273 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第399話 ガーグ老 16 御子を狙う暗殺者
儂らは引き継いだ家具職人の工房で順調に名をあげ、注文品を作る穏やかな毎日が続いていた。
御子達の警護に就いていた時は、ダンジョンの行き帰りで毎週死にそうだった事が嘘のようである。
その代わり、息子達が頑張っておる事だろう。
だが儂らも家具ばかり作っておる訳ではない。
秘匿された御方に万が一の事があれば、引退した儂らがいつでも馳せ参じる事が出来るように毎日必要な鍛錬は怠っておらぬからな。
それから1ヶ月後。
再び御子達は子供達の前で手に人形を嵌め劇をなさった。
続く冒険者達の物語は、同じ内容とは思えんくらいに変化しておったが……。
せっかく御子が披露した物語が別物だわ。
どちらも、子供達は大喜びで聞いていたがな。
儂は、勿論御子達が披露した物語の方を推しますぞ!
『シンデレラ』の方は、結末が王と結婚せずに終わったので、ちいとばかり個人的には好みであるけども……。
昼食で出てきた『ピザ』に、王と姫様が盛り上がっていた料理はこれかと納得する。
上に掛けられたチーズがとろけて、なんとも旨そうな料理だ。
この『ピザ』という料理は、何種類もあると言ってらした。
姫様は『テリヤキチキン』が食べたいと仰せだったが……。
今回御子が作ったのは『ツナマヨポテト』という種類の物らしい。
食後は、盆踊りと言われる踊りを子供達と一緒に踊っていらした。
前回の踊りより、少し難しいであろうか?
なんにせよ、今回も腹が空く警護だった事に変わりない。
してその『ピザ』は、いつ頃お店で食べられるのかの?
その後、御子達は地下14階に攻略階層を移動されたようだ。
息子は毎回、付いていくのに必死で護衛どころではないと嘆いておる。
若い癖に軟弱な事を言うでない。
迷宮都市のダンジョンは地下30階まであるのだぞ?
そんな体たらくでは御子達をお守りする事が出来んだろうが!
儂は休みである土曜日に、『万象』全員をダンジョンでLv上げするよう指示を出した。
これから御子達は3ヶ月毎に階層を下がっていくのだから、見失う事などあってはならん。
まぁ儂らが護衛せんで済んだのは助かったと思うがの。
地下14階を攻略中、御子が迷宮タイガーをテイムされたそうだ。
なんと、これで従魔が3匹目だぞ?
しかも見事に種類がバラバラだ。
シルバーウルフに至っては、進化しておるらしい。
テイムした従魔が進化するなど聞いた事もないわ。
これは冒険者ギルドマスターも頭を抱える事だろう。
なにせダンジョン内どころか、この大陸中どこを探してもゴールデンウルフなぞおらん。
従魔登録をどう処理するのか見ものだわ。
そのテイムされた従魔の登録をされる際、冒険者ギルド職員の態度が余りに不遜すぎて怒りを抑えるのに苦労したと息子は言う。
まだ御子と正式に挨拶をしていない状態である。
姿を現す事は出来ないので、その場に居た『万象』達からかなり殺気が漏れたかも知れんな。
秘書のオリーという名前は、儂もしっかり覚えたわ。
御子もオリーの態度に怒っておられたようだ。
普段とは違う厳しい態度で臨まれたらしい。
冒険者ギルドマスターからスキップ制度の提案を受け、御子達は無事B級冒険者になられた。
やはりC級冒険者というのは、舐められるからの。
従魔登録をしたシルバーウルフと迷宮タイガーに騎乗して攻略を進めるので、ついに息子達は御子達に付いていけなくなってしまう。
これは大問題だ。
騎獣を本国から手配するにも時間が掛かり過ぎる。
取り敢えず、安全地帯とダンジョン内を広範囲に散らばって見る者とに分かれる事にした。
完璧な警護態勢ではないが、従魔と一緒にダンジョン攻略をする事は想定外だったので直ぐに対処しようがない。
現状はこのままで、なんとか凌ぐしかないだろう。
そんな警護態勢に不安が残る中、見慣れぬ6人組の冒険者が不審な動きをしている所を見付けたらしい。
集団で居るキングビーに魔物寄せのポーションをかけたそうだ。
儂は直ぐに、以前シルバーウルフに魔物寄せを使用した冒険者の事を思い出した。
しかしクインビーの蜜袋こそ高額であるが、キングビーにそれ程価値はない。
それに8匹居るキングビーに魔物寄せを使用すれば、16匹に増えるだけだ。
目的を調べるために様子を見ていれば、トレントの森に向かい魔物を引き連れ走って逃げたそうだ。
午前中は大抵御子がトレントの森付近に生る、キウイフルーツという果物を収穫しておられる。
