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08 捕獲
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「ご機嫌よう。沢良宜花蓮さん」
美人のお姉さんからは、そこはかとなく危険な香りがしました。
だからすぐに私は逃げ出そうとする、だがそこで異変に気が付いた。すぐ近くにいたはずの先生の体がピタリと固まっている。教室内の生徒たちも、ガラス窓越しに見える鳩も翼を広げた状態で空中にて止まっている、視界の中のありとあらゆるものが動いていない。そして自分自身をも一歩も動けない状態にあった。
「悪いとは思ったけれど、世界を止めさせてもらったわ。こうでもしないと貴女は捕まえられそうにもないもの。でも他の連中とは違って口は利けるようにしてあるから、私が言っていることはちゃんと聞こえてるでしょう」
「……はい。ところで貴女は一体」
「私? 私は女神さまよ。ちゃんと名乗ったところで低次元の貴女たちじゃ、聞き取れないから」
「それで女神さまが、どうしてこのようなことを」
「もちろん貴女を手に入れるためよ」
「えっ! それはちょっと……、私も最初ぐらいは人並の恋がしたいので、いきなり同性相手のお付き合いは……、ごめんなさい。貴女とは付き合えません」
「ちょっと! なに勘違いしてるのよ! なんで私が振られたみたいな話になってんのよ!」
丁重にお断りを申し上げたら、何故だか女神さまに怒られた。
ああ、神とはかくも理不尽な者なるか。
「と・に・か・く、貴女には異世界に行って、勇者をしてもらいます。もう、クラスメイトたちもとっくに旅立ったわよ。だから今度は貴女の番」
何故だか勝ち誇ったような表情の女神さま。胸がバインバインです。
「でも……」
「でもも案山子もない。これは決定事項よ」
「いえ、もうクラスメイトたちが、勇者として向かったんですよね」
「そうよ」
「だったら私、いらないんじゃないんですか? それとも勇者って、そんなに何人も必要なんですか?」
私が素朴な疑問を口にしたら、アッと小さな声を上げる女神さま。途端に目が泳ぎだしたところをみると、どうやら私は要らない子らしい。これはもう一押しで逃げ切れるか? と期待しましたが、思った以上に目の前の女性は、見た目ほど大人じゃありませんでいた。
「……駄目よ。私を散々にコケにしてくれたんだから。貴女には異世界に行ってもらいます。それもノーチートでスキルなし。どう? 悔しいでしょう。素直に召喚に応じていれば、いまごろチート満載でウハウハだったのに、あー、いい気味だわ。ようやくスカッとした」
ふむ。どうやら私の異世界行きは避けられないようです。こんなのでも一応は神様みたいだし、歩く市松人形と揶揄されるような、小娘にはどうしようもありません。
こうして転校二日目にして、高笑いする爆乳金髪美女に、学校から拉致された私なのであった。
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「……はい。ところで貴女は一体」
「私? 私は女神さまよ。ちゃんと名乗ったところで低次元の貴女たちじゃ、聞き取れないから」
「それで女神さまが、どうしてこのようなことを」
「もちろん貴女を手に入れるためよ」
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「ちょっと! なに勘違いしてるのよ! なんで私が振られたみたいな話になってんのよ!」
丁重にお断りを申し上げたら、何故だか女神さまに怒られた。
ああ、神とはかくも理不尽な者なるか。
「と・に・か・く、貴女には異世界に行って、勇者をしてもらいます。もう、クラスメイトたちもとっくに旅立ったわよ。だから今度は貴女の番」
何故だか勝ち誇ったような表情の女神さま。胸がバインバインです。
「でも……」
「でもも案山子もない。これは決定事項よ」
「いえ、もうクラスメイトたちが、勇者として向かったんですよね」
「そうよ」
「だったら私、いらないんじゃないんですか? それとも勇者って、そんなに何人も必要なんですか?」
私が素朴な疑問を口にしたら、アッと小さな声を上げる女神さま。途端に目が泳ぎだしたところをみると、どうやら私は要らない子らしい。これはもう一押しで逃げ切れるか? と期待しましたが、思った以上に目の前の女性は、見た目ほど大人じゃありませんでいた。
「……駄目よ。私を散々にコケにしてくれたんだから。貴女には異世界に行ってもらいます。それもノーチートでスキルなし。どう? 悔しいでしょう。素直に召喚に応じていれば、いまごろチート満載でウハウハだったのに、あー、いい気味だわ。ようやくスカッとした」
ふむ。どうやら私の異世界行きは避けられないようです。こんなのでも一応は神様みたいだし、歩く市松人形と揶揄されるような、小娘にはどうしようもありません。
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