自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
480 / 757
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第616話 迷宮都市 地下15階 秘密のLv上げ24(摩天楼のダンジョン30階)&従魔用アイテム

しおりを挟む
 迷宮都市ダンジョン地下15階の安全地帯へ移動し、テントからホーム内に戻ってくる。
 宝箱の中身に納得いかない私は少し不機嫌だった。
 すると兄が近付いてきて、私の頬を軽くまむ。

「沙良。何を怒っているんだ? 怖い顔になってるぞ?」

「ゔ~少しイライラしてるだけだよ」

「そうか? 理由は分からんが、皆が心配するから早く機嫌を直せ。可愛い顔が台無しだ」

 兄はそう言って、頬から手を外しなだめるように頭をポンポンとたたいた。
 リーダーの私が不機嫌な顔をしていたら、パーティーの士気が下がるわよね。
 宝箱の件は4人しか知らないので、不審に思われないようにしないと……。
 その後、表情をつくろい再びテント内へ移動。
 2パーティーに分かれ3回目の攻略を開始する。

 気分を変えるため直ぐに摩天楼まてんろうのダンジョンへはいかず、地下1階の魔物を槍で倒そう。
 突進してくるファングボアに対し、ターンラカネリの槍を取り出し投げつける。
 槍はファングボアにかすりもせず、迷路状の壁に刺さった……。
 いっ、いつか投擲とうてき術を習得出来れば当たるはず
 直ぐに短槍で仕留め、戻ってきた槍をつかむ。
 その後、何度も投げてみたけど魔物には刺さらない。
 そばで見ていた父とかなで伯父さんに笑われてしまった。
 誰だって、最初はこんなものだよ!
 2人共、笑うなんてひどい! 

 ガーグ老から、槍術Lv5になれば地下5階の魔物を倒しても良いと言われている。
 早くLvを上げたいので今週はなるべく地下1階を攻略しよう。
 戻らないとセイさんが心配するといけないから、1時間ほど魔物を倒した後で摩天楼のダンジョンへ。
 テント内にいるセイさんへ遅くなったのを謝り、宝箱の中身を取り出しアイテムBOXへ収納しようとした所で、もう一つ入っているのに気付いた。
 金の指輪……?
 宝箱には、パーティー人数分だけしか入っていないはずなのに誰の分だろう?
 指輪を取り出し、性能を父に鑑定してもらうと従魔用のアイテムだった。
 首輪と同じで大きさは自在に変化するらしい。
 めると速度2倍の効果がある。

 私の従魔は、シルバー、泰雅たいが黄金こがねがいるけど黄金こがねはまだ最近テイムしたばかり。
 シルバーと泰雅たいが用なら、2個なければおかしい。
 となると、これはポチ用かしら?
 父の肩に乗り、いつも一緒に攻略しているからパーティーメンバーとみなされたのだろうか?
 従魔用のアイテムが一番良い物のような気がする。
 でも摩天楼のダンジョンを攻略している件はガーグ老へ話せないから、ポチへ指輪をめる訳にはいかないだろうな……。

 勿体もったいないから、シルバーに付けておこう。
 シルバーの右足を持ち上げ指輪を近付けると、見る見るうちに大きさが変化し足首に装着された。
 これは錬金術で作られた物?
 シルバーは従魔用のアイテムを嵌められても嫌がらず、尻尾を振りご機嫌な様子だ。
 ポチには悪いけど、有効活用させてもらうわね。
 シルバーに乗ったセイさんの討伐の様子をテント内から見てみると、いつもよりシルバーの動きが速い。
 これ……私を乗せた時は、速度制限されるから意味ないかも?
 きっと私と一緒の時は、こんなに速く動いてはくれないだろう。
 
 宝箱がハズレだったため、さっさと階層を上がろうと父へ提案したら、もう一度だけ宝箱を待ってみようと言われた。
 こればっかりは運だから、次は良い物が当たる可能性も否定出来ず30階を後30日だけ攻略する事に決める。
 次もハズレだったら、ダンジョンマスターに突撃しようとひそかに思ったのは内緒だ。
 誰だか知らないけど男性なのは間違いない。
 またビキニだったら一発殴ってやる!

 テント内で暇な奏伯父さんは、料理を作っている私を見ながら異世界の話を教えてくれた。
 伯父さんが宝箱を開けた時は、マジックバッグ100㎥が入っていたそうだ。
 ちなみに魔道具屋では金貨1,350枚(13億5千万円)で売っていると聞き、唖然あぜんとなる。
 高っ!!
 摩天楼のダンジョンを攻略出来るのはA級冒険者以上だけど、それにしても高額過ぎる。
 俺はラッキーだったなと笑っていた。
 マジックバッグは誰が作っているのか尋ねると、空間魔法持ちの人間だと言う。
 ただし、それは国が厳重に秘匿ひとくしているので詳細は分からないらしい。
 
 どうやら重要な魔法を使用出来る人間は、国に保護されているようだ。
 薬師ギルドのように、錬金術ギルドや従魔ギルドの存在もない。
 地球からダンジョンマスターとして召喚されている人間がいるのも、知らなかったと言う。
 異世界ではダンジョンマスターを見た人がいないのかな?
 旭はリースナーのダンジョン地下10階にいたけど、普通はもっと大型ダンジョンに召喚されるんだろうか?
 カルドサリ王国内にある大型ダンジョンは、全て攻略されていないものばかり。
 最終階層にいるダンジョンマスターの姿を、見た事がある冒険者がいないのも当然か……。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
しおりを挟む
感想 2,580

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

妹が真の聖女だったので、偽りの聖女である私は追放されました。でも、聖女の役目はものすごく退屈だったので、最高に嬉しいです【完結】

小平ニコ
ファンタジー
「お姉様、よくも私から夢を奪ってくれたわね。絶対に許さない」  私の妹――シャノーラはそう言うと、計略を巡らし、私から聖女の座を奪った。……でも、私は最高に良い気分だった。だって私、もともと聖女なんかになりたくなかったから。  退職金を貰い、大喜びで国を出た私は、『真の聖女』として国を守る立場になったシャノーラのことを思った。……あの子、聖女になって、一日の休みもなく国を守るのがどれだけ大変なことか、ちゃんと分かってるのかしら?  案の定、シャノーラはよく理解していなかった。  聖女として役目を果たしていくのが、とてつもなく困難な道であることを……

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。