安全地帯に行かず、御子の居る方面に向かったとなれば狙われた可能性が高い。
見ていた者は念話の魔道具ですぐさま、御子の近くに待機している者へ状況を伝えたそうだ。
御子は連絡が来る数分前に、何処かに移転してしまいトレントの森付近からは居なくなっておったらしい。
随分前から従魔達が警戒心を露わにしていたそうなので、時空魔法を使用し状況を把握されていたのやも知れん。
結局、なんとか16匹のキングビーを討伐する事は出来たが、6人の冒険者全員が毒針に刺され安全地帯に戻ったようだ。
そして治癒術師の御二方に治療を依頼する心算のようだったが、御子の体調が悪く攻略を中止していたため地上に帰還したそうだ。
これはかなり気になる情報だ。
刺された冒険者達は地上に戻るまでに毒が回り、刺された箇所が壊死を起こして治療は間に合わなかったと聞く。
真相を聞き出そうにも、もう既に意識がない状態だった。
今回の件は御子の能力を知っていない者の仕業だろう。
誘拐ではなく、殺そうとしているのも何かおかしい。
翌週、息子から再び御子が狙われたと話を聞いた。
どうやら、御子は誰かに恨みを買っていそうだな。
思い当たるのは冒険者ギルドのオリーという者だった。
大方、【闇ギルド】に暗殺の依頼でも出したのだろう。
愚かな男だ……。
どれ、今回は久々に引退した儂らが出張るかの。
御子を暗殺しようとするなど、到底捨て置けぬ。
あの世で後悔するがいいわ!
しかしオリーが宿泊していた宿には既に姿がなく、宿屋の主に尋ねると突然姿を消したと言う。
何だ?
暗殺依頼をしたものの、怖くて逃げだしたのか?
肩透かしを食らったようで不満が残る。
しかし迷宮都市内で2度目に御子の命を狙った冒険者達が、痴漢をしようとしたと噂になっていて驚いた。
何故そんな噂が立ったのか知らぬが、キングビーに刺されなかった3人は白い目で見られながら迷宮都市を去っていった。
依頼をしたオリーも姿を消し、暗殺者共も居なくなった。
これで御子の安全は保たれるだろう。
先週、子供達の前で披露されておった扇舞は、大層美しく心が洗われるようであった。
御子には、料理の他に舞の才能もあるらしい。
もういつでも立派な王族として国に帰れますぞ!
異国風の豪華な衣装も素敵であられた。
姫様は着飾る事をせぬ御方だったからの。
女子が綺麗な衣装を着るのは、やはり目に楽しいではないか。
人族の姿をした治癒術師の御方は、意外にも剣舞を魅せよった。
ふむ、体幹もしっかりとしていそうだ。
これなら少し稽古を付ければ、御子の護衛として魔法が使えぬ時でも安心出来る。
魔法無効の魔道具で拘束された場合や魔法陣を踏んでしまった時等、万が一の場合があるでの。
いつものように家具を作成していると、『タマ』が飛んできた。
カマラから何か動きがあった連絡だろう。
足に括り付けられた丸筒から、小さな羊皮紙を取り出すと文面を読んで顔色が変わる。
なんと御子が商業ギルドから、この家具工房へ向かってきているそうだ。
これはいかん。
「皆の者、よく聞くのだ! 後数分で御子がこちらにいらっしゃる。今直ぐに全員髭を剃れ! もし切ったら、ポーションを顔に掛けて治療せよ! 時間がない、急げ!」
「はっ!」
応えと共に、皆が慌てて髭を剃り出す。
御子よ、貴方に直接お会いする日をどれほど待ち望んできた事か!
だが会う前に髭を剃らなくてはならん!
儂は皮膚が切れるのもお構いなしに急いで髭を剃り、出血している顎にポーションをぶっかけたのだった。
--------------------------------------
お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
--------------------------------------
御子達の警護に就いていた時は、ダンジョンの行き帰りで毎週死にそうだった事が嘘のようである。
その代わり、息子達が頑張っておる事だろう。
だが儂らも家具ばかり作っておる訳ではない。
秘匿された御方に万が一の事があれば、引退した儂らがいつでも馳せ参じる事が出来るように毎日必要な鍛錬は怠っておらぬからな。
それから1ヶ月後。
再び御子達は子供達の前で手に人形を嵌め劇をなさった。
続く冒険者達の物語は、同じ内容とは思えんくらいに変化しておったが……。
せっかく御子が披露した物語が別物だわ。
どちらも、子供達は大喜びで聞いていたがな。
儂は、勿論御子達が披露した物語の方を推しますぞ!
