皮ごと食べられる。量調節したい時はそれがいいぞ。』
ぶどうですね。
『さあ、どうする?』
見慣れたミーカもいいですが、リーゴとブードに目が行きます。
今日はリーゴにします!
私よりは小さいですが、顔の近くに寄せるとやはり大きいです。
リーゴを持つツル2本を出して更にツルを出して床に降ります。
『亜空間に入れておけ。邪魔だろう』
「フィ?」
亜空間とはなんぞや?と体を傾げていると、優しい狼さんが教えてくれるようです。
『嗚呼わからねーのか。“ボックスオープン”と念じてみろ。』
ボックスオープン?
おお!何やらリストのようなものと、穴がぽっかり開きました。
『そこにそれ入れてみろ』
そことは穴ですね。ぽいっ。
お!リストにリーゴの実×1と入りました!インベントリというやつですね!
『出したいときは取りたいものを考えながら穴にツルを入れてみろ。』
ふむふむ、出したり入れたりができました。そんなことよりです、あとで穴倉に帰ったらやることができました。
インベントリの中に何か入ってます。
取説見ないで始めるからこういうことになるんですよね。
確認不足でした。
『確認できたな。なら帰るか。』
「フィー♪」
『また来いよ』
「「次こそはお触りっ!」」
『当分お預けだそりゃ』
「「ええー!!」」
『ほら仕込みサボったら報酬減らすぞ』
「「くっ」」
同じ反応をする様子から見て双子さんですかね。今更ですが電子音声でないところを見ると、プレイヤーなのですよね。レベルと名前が浮いてますし…
Lv.15ネル
Lv.15メル
15…私は到底敵いませんね…まだ1ですもん。
狼さんの背中でおとなしくしておきます。
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