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13. 絶体絶命パート1
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ジョゼフ王子は宮殿の自室で、優雅に足を組んでソファに座っている。王子は、ほくそ笑んでいた。
「この計画なら、あのユリーカとかいう金髪男はついてこないし、俺すげーって言われるな。我ながら、なんて策士ぶり!」
己を策士だと呼ぶ人間は、十中八九策士ではない。王子はとっくに十四歳は越えているのだが、いまだに中二病から卒業できていないらしい。
マリーは重い足取りで宮殿へ向かった。流行遅れのワンピースの色は、金髪と青っぽい瞳を持つマリーには着こなしが難しいくすんだオリーブ色だった。靴は悪目立ちするスカイブルー色で、わざと汚れをつけておいた。
この日のために、マリーはわざわざ中古の服屋に行ってこのお宝たちを探し当てたのだった。
そのおかげで、マリーは王子の婚約者のリストから外したいくらいには、とんちんかんな格好をしていた。
宮殿のスタッフに案内された先は、美しい庭園だった。白いテーブルには、二人分のティーセットが用意されている。ふかふかの一人用のソファが二脚、対面式に並んでいる。どうやらここで王子とお茶をするようだ。
マリーがそこに通されてからしばらく経って、ようやく王子がやってきた。
「よお、来たか。お前にいいものを食べさせてやろうと思ってな。わざわざ特別に取り寄せてやったんだぜ。ありがたく思えよ。つーか、すげえ服だな。お前のセンスはわかんねーな」
来たか、ではない。散々待たせた人間のセリフとは思えない。そんなことを言うのは王族くらいのものだ。
ああ、こいつは王子だったかと納得するマリーである。
ようやく給仕係にお茶を淹れてもらうと、宝石箱のような豪華な箱が目の前に出てきた。中にはおもちゃのように色とりどりのお菓子が並べられている。ユリーカと一緒に訪れたお菓子屋のものだ。
「ああ、これ!ここのお菓子はおいしいですよね」
「行ったことがあるのか?」
「ありますけど?先日、学校帰りに寄りました」
王子は舌打ちした。学校の中庭でランチをしたときにマリーが行きたがっていたお菓子屋の商品を、全種類取り寄せたのだ。これでマリーに惚れられようと思っていたのだ。
当てが外れた王子は、不思議で仕方がないといった顔で、マリーに尋ねた。
「お前、なんで俺のことをぼーっと見つめないんだ?」
マリーはあやうく紅茶を口から吹きそうになった。予想していたような、いや、やっぱり斜め上の質問に、マリーはそう来たかと警戒を高めた。
「そろそろ俺に夢中なそぶりをみせてもいいだろう?いい加減、素直になれよ」
王子はソファから立ち上がると、マリーの顔の真横にドンと両手をついた。王子の両手はふかふかのソファに埋まっている。いわゆるソファどんである。
マリーは王子の脇からするっと抜けると、語気を強めて言った。
「パワハラにセクハラなんだけど!」
きょとんとする王子を見下ろしながら、マリーは続けた。
「いいえ。なんでもないです。ところで、いつそんな勘違いを?」
「勘違いだと?俺はお前を妃にするって決めたんだ。光栄に思えよ」
「あたしは聖女になると、決めたんです。あいにくですが、誰とも結婚はできません。ご存知ですよね?聖女は神様の妻としてみんなから認められる存在です」
マリーはご馳走様でしたと言うと、荷物を持って逃げるように宮殿を出た。マリーの背後から王子の声が聞こえる気がするが、マリーは振り返らない。
宮殿の門を過ぎたところに、一人の少年が立っているのが見えた。
「あれ?ユリーカ様!?」
ユリーカはマリーに気がつくと、手を上げてほほ笑んだ。走ってきたマリーの頭をぽんと叩くと、満足そうに言った。
「心配になって迎えにきたんだ。大丈夫そうだね」
「はい!あの馬鹿王子に言ってきました。あたしは聖女になるから妃にはなれませんって」
「そんなこと言ったの?彼の場合、聖女になることを邪魔しそうだけど」
「ありえますね。どうしましょう?」
