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2嘘と本音のぼやけた境界
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他愛ない会話をしながら食べ進め、最後のひと口をぱくり食べると、藤堂くんはのしかかるようにしておれの手からアイスの棒を奪った。
そのままぽいっとゴミ箱へフリースロー。
流れで、まだアイスが入ったままのおれの口の中に、舌を入れてきた。
「ん……!?」
「ふみ、あまい」
「ぁ、……」
とっさに藤堂くんの服を握りしめたら、胸ぐらを掴むみたいになってしまった。
でもそれで彼は、なんだか燃えてしまったらしい。
「積極的なふみ、可愛い」
「ん、ちが……、んぅ」
藤堂くんは唾液を飲むみたいにしておれの口の中を探ったあと、ぎゅーっと抱きしめてきた。
「がっついてごめん、どうしていいか分かんない」
「平気。うれしい」
ぱたんと押し倒される。
……と、藤堂くんは、目を細めて切なそうに笑った。
「ふみは可愛い。純粋で、なんでも信じてくれる」
「……? 何が?」
聞き返すと、藤堂くんはちょっと深呼吸してから、ぽつっと言った。
「……俺ほんとは、あのアプリでしょっちゅう遊んでた」
え……?
彼が口にした言葉の意味が頭に入ってこなくて、絶句のまま固まる。
藤堂くんは、目を見開くおれの体をまたいで、ひざ立ちのまま見下ろした。
「同級生だったのはびっくりしたけど、言いふらす様子もないし、安心した。こんなのバレたら、大問題だもん」
「……えっ? いや、嘘でしょ? 何言ってるの?」
藤堂くんは、混乱するおれの頬をなでる。
けれど、答えてはくれない。
「心配したのは本当だよ。あんなおとなしそうな子置いてきちゃって、めちゃくちゃにヤられてたらどうしようって思った。探したのもほんと。連絡先交換しなかったのを後悔したのは、気になったのが半分と、乱交なんかじゃなくて普通にふたりでセックスしたかったなって」
優しくしてきたのは、全部嘘……?
初めてだとか、どうしていいか分かんないとか、そんなのは全部、演技だったのだろうか。
怖くなって逃げようとしたら、藤堂くんは馬乗りになって、おれの顔の横に両手をついた。
動けない。
すくみ上がってしまって、声も出ない。
ぎゅっと目をつむって身構える。
乱暴にされるのかも――
息を詰めて震えた。
けれど、藤堂くんは、動く気配を見せない。
おそるおそる目を開けると、彼は悲しそうな顔でおれを見つめていた。
「俺の残念なところは、そんな感じで、裏表のあるダメな生活をしているくせに、本気で朋永文さんに恋をしてしまったことなんだよね」
「……え?」
「学校でふみを見つけた日に言ったことは、全文全部がほんと。心配してたし、連絡先交換すればよかったなって思ってて、なのにいざばったり会ったら保身で逃げて。でもそのあとずーっと校内を探してたのは、『他の奴と付き合ったらやだな』って思ってた。会えてうれしかった。可愛いし好きだなって思ってるのもほんとだけど、俺はふみが思ってるような感じの人間じゃないってことが言いたかった。ごめんね」
優しくキスされて、ますます頭がこんがらがってしまった。
セックスをしたことがないというのは、嘘。
おれのことが好きだというのは、本当。
心配したのは、本当。
優等生なのは、半分嘘。
でも、また会いたくて探してくれたのも、毎日毎日、電話で伝えてくれていた気持ちも、多分本当。
揺れる瞳が、そうだと言っている。
……なら、別にいいかな、と思った。
「別に。だましてたとか、怒らないよ。遊んでたこととかも、いまおれのことしか好きじゃないなら、別に」
「それはっ、それはほんとに……いまはふみだけで、」
許しを乞うような眼差しに、なんだか力が抜けた。
ふはっと笑う。
「おれも、なんか。藤堂くんはスーパー完璧な生徒会のひとなのかなって思ってたから、夢がぶっ壊れてちょうどよかったかも」
顔の横についたたままの手にすりっと頬を寄せると、藤堂くんは、泣きそうに顔をほころばせて笑った。
「ムード作るとかどうやるか分かんない。がっついてごめん」
なんだ。
やっぱり、藤堂くんは嘘がつけないんだ。
そのままぽいっとゴミ箱へフリースロー。
流れで、まだアイスが入ったままのおれの口の中に、舌を入れてきた。
「ん……!?」
「ふみ、あまい」
「ぁ、……」
とっさに藤堂くんの服を握りしめたら、胸ぐらを掴むみたいになってしまった。
でもそれで彼は、なんだか燃えてしまったらしい。
「積極的なふみ、可愛い」
「ん、ちが……、んぅ」
藤堂くんは唾液を飲むみたいにしておれの口の中を探ったあと、ぎゅーっと抱きしめてきた。
「がっついてごめん、どうしていいか分かんない」
「平気。うれしい」
ぱたんと押し倒される。
……と、藤堂くんは、目を細めて切なそうに笑った。
「ふみは可愛い。純粋で、なんでも信じてくれる」
「……? 何が?」
聞き返すと、藤堂くんはちょっと深呼吸してから、ぽつっと言った。
「……俺ほんとは、あのアプリでしょっちゅう遊んでた」
え……?