『シンデレラ』の方は、結末が王と結婚せずに終わったので、ちいとばかり個人的には好みであるけども……。
昼食で出てきた『ピザ』に、王と姫様が盛り上がっていた料理はこれかと納得する。
上に掛けられたチーズがとろけて、なんとも旨そうな料理だ。
この『ピザ』という料理は、何種類もあると言ってらした。
姫様は『テリヤキチキン』が食べたいと仰せだったが……。
今回御子が作ったのは『ツナマヨポテト』という種類の物らしい。
食後は、盆踊りと言われる踊りを子供達と一緒に踊っていらした。
前回の踊りより、少し難しいであろうか?
なんにせよ、今回も腹が空く警護だった事に変わりない。
してその『ピザ』は、いつ頃お店で食べられるのかの?
その後、御子達は地下14階に攻略階層を移動されたようだ。
息子は毎回、付いていくのに必死で護衛どころではないと嘆いておる。
若い癖に軟弱な事を言うでない。
迷宮都市のダンジョンは地下30階まであるのだぞ?
そんな体たらくでは御子達をお守りする事が出来んだろうが!
儂は休みである土曜日に、『万象』全員をダンジョンでLv上げするよう指示を出した。
これから御子達は3ヶ月毎に階層を下がっていくのだから、見失う事などあってはならん。
まぁ儂らが護衛せんで済んだのは助かったと思うがの。
地下14階を攻略中、御子が迷宮タイガーをテイムされたそうだ。
なんと、これで従魔が3匹目だぞ?
しかも見事に種類がバラバラだ。
シルバーウルフに至っては、進化しておるらしい。
テイムした従魔が進化するなど聞いた事もないわ。
これは冒険者ギルドマスターも頭を抱える事だろう。
なにせダンジョン内どころか、この大陸中どこを探してもゴールデンウルフなぞおらん。
従魔登録をどう処理するのか見ものだわ。
そのテイムされた従魔の登録をされる際、冒険者ギルド職員の態度が余りに不遜すぎて怒りを抑えるのに苦労したと息子は言う。
まだ御子と正式に挨拶をしていない状態である。
姿を現す事は出来ないので、その場に居た『万象』達からかなり殺気が漏れたかも知れんな。
秘書のオリーという名前は、儂もしっかり覚えたわ。
御子もオリーの態度に怒っておられたようだ。
普段とは違う厳しい態度で臨まれたらしい。
冒険者ギルドマスターからスキップ制度の提案を受け、御子達は無事B級冒険者になられた。
やはりC級冒険者というのは、舐められるからの。
従魔登録をしたシルバーウルフと迷宮タイガーに騎乗して攻略を進めるので、ついに息子達は御子達に付いていけなくなってしまう。
これは大問題だ。
騎獣を本国から手配するにも時間が掛かり過ぎる。
取り敢えず、安全地帯とダンジョン内を広範囲に散らばって見る者とに分かれる事にした。
完璧な警護態勢ではないが、従魔と一緒にダンジョン攻略をする事は想定外だったので直ぐに対処しようがない。
現状はこのままで、なんとか凌ぐしかないだろう。
そんな警護態勢に不安が残る中、見慣れぬ6人組の冒険者が不審な動きをしている所を見付けたらしい。
集団で居るキングビーに魔物寄せのポーションをかけたそうだ。
儂は直ぐに、以前シルバーウルフに魔物寄せを使用した冒険者の事を思い出した。
しかしクインビーの蜜袋こそ高額であるが、キングビーにそれ程価値はない。
それに8匹居るキングビーに魔物寄せを使用すれば、16匹に増えるだけだ。
目的を調べるために様子を見ていれば、トレントの森に向かい魔物を引き連れ走って逃げたそうだ。
午前中は大抵御子がトレントの森付近に生る、キウイフルーツという果物を収穫しておられる。
安全地帯に行かず、御子の居る方面に向かったとなれば狙われた可能性が高い。
見ていた者は念話の魔道具ですぐさま、御子の近くに待機している者へ状況を伝えたそうだ。
御子は連絡が来る数分前に、何処かに移転してしまいトレントの森付近からは居なくなっておったらしい。
随分前から従魔達が警戒心を露わにしていたそうなので、時空魔法を使用し状況を把握されていたのやも知れん。
結局、なんとか16匹のキングビーを討伐する事は出来たが、6人の冒険者全員が毒針に刺され安全地帯に戻ったようだ。
そして治癒術師の御二方に治療を依頼する心算のようだったが、御子の体調が悪く攻略を中止していたため地上に帰還したそうだ。
これはかなり気になる情報だ。
刺された冒険者達は地上に戻るまでに毒が回り、刺された箇所が壊死を起こして治療は間に合わなかったと聞く。
真相を聞き出そうにも、もう既に意識がない状態だった。
今回の件は御子の能力を知っていない者の仕業だろう。
誘拐ではなく、殺そうとしているのも何かおかしい。
翌週、息子から再び御子が狙われたと話を聞いた。
どうやら、御子は誰かに恨みを買っていそうだな。
思い当たるのは冒険者ギルドのオリーという者だった。
大方、【闇ギルド】に暗殺の依頼でも出したのだろう。
愚かな男だ……。
どれ、今回は久々に引退した儂らが出張るかの。
御子を暗殺しようとするなど、到底捨て置けぬ。
あの世で後悔するがいいわ!
