自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
549 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第672話 迷宮都市 地下15階&摩天楼のダンジョン(100階) ダンジョンマスターへの殴り込み

 前回宝箱の中身を見た時、決めていた事がある。
 2度目もふざけたアイテムならダンジョンマスターへ会いに行き、殴ってやろうと思っていたのだ。
 最終階層に誰がいるかは分からないけど、1発殴ってとっとと移転すれば問題ない。
 もしダンジョンマスターではなく魔物の場合は、魔石を体内から抜き取ればいいし魔法無効の敵ならアイテムBOXに収納すればいい。
 魔力を使用しないアイテムBOXは、魔法無効の魔物にも通用するはずだ。
 王都で誘拐された際、魔法無効の部屋で犯人を収納出来たから実証済みだしね。

 密かに決意を固めて隣の兄へアイコンタクトを送る。
 不機嫌な顔をしていた兄はニヤリと笑いうなずいてくれた。
 よし! 兄の了解ももらえたし早速さっそく移動開始だ!
 兄と移転しようとしたところ、不穏な気配を感じたのか父といつきおじさんから両手をつかまれ、一緒に移転する事になってしまった。
 まっいいか、このまま移動しよう。

 上の階層へ次々と移転していく。
 森のダンジョン以降は1階層毎に移転する必要があるのがめんどくさいけど、まぁそれも一瞬だから文句は言えない。
 普通は自分達で移動するのを考えたら、かなり早く攻略出来る。
 81階は海になっており驚いた。
 飛翔魔法が使えてよかったよ。
 危うく海に落ちる所だった……。
 
 摩天楼まてんろうのダンジョンは何階層まであるんだろう?
 90階を過ぎてもまだ最終階に辿たどり着けない。
 99階、次は100階だ。
 きりのいい数字だから、そろそろかな?
 100階層。
 ついに例の狭い空間が現れる。
 旭がいた最終階層だけは、20畳くらいの狭い空間になっていたのだ。
 勢い100階層に移転した瞬間、私は声を上げた。

「男性陣は後ろを向いて!」

 宝箱のアイテムから、てっきりダンジョンマスターは男性だとばかり思っていたのに、目の前で全裸になり剣舞をしているのはどう見ても女性だった。
 後ろ姿だけど、この剣舞には見覚えがある。
 あかね……。
 その研ぎ澄まされた美しい剣舞は、何よりも本人である事を雄弁ゆうべんに物語っていた。
 なつかしさで目頭が熱くなる。
 けれど、全裸は駄目だ。
 身内はまだいいとして、樹おじさんに見せる訳にはいかない。
 例え本人が気にしないとしても、一応女性だからね。
 声に気付いた茜が、素早く振り返る。
 その時には男性陣が私の言葉に従い、全員後ろを向いていた。

「誰だっ!」

 鋭い誰何すいかと共に剣を投げつけられる。
 危ないなぁ~。
 私は怪我をしないよう即座にアイテムBOXへ収納し、茜に近付いて取り出したリッチのマントを羽織はおらせた。
 体が見えないよう、しっかりと前を合わせておく。
 記憶より少し老けた妹は、ショートにしていた髪が随分ずいぶん伸びていた。
 8年振りの再会だけど、姿が変わった私には気付かないだろう。

「お兄ちゃん達、もう前を向いていいよ~」

 突然現れた私達を茜は胡乱うろんげに見つめ、数秒後には驚愕きょうがくに目をみはる。

「……父さん? に樹おじさん、それに兄貴は異世界にいたのか……。そりゃ探しても見付からない訳だ。どうして全員が若返ってるんだ?」

「茜こそ、ダンジョンマスターに召喚されたのか!?」

 兄は驚き過ぎ声が裏返っていた。

「俺が沙良に召喚される時には、まだ日本にいただろう?」

 父も不思議そうに首をかしげる。

「沙良って……。姉さんは生きているのか!?」

 茜は父に詰め寄りえり首をつかむ。
 腕を出したら見えちゃうでしょ!
 私は裸が見られないよう、必死に前をかき合わせた。
 もう、恥じらいは何処どこに捨ててきたの?
 そして貴女の姉なら、ここにいます。

「はいは~い、姉の沙良よ~。茜、久し振りね!」

 そこでようやく見知らぬ私に目を向け、茜は父と兄へ視線で確認をする。
 2人が首を大きく上下させたのを見て、恐る恐る近付いてきた。

「沙良姉さん……。なんでまた、誘拐されそうな美人になってるんだ」

 えっ! 突っ込む所は、そこなの?
 いや確かに誘拐はされたけれども……。

「茜、再会したばかりで悪いんだけど詳しい話は後でいいかな? まだ攻略中だから家に送るね」

 私はアイテムBOXに茜を収納し、ダンジョンから連れ帰りホームの実家で出してあげた。
 茜は突然景色が変わり驚いていたけど、場所が実家だと分かるとそこにいた母を見付け抱きつく。

「母さん!」

「茜? あら、貴方は若くなってないのね。沙良が召喚したんじゃないの?」

 異世界に召喚してから、まだ3ヶ月も経っていないため母は久し振りに会った感じがしないんだろう。
 至って普通に茜へ話しかける。
 それに対し、茜は母をぎゅうぎゅう強く抱き締めるから少々心配になってしまった。

「茜、お母さんは妊娠中だから程々にね~」

「ええええぇ~!」
 
 流石さすがに母の妊娠には驚いたのか、茜がぱっと体から離れた。
 私は手短に茜が摩天楼のダンジョンマスターだったと伝え、召喚はせずそのままアイテムBOXに収納して移動させた事を話す。 
 後は母から事情を説明してもらおう。
 再び摩天楼のダンジョン100階層に戻り、室内にある全ての物を収納する。
 といっても大した物は置いてなかった。
 次に30階のテント内へ戻り、シュウゲンさんをホームの実家に送り迷宮都市ダンジョン15階へ移動。
 テントからホームへ移転しメンバーに茜が見付かった事を話した。
 
「まぁ! 茜ちゃん、ダンジョンマスターだったの? うちの尚人なおとと一緒ね~」
  
 しずくちゃんのお母さんは、見付かって良かったわね~と笑みを浮かべている。 

「あっ、茜ちゃん見付かったんだ……。ここまでか……」

 旭は茜が異世界にいたと分かり、兄へすがりつき涙目になっていた。
 茜が旭に対し意地悪ばかりしていたのは、兄を取られたくなかった所為せいだろう。
 2人が結婚したと知れば、また嫌がらせされるんじゃないかと心配らしい。
 茜も大人になってるから、大丈夫だと思うよ?
 それにしても、どうして宝箱の中身があんなに残念な仕様だったんだろう。
 茜は冒険者に恨みでもあるのか……。
 一発殴ってやろうと思ったけど、妹じゃなぁ~。

 ダンジョンマスターが妹でかなり驚いた。
 摩天楼のダンジョンを攻略せず宝箱の中身に文句を言おうと思わなければ、茜と再会するのはずっと先だったに違いない。
 そう考えると、あの中身は偶然だったのだろうか?
 あっ、旦那さんは一緒じゃないみたい。
 Lv55になって1人召喚出来るから呼んであげよう。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