自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第513話 迷宮都市 地下15階 お疲れ様会&偽装結婚の相手は…… 

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 その後3日間。
 アマンダさんに地下16階の魔物情報を聞いたけど、実際は午後から地下30階~地下28階を攻略しLvが45から48に上がった。

 父のLvは20から30になったらしい。
 なんだかLvの上がりが遅い気がするけど……。

 雫ちゃんとお母さんはLv30に、母はLv25に上がった。
 地下15階の魔物を倒した事で、多くの経験値が入ったのだろう。
 新しく覚えた魔法のLvも上がったようで、雫ちゃんが喜んでいる。

 冒険者ギルドで換金した後は、初攻略のお疲れ様会で外食に行く事にした。
 兄お薦めの、こ洒落じゃれた居酒屋に入り私と雫ちゃん以外はお酒を注文する。

「乾杯~!」

 旭のお母さんは異世界に転生してから、一度もお酒を飲まなかったらしい。
 まぁ12歳から記憶が戻ったのなら、無理もないか……。
 その後は雫ちゃんと一緒に冒険者活動をしていたので、飲む機会もなかったんだろうな。

 8年振りに飲んだお酒が美味しかったらしく、生ビールを一気飲みしてたよ。
 帰りは大丈夫だろうか?

 父と母は、最初から日本酒を飲んでいた。
 電子メニューからそれぞれ好きな物を注文し、皆が楽しそうに飲んで食べている。
 
 初めて冒険者をする事になった両親の事が心配だったけど、攻略は9時から18時のため母も早朝に畑仕事が可能だ。
 魔法を使用して水遣りが出来る分、時短になっているらしい。
 ダンジョン内はテイムしたボブに乗り移動するので、体力的にも問題ないみたいだ。

「そういえば、沙良。地下16階に生っている果物は何だったんだ?」

 兄に聞かれ、すっかり忘れていた事を思い出した。
 地下16階は攻略していないから、知らないんだよね。

「ごめん。Lv上げに集中してたから、確認してなかったよ。来週、調べてみるね!」

「お前がダンジョン産の果物を採取しないなんて珍しいな」

「ほら、お父さんがダンジョンにまだ不慣れだから注意してたんだよ」

「そうか? 父さんなら問題なく魔物を倒しそうなものだがな……」

 はぁ~。
 心臓が飛び出るかと思った!

 パーティー人数が増えたから、解体場に行くのは兄と一緒じゃなくて良かった。
 旭とお母さんが一緒だったけど、それぞれ担当者が違うので、お互い換金した魔物は分からない。

 換金した異世界のお金は旭の分以外、6人で均等割りする事にした。
 収入UPで旭のお母さんがニコニコしていたよ。

 母は日本円に換算すると絶句していた。

 ちなみに地下15階の常設依頼は、

 【ダンジョン地下15階 常設依頼 C級】
 癒し草10本 銅貨1枚
 魔力草5本 銅貨1枚
 三つ目ベア 金貨1枚(魔石・本体必要)
 迷宮イーグル 金貨3枚(魔石・本体必要)
 ポイズンアント 銀貨20枚(魔石)
 キングアント 銀貨50枚(魔石)
 迷宮モンキー 銀貨30枚(魔石・本体必要)
 迷宮ナマズ 金貨5枚(魔石・本体必要)  
  
 となっている。

 もう計算する必要もないくらい稼いでいるから、老後は安泰あんたいだ。
 兄は異世界のお金に興味がないので、いつも私が管理している。

 両親の分は母に渡しておいた。
 父に換金してもらい貯金をするのかな?

 2時間後。
 楽しい食事会を終え、それぞれの家に帰った。
 
 翌日土曜日。
 兄に1人で異世界に行くなと言われているので、父と一緒に奏屋かなでやに新しい果物を卸しに行く。
 2人は新婚のため早朝からは遠慮したのだ。 
 
 父はダンジョン産の果物が高く売れる事を知り驚いていた。
 アメリカンチェリーは銀貨15枚・佐藤錦は銀貨40枚で、それぞれ20個卸す事になった。

 これから父がガーグ老の工房へ向かうと言うので、私も一緒に付いていく。
 店を出ると、2匹の白ふくろうが上空から猛スピードで降りてきた。

 そして父の両肩に止まる。
 余程、父の事がお気に入りらしい。

 ガーグ老の工房に到着すると、今日も顔中ポーションまみれのご老人達が出迎えてくれる。
 最早もはや、見慣れた光景だ。

「こんにちは~」

「サラ……ちゃん、父親殿ようきた。今日は、何用であったかの?」

「ガーグ老。先週話していた、娘の結婚相手を決めたい。周知はなるべく早い方がいいだろう」

 父はどうやら、先週相談していた件を決めたいようだ。

「おお、そうか。うむ、それなんだが……相手は儂がいいだろう」

 えっ!?
 息子さんを紹介してくれるはずでは?

「ご老人。いくら何でも娘より年上過ぎる」

 ガーグ老の答えに、父が顔をしかめて抗議した。

「いや、結果がそうなったのだ。これは譲れん!」

 いやいやそれは、どうでしょう?

 私が断ると角が立つから、ここは父に是非ぜひ頑張ってもらわないと!
 偽装結婚とはいえ、結婚式を挙げる心算つもりでいるからね。

 皆の前でお披露目ひろめする相手がご老人じゃ、私の趣味が疑われるよ!

 父とガーグ老がしばにらみ合い、お互い剣を手にする。
 
 もしかして説得は剣でするの?
 お父さん、私のために頑張ってよ!

 その後、2人の仕合が始まった。
 私は、ハラハラしながら2人が剣戟けんげきを交わす姿を見守る。

 剣の動きが速すぎて見えないんだけど……。

 そして15分後――。
 持っていた剣をはじき飛ばされた父の首に、ガーグ老の剣が当てられた。

 これは……、父が負けたって事だよね?

 ガーグ老が剣を下ろし仕合は終了。
 父は私に向かい頭を下げ、「すまない。俺には相手が強すぎた……」と謝罪する。

「じゃあ、私の結婚相手は……ガーグ老?」

「そういう事になる」  

 その瞬間、私はガーグ老の4番目の妻になる事が決定した。
 しかも同時に5人の子持ちになる。

 あの人達の身内になるのか……。
 私は遠い目になり未来を想像した。

 誰か助けて~!
 どうしてこうなった!?

 アシュカナ帝国の王め……。
 絶対に恨みを晴らしてやるから、首を洗って待つがいいわ!

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