プライドの高い王子の性格を考えると、斜め上の報復をしてきそうだ。しかも確実にめんどくさいタイプのものを。
「君がこんなにも希望しているんだから、叶えてあげたいものだけどね。大丈夫。ぼくが君を守るよ」
「この計画なら、あのユリーカとかいう金髪男はついてこないし、俺すげーって言われるな。我ながら、なんて策士ぶり!」
己を策士だと呼ぶ人間は、十中八九策士ではない。王子はとっくに十四歳は越えているのだが、いまだに中二病から卒業できていないらしい。
マリーは重い足取りで宮殿へ向かった。流行遅れのワンピースの色は、金髪と青っぽい瞳を持つマリーには着こなしが難しいくすんだオリーブ色だった。靴は悪目立ちするスカイブルー色で、わざと汚れをつけておいた。
この日のために、マリーはわざわざ中古の服屋に行ってこのお宝たちを探し当てたのだった。
そのおかげで、マリーは王子の婚約者のリストから外したいくらいには、とんちんかんな格好をしていた。
宮殿のスタッフに案内された先は、美しい庭園だった。白いテーブルには、二人分のティーセットが用意されている。ふかふかの一人用のソファが二脚、対面式に並んでいる。どうやらここで王子とお茶をするようだ。
マリーがそこに通されてからしばらく経って、ようやく王子がやってきた。
「よお、来たか。お前にいいものを食べさせてやろうと思ってな。わざわざ特別に取り寄せてやったんだぜ。ありがたく思えよ。つーか、すげえ服だな。お前のセンスはわかんねーな」
来たか、ではない。散々待たせた人間のセリフとは思えない。そんなことを言うのは王族くらいのものだ。
ああ、こいつは王子だったかと納得するマリーである。
ようやく給仕係にお茶を淹れてもらうと、宝石箱のような豪華な箱が目の前に出てきた。中にはおもちゃのように色とりどりのお菓子が並べられている。ユリーカと一緒に訪れたお菓子屋のものだ。
「ああ、これ!ここのお菓子はおいしいですよね」
「行ったことがあるのか?」
「ありますけど?先日、学校帰りに寄りました」
王子は舌打ちした。学校の中庭でランチをしたときにマリーが行きたがっていたお菓子屋の商品を、全種類取り寄せたのだ。これでマリーに惚れられようと思っていたのだ。
当てが外れた王子は、不思議で仕方がないといった顔で、マリーに尋ねた。
「お前、なんで俺のことをぼーっと見つめないんだ?」
マリーはあやうく紅茶を口から吹きそうになった。予想していたような、いや、やっぱり斜め上の質問に、マリーはそう来たかと警戒を高めた。
「そろそろ俺に夢中なそぶりをみせてもいいだろう?いい加減、素直になれよ」
王子はソファから立ち上がると、マリーの顔の真横にドンと両手をついた。王子の両手はふかふかのソファに埋まっている。いわゆるソファどんである。
マリーは王子の脇からするっと抜けると、語気を強めて言った。
「パワハラにセクハラなんだけど!」
きょとんとする王子を見下ろしながら、マリーは続けた。
「いいえ。なんでもないです。ところで、いつそんな勘違いを?」
「勘違いだと?俺はお前を妃にするって決めたんだ。光栄に思えよ」
「あたしは聖女になると、決めたんです。あいにくですが、誰とも結婚はできません。ご存知ですよね?聖女は神様の妻としてみんなから認められる存在です」
マリーはご馳走様でしたと言うと、荷物を持って逃げるように宮殿を出た。マリーの背後から王子の声が聞こえる気がするが、マリーは振り返らない。
宮殿の門を過ぎたところに、一人の少年が立っているのが見えた。
「あれ?ユリーカ様!?」
ユリーカはマリーに気がつくと、手を上げてほほ笑んだ。走ってきたマリーの頭をぽんと叩くと、満足そうに言った。
「心配になって迎えにきたんだ。大丈夫そうだね」
「はい!あの馬鹿王子に言ってきました。あたしは聖女になるから妃にはなれませんって」
「そんなこと言ったの?彼の場合、聖女になることを邪魔しそうだけど」
「ありえますね。どうしましょう?」
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