しかしオリーが宿泊していた宿には既に姿がなく、宿屋の主に尋ねると突然姿を消したと言う。
何だ?
暗殺依頼をしたものの、怖くて逃げだしたのか?
肩透かしを食らったようで不満が残る。
しかし迷宮都市内で2度目に御子の命を狙った冒険者達が、痴漢をしようとしたと噂になっていて驚いた。
何故そんな噂が立ったのか知らぬが、キングビーに刺されなかった3人は白い目で見られながら迷宮都市を去っていった。
依頼をしたオリーも姿を消し、暗殺者共も居なくなった。
これで御子の安全は保たれるだろう。
先週、子供達の前で披露されておった扇舞は、大層美しく心が洗われるようであった。
御子には、料理の他に舞の才能もあるらしい。
もういつでも立派な王族として国に帰れますぞ!
異国風の豪華な衣装も素敵であられた。
姫様は着飾る事をせぬ御方だったからの。
女子が綺麗な衣装を着るのは、やはり目に楽しいではないか。
人族の姿をした治癒術師の御方は、意外にも剣舞を魅せよった。
ふむ、体幹もしっかりとしていそうだ。
これなら少し稽古を付ければ、御子の護衛として魔法が使えぬ時でも安心出来る。
魔法無効の魔道具で拘束された場合や魔法陣を踏んでしまった時等、万が一の場合があるでの。
いつものように家具を作成していると、『タマ』が飛んできた。
カマラから何か動きがあった連絡だろう。
足に括り付けられた丸筒から、小さな羊皮紙を取り出すと文面を読んで顔色が変わる。
なんと御子が商業ギルドから、この家具工房へ向かってきているそうだ。
これはいかん。
「皆の者、よく聞くのだ! 後数分で御子がこちらにいらっしゃる。今直ぐに全員髭を剃れ! もし切ったら、ポーションを顔に掛けて治療せよ! 時間がない、急げ!」
「はっ!」
応えと共に、皆が慌てて髭を剃り出す。
御子よ、貴方に直接お会いする日をどれほど待ち望んできた事か!
だが会う前に髭を剃らなくてはならん!
儂は皮膚が切れるのもお構いなしに急いで髭を剃り、出血している顎にポーションをぶっかけたのだった。
--------------------------------------
お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
--------------------------------------
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!
akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。
そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。
※コメディ寄りです。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
家ごと異世界ライフ
もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります
ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。
七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!!
初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。
2024年5月 書籍一巻発売
2025年7月 書籍二巻発売
2025年10月 コミカライズ連載開始
転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~
結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』
『小さいな』
『…やっと…逢えた』
『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』
『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』
地球とは別の世界、異世界“パレス”。
ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。
しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。
神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。
その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。
しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。
原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。
その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。
生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。
初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。
阿鼻叫喚のパレスの神界。
次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。
これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。
家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待!
*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈
小説家になろう様でも連載中です。
第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます!
よろしくお願い致します( . .)"
*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈
追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~
ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。
そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。
「荷物持ちでもいい、仲間になれ」
その言葉を信じて、俺は必死についていった。
だけど、自分には何もできないと思っていた。
それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。
だけどある日、彼らは言った。
『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』
それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。
俺も分かっていた。
だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。
「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」
そう思っていた。そのはずだった。
――だけど。
ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、
“様々な縁”が重なり、騒がしくなった。
「最強を目指すべくして生まれた存在」
「君と一緒に行かせてくれ。」
「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」
穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、
世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい――
◇小説家になろうでも同時連載中です◇