自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第725話 旭 樹 再召喚 19 王宮にある肖像画対策&飛翔魔法の練習

 渡した腕輪をひびき早速さっそく、身に着けていた。

「姫様。魔道具を作られたとは、どういう事かの? 空間魔法は、お持ちではなかったと思うが……」

「新しく習得した魔法です。あっ、飛翔魔法も使用出来るようになりました。娘を産んでから、魔法を覚えやすくなったのかしら? それに長い間、精霊王の加護を受け眠っていた影響もあるかも知れないわ」

 これじゃ少し言い訳が苦しいか?

「それでは精霊王に感謝せねばなりませんな。姫様が御子を守るため、新しい魔法を習得出来るようになったのかもしれぬ」

 ガーグ老は、そう言い納得したのかうなずいていた。
 精霊王の加護は便利でいいな……、何かあれば全部これで通そう。

「ガーグ老、問題が発生しました。王宮に私の肖像画が飾られているようです。娘が見に行くと困るので、何か対策をしないといけません」

「あぁ、歴代の王族が飾られている場所があるな。王宮に忍び込むのは難しいぞ? 入口は24時間、衛兵が守っているし、空からの侵入対策に結界が張ってある。それに貴族の身分証がないと入れない」

 俺の言葉を聞き響が考え込んだ。

「身分証……。結婚した時、渡されたカードのような物かしら?」

「王族に身分証を提示する必要はないがな。自国の王と第二王妃の顔を知らぬ衛兵はいないだろう。そう言えば、王都にある隠れ家から王宮へ続く道がある。娘が肖像画を見る前に盗み出せば問題ないか?」

「隠れ家?」

「あぁ、お前は子供を生んだら冒険者をしたがっていただろう? 第二王妃の予算が余っていたから、お忍び用に家を購入しておいたんだ」

 それは初耳だ。
 俺がドワーフの名匠めいしょうが鍛えた剣をあつらえたように、響は一緒に冒険者をする約束を叶えようと思ってくれていたのか……。
 あのまま死ななければ娘を出産した後、こいつと楽しく冒険者をしていたかもな。
 そう思ったら少し胸が熱くなった。
 不意打ちで感動させられ、目尻に涙が浮かぶ。

「そうですか。では、その隠れ家から王宮に入れるのですね。ガーグ老、『迷彩めいさい』を使用し肖像画を盗んで下さい。時期は、また念話の魔道具で連絡します」

「姫様の肖像画が、まだ王宮に飾られていたとは驚くわい。承知した、正装した姿の肖像画は貴重だでな。森の家にでも飾っておけばよい」

 滅多に正装しないヒルダの姿が描かれた肖像画があると知り、ガーグ老はどことなく嬉しそうにしている。
 問題が解決しそうで良かったな。
 話し合いを終え工房から出ると、昼食の準備が整っていた。

「お待たせしました。皆さん、今日もありがとうございます。お昼のメニューは、『餃子ぎょうざ』です。熱いから注意して下さいね。それでは頂きましょう」

「頂きます!」

 娘の挨拶で皆が食べ始める。
 今日は、これから飛翔魔法の練習をする予定なので酒が飲めない。
 『餃子』はビールに合うんだけどなぁ~。
 家具職人の仕事を休業しているガーグ老達は、エールを片手に食べていた。

「これが『餃子』か! 姫様が言われた通り、酒によく合うの~」

 じいは姫様呼びが抜けないらしい。
 娘は俺じゃなく、亡くなった姫様の話だと思ってくれるだろうか?
 旭家の妖精へのお供えはしずくが作った物なので、今日は『万象ばんしょう』達が木から落ちずに済んだようだ。
 妖精からの手紙を嬉しそうに妻へ見せている。
 結花ゆかより雫の方が料理が上手で安心した。

 昼食を食べ、義祖父と義父を残し工房を出る。
 飛翔魔法は一般的な魔法ではないため、ホーム内に移転して練習するようだ。
 俺もLv上げをしよう
 魔物から習得した魔法は、呪文を唱える必要がないので初動が早い。
 精霊魔法とは違い、自分のMPを消費する魔法だから飛ぶイメージが重要だ。

 現代日本に住んでいた俺達は、移動速度が速い乗り物を知っているから想像しやすいだろう。
 体が浮き上がるようイメージすると、地面から離れた。
 この魔法は特に空中でバランスを取る必要もないのか、そのままの体勢が保持されるらしい。
 問題ない事を確認し一気に空へと上昇する。
 あぁ、風を切って飛ぶのは気分がいい。
 バイクの速度くらいなら、出しても大丈夫そうだ。
 それ以上だと風圧が掛かるか?

 覚えたばかりの魔法を使用し息子も妻も楽しそうに飛んでいたが、魔法を習得出来なかった雫がねている。
 尚人なおとが気付き、雫を抱き上げ飛翔魔法を体験させていた。
 しばらく俺達の練習風景を見ていた沙良ちゃんが、飛翔魔法の練習を始める。
 いきなり10mの高さまで飛び上がるので、俺はあせり娘のもとに駆け寄った。
 同じ考えの響と賢也けんや君に先を越されてしまったが、2人がしっかりと娘の両手をつかんでいるのを見てほっとする。
 俺は後ろに回り、落ちても大丈夫なよう待機した。

 妻は、かなりの速度を出しているな……。
 結花はスピード狂だ。
 ハンドルを握ると人格が変わると言う言葉通りで、俺は妻の運転している車に乗りたくなかった。
 事故を起こした事はないが、助手席に座っていると生きた心地がしない。
 まぁ彼女は速度を出しても慣れているから心配不要か?
 問題は何をするか分からない娘の方だ。
 案の定、空中で突然飛翔魔法を解除したのを賢也君に怒られている。

「沙良。危ない真似はするな!」

「ごめんなさい」

 一応、反省した素振りを見せているが信用出来ない。
 すると響が俺に向かって呟いた。

「はぁ~。お前は誰に似たんだろうな……」

 えっ!? 俺は、そんな無茶しないぞ!
 飛翔魔法使用中に解除しようなんて真似は、自殺行為だろ?
 娘が何をしたかったのか分かる訳ない。
 あとで賢也君から多分、映画で見た飛行機から飛び降りるシーンを再現したかったんじゃないかと聞かされ絶句ぜっくした。
 何で、そんな危険な行為こういをしようとするんだ!
 俺達は絶対、沙良ちゃんを1人で練習させないと決めた。

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