自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
186 / 758
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第324話 迷宮都市 ミリオネの子供達へのプレゼント 1

しおりを挟む
 土曜日朝7時。
 今日は1日の予定が盛沢山なので、昨日飲みに行った2人を朝早く起こしに行く。

 きっと久し振りだから一緒に寝ていると思うけど、遠慮しないで叩き起こさせてもらうわよ!

 寝室に入ると案の定、旭が定位置に居て兄の左腕を枕にして眠っていた。

 まぁ幸せそうな顔しちゃって。
 ダンジョン内で別々のテントで寝るのは、やっぱり寂しかったのかしら?

 いつもなら2人を起こさないように静かに退散するんだけど、今日はそうもいかない。
 もう一緒に寝ている事はバレているんだし、幸い2人ともパジャマは着ていたのでこのまま起こそう。

 流石さすがに2人が裸だったら、お互い気まずい思いをするから起きてくるのまで待ってるけどね!

「お兄ちゃん、旭、起きて!」
 
 私は昔からある布団を引っぺがす方法を使って2人を起こす。
 
 最初に兄が寝ぼけ眼で私を見、次いで左腕の違和感に気が付いたのか視線を左に向けて旭を確認。
 そして朝から盛大な溜息を吐いたかと思うと、旭の頭を叩いて起こした!

 まぁ!
 恋人に何て乱暴な起こし方をするのかしら?

「痛たっ!」

 叩かれた旭は頭を押さえながらビックリして飛び起きる。

「あれ? 沙良ちゃんおはよう。もしかして俺を叩いたのは沙良ちゃん?」

 やだわ、私の所為せいにしないでよ。

「お兄ちゃんが旭の頭を叩いて強引に起こしたのよ? 肩をゆすって起こすとか、もっと優しい方法でしてあげればいいのにね~。昨日、喧嘩けんかでもしたの?」

「あ~、それは多分……」

 旭が口の中でごにょごにょ言っていたけど、聞いている時間がないので2人をかした。

「今日は時間が無いから、さくさく行動するわよ。直ぐに出かける準備をして台所に来てね。朝食は簡単に食べられるサンドイッチだから」
 
 私はそう言って部屋を出ると、自分の支度を始める。
 今日の服装は、新調したブラウスに黒のパンツスタイルだ。

 いつもの古着姿じゃない、B級冒険者として相応ふさわしい新品の服に着替え台所に行く。

 後はもう挟むだけとなっている材料を使ってミックスサンドを3人分作り、コーヒーをれた所で兄達がやって来た。

 2人も新調したばかりの服に着替えてきたので、私達3人はこれで子供達から稼いでいる冒険者として見てもらえるだろう。

 兄は全身グレーで、旭は明るい緑色の服を選んだようだ。
 それぞれの容姿にとてもよく似合っている。
 服を新調した事は正解だった。

 いつまでも古着じゃ格好つかないものね。

 ツナと胡瓜きゅうり・ハムとチーズとレタス・厚焼き玉子の3種類のサンドイッチを食べて、異世界の冒険者ギルド付近にホームで移転。

 この世界のお店は、どこも大抵8時から営業を開始するので早すぎるという事はない。

 営業終了は夕方5時だ。
 これは街灯が無い事も関係しているんだろうな。
 日が落ちてしまえば外は月明かりしか無いから。

 対して冒険者ギルドや商業ギルドは24時間営業だった。
 顧客のニーズに対応している所は流石さすがだよね。

 両方ともかなりのお金が動く場所だから、時は金なりを実践している。
 働く職員は大変そうだけど……2交代制かしら?

 冒険者ギルドを首になったオリーさんから依頼を受けた3人の事が気になっているけど、扇舞おうぎまいの練習の後で2パーティーのテントにお邪魔して事情を話しておいたので、早晩そうばん迷宮都市からは去る事になるだろう。

 話を聞いたアマンダさんとリリーさんが大激怒していた。
 アマンダさんは、クランメンバー全員に周知するとまで言ってくれる。

 若い娘の胸をタダ・・で触ろうとするなんてと大層ご立腹だ。

 うん?
 お金を払うならOKなの?

 ダンクさんとケンさんは「その3人は終わったな……」と何やら遠い目をして呟いていた。

 どういう意味かしら?
 まぁなので長くて1週間も待てばよいはずだ。

 迷宮都市の冒険者を敵に回して、クランに入らず活動出来る程ダンジョン攻略は甘くない。
 彼らは嫌と言う程、迷宮都市の洗礼を受ける事になるだろう。

 ダンジョン攻略をしている冒険者は、毎日1階層下に物資を配達しているので情報が回るのが非常に早いからね~。

 昨日『肉うどん店』に行った時、母親達にもちらりと話しておいたから取引先にも伝わるはず

 母親達の情報網をあなどってはいけない。
 彼女達が一言「うちのオーナーがひどい目にって……」と言うだけで、噂話は拡散していくのだ。

 いや~恐ろしいなぁ。


 まずは華蘭からんに行って、スヌード・・・・耳当・・てを店員さんから受け取る。
 材料となる皮は自分で狩った物だし、仕立て料もシルバーウルフの皮を卸した事で無料になった。

 ワイルドウルフを使用した物は子供達が身に着けるには、少し高価になってしまうけど実質費用は掛かっていない事を伝えれば良いだろう。

 私達は冒険者だからね!

 プレゼントも全部そろったし、ご褒美ほうびの料理の下準備も出来ている。
 よし、ミリオネの町にマッピングで移動しよう。

 子供達の家に行くとまだ冒険者ギルドに仕事に行く前だったので、急いで5軒回り昼食は皆で食べる事を伝えた。

 その際、前回聞いた人数に変更が無いかも合わせて確認する。
 ミリオネの町の子供達は増えていないようでほっとした。

 子供達は笑顔一杯になり「今日はご馳走ちそうだ~」と言って、元気良く冒険者ギルドに向かって走っていく。

 私の作るご褒美ほうびの料理を楽しみに待っていてくれたようだ。

 旭のスキップ制度を受けた時以来となるので、1年以上待たせてしまった事になる。
 兄のマンションをホームに設定するためのLv上げで、毎週ダンジョンを攻略していたから中々来てあげられなくてごめんね。

 --------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 --------------------------------------
しおりを挟む
感想 2,587

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。 2025/9/29 追記開始しました。毎日更新は難しいですが気長にお待ちください。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。