彼が口にした言葉の意味が頭に入ってこなくて、絶句のまま固まる。
藤堂くんは、目を見開くおれの体をまたいで、ひざ立ちのまま見下ろした。
「同級生だったのはびっくりしたけど、言いふらす様子もないし、安心した。こんなのバレたら、大問題だもん」
「……えっ? いや、嘘でしょ? 何言ってるの?」
藤堂くんは、混乱するおれの頬をなでる。
けれど、答えてはくれない。
「心配したのは本当だよ。あんなおとなしそうな子置いてきちゃって、めちゃくちゃにヤられてたらどうしようって思った。探したのもほんと。連絡先交換しなかったのを後悔したのは、気になったのが半分と、乱交なんかじゃなくて普通にふたりでセックスしたかったなって」
優しくしてきたのは、全部嘘……?
初めてだとか、どうしていいか分かんないとか、そんなのは全部、演技だったのだろうか。
怖くなって逃げようとしたら、藤堂くんは馬乗りになって、おれの顔の横に両手をついた。
動けない。
すくみ上がってしまって、声も出ない。
ぎゅっと目をつむって身構える。
乱暴にされるのかも――
息を詰めて震えた。
けれど、藤堂くんは、動く気配を見せない。
おそるおそる目を開けると、彼は悲しそうな顔でおれを見つめていた。
「俺の残念なところは、そんな感じで、裏表のあるダメな生活をしているくせに、本気で朋永文さんに恋をしてしまったことなんだよね」
「……え?」
「学校でふみを見つけた日に言ったことは、全文全部がほんと。心配してたし、連絡先交換すればよかったなって思ってて、なのにいざばったり会ったら保身で逃げて。でもそのあとずーっと校内を探してたのは、『他の奴と付き合ったらやだな』って思ってた。会えてうれしかった。可愛いし好きだなって思ってるのもほんとだけど、俺はふみが思ってるような感じの人間じゃないってことが言いたかった。ごめんね」
優しくキスされて、ますます頭がこんがらがってしまった。
セックスをしたことがないというのは、嘘。
おれのことが好きだというのは、本当。
心配したのは、本当。
優等生なのは、半分嘘。
でも、また会いたくて探してくれたのも、毎日毎日、電話で伝えてくれていた気持ちも、多分本当。
揺れる瞳が、そうだと言っている。
……なら、別にいいかな、と思った。
「別に。だましてたとか、怒らないよ。遊んでたこととかも、いまおれのことしか好きじゃないなら、別に」
「それはっ、それはほんとに……いまはふみだけで、」
許しを乞うような眼差しに、なんだか力が抜けた。
ふはっと笑う。
「おれも、なんか。藤堂くんはスーパー完璧な生徒会のひとなのかなって思ってたから、夢がぶっ壊れてちょうどよかったかも」
顔の横についたたままの手にすりっと頬を寄せると、藤堂くんは、泣きそうに顔をほころばせて笑った。
「ムード作るとかどうやるか分かんない。がっついてごめん」
なんだ。
やっぱり、藤堂くんは嘘がつけないんだ。
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