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月芝

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022 ポポの里防衛戦。中盤戦!

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 スコップの先端を垂直に、ググッっとチカラを込めてさし入れる。
 ある程度まで深く入ったら、そこで手元をぐりぐり。これにより先端もぐりぐり。
 その際に手のひらに意識を集中し、感触の変化を探る。
 何かが先端に触れたならば、当たり!
 これを中心にして半円を描くように、スコップ全体を動かす。
 二度ほど軌道を往復。対象が周囲より外れたところで、さらにググッとスコップをひと押し。
 でもって、あとはえぐるようにして、いっきに堀り起こす。
 さすればごっそり収穫されるのは、茎と根、それからたわわに実った芋がふたつ。

 あー、これ。やんわりした比喩だから。
 いや、さすがにシロザルたちがサクサク去勢される場面を克明に語るのは、あまりにもしのびなかったもので。
 いわゆる自主規制というやつである。
 まぁ、それでも手心を加えるつもりは毛頭ないけどね。
 次々とわたしによって収穫される、シロザルどもの大切なところ。
 そんな手間をかけずに、いっそのことちょん切れば簡単だと思われるかもしれないが、それは銅禍獣の回復力を侮りすぎである。あいつらの性欲を舐めてはいけない。中途半端に残すと、またぞろにょきっと生えてくる。それをさせないためには根こそぎ抉るしかない。ようは雑草と同じ。
 そして農家の小娘にとっては、雑草の扱いはお手の物。
 ついでにわたしは芋堀りもけっこう得意なのだ。

  ◇

 最初はスコップを持った小娘にやられる仲間たちの姿を、「ウキキ」と小馬鹿にしていたシロザルたち。
 だが犠牲者の数が、二桁に達する頃にはすでに余裕はなく、牙をむき「キーキー」、全身の毛を逆立てて、猛り狂っていた。
 しかしそんな喧騒もじきに静まる。
 その場にいた約半数が股間から血を流し悶絶。無残な姿を晒すに至ったからだ。
 ちんちくりんの小娘。
 その正体が、じつは自分たちの天敵のような悪鬼だとわかり、戦慄を禁じ得ないシロザルたち。

「さぁ、次はどいつが新世界に旅立つ?」

 わたしが一歩近づくと、シロザルたちがサッと一歩引いた。
 もう一歩近づくと、シロザルたちが及び腰にてササッと数歩下がる。
 わたしは白銀のスコップをふりかざして「シャーッ!」と威嚇。
 とたんにシロザルどもが「ピギャアー!」と悲鳴をあげて一斉に背を向けた。
 こけつまろびつ逃げ出すシロザルたち。

 遠ざかる連中を尻目に、わたしは付近に落ちていた下衣の袴(はかま)を拾うと、サンタに投げてやる。
 これを無言で受け取ったサンタ。
 助かったことよりも、みっともない姿をイケてない幼なじみの女の子に見られただけでなく、助けられるという恥辱にて、奥歯をギリギリ。

「ちくしょう。オレだって勇者のつるぎがあれば」

 袴に足を通しつつ、悔しまぎれにサンタがつぶやいた。
 これを耳にしたミヤビ「それはちがいますわ」と言いかけたとき、アカザルの大物を仕留めたホランが意気揚々と合流。ドヤ顔がちょっとうざい。
 惨状を目の当たりにして、「敵ながらむごい……。にしても執拗なまでの股間攻め。勇者のつるぎを使えば、もっと楽に狩れただろうに」とホラン、若干顔を引きつらせる。

「あんまり無茶を言わないでよ。わたし、剣はてんでダメなの。まえに学び舎の授業で習ったんだけど、ロウさんからは稀にみる剣才のなさとあきれられたんだから。神父さまからも『周囲が迷惑するからチヨコは剣に近づくな』って言われてたし。それが何の因果か剣の母に……。人生、何があるかわからないものだね。あー、あと股間攻めに関しては、世のオスどもの急所がそこだからだよ」

 強かろうが弱かろうが、大きかろうが小さかろうが、老若種族を問わず、生物分類上のオスである以上は効果てきめん。
 一撃爆死にて英雄豪傑すらもが悶絶必至。
 そんな最大の弱点があるのならば、これを狙うのが当たり前。
 わたしは理路整然と股間攻めの有益性を解き、シュッシュッとミヤビを突き入れる仕草をしてみせる。

「臆することなく、素早く敵の懐にもぐりこんで、えぐるように打つべし! 打つべし! 打つべし!」

 それを見たホランが、サンタの肩をぽんと叩く。

「これで坊主もわかっただろう? 勇者のつるぎはたしかにすげえ。でも、本当にヤバいのはチヨコだ。ふつう天剣を使っての股間攻めなんて、絶対に思いつきやしないぞ。しかも一切のためらいがない。ぶっちゃけオレはいま、サルどもより嬢ちゃんの方が怖い」

 ホランが失礼な本音をぽろり。
 それを受けてサンタおよび悪童どもの首がコクコク上下にゆれた。


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