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16 王都出立
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華々しい出陣式の後に、勇者組を含めた総勢、二千もの軍勢が王都より出発しました。目指すは連合が集結する、魔族領との境界付近にある砦の側の平原です。
乗馬の訓練をしていた子たちは馬にまたがり、それ以外は馬車の荷台に揺られての行軍。初めのうちは興奮してはしゃいでいたクラスメイトらも、すぐに沈黙してしまいました。いやはや、満足に舗装のされていない道を進む馬車の、揺れること揺れること。大部分の生徒たちが、酔って顔を真っ青にしています。
私? 私は余裕です。荒れ狂う波間に母と二人して小舟で乗り出したことを思えば、こんなものは屁でもありません。あと一人だけ別の荷馬車に積まれて運ばれていますよ。一緒にしていたら絡まれると考えた、どこかの優しい誰かさんの配慮らしいです。
たぶん騎士団長さまあたりから申し付けられたのでしょう。あの軽薄そうなイケメン王子さまに、そんな気遣いが出来るとは到底思えませんから。あの人は自分にとって益になる相手と、そうでない相手に向ける視線が露骨に違います。お姫様はまだ取り繕うだけの知恵と忍耐があるのですが、こっちは駄目ですねぇ。無駄に肥大化したプライドが邪魔をして、他人に頭が下げられないタイプのようです。この分だと次期王位は、あの野心家のお姫様の手に渡りそうです。
あの方、自分の望みを叶えるためならば、股ぐらいサクッと開くようですし。裏でメイドさんたちが「ビッチ外相閣下」とか悪口を言っているのを耳にしましたから。勇者組のうちの何人かが、すでに喰われている節もあるようですし、着々と裏で地盤を固めているようです。大したものです。私は嫌いじゃないですよ、夢にガムシャラな人って。
一日目の行程を終えて、野営に入りました。
みんなで焚火を囲んでの、野外での食事って楽しいです。簡素な塩味がいつもより美味しく感じられますし、燃え盛る火を見ているだけで、なんだかワクワクしてきますね。私は勇者組とは一人別れて、炊事などを担当する補給班の兵士らと一緒に過ごしています。創成魔法により産み出した文房具で荒稼ぎした資金により、大量に手に入れたドライフルーツをみなに振舞うと、あっという間にハートキャッチで、仲良くなりました。甘味は偉大です。行軍で疲れた強面の兵士らの心もとろかすのですから。
そんな私とは対照的に勇者組はお通夜の様相、みなグロッキーで食欲もないようです。せっかく用意された夕飯にもほとんど手を付けられないご様子。
……よかった、あっちと別行動で。
二日目の行軍中にモンスターと遭遇しました。
正しくは兵士らが発見した、数体の狼みたいなモンスターらを追い立てて、勇者らに倒させるという実践訓練だったのですが、その結果は両極端に別れてしまいました。
元が阿呆なのか、ゲームのノリでやっつけてケロリとしている人と、倒した後の状況に耐えきれずに、物陰で吐いている人とに。一見すると前者の方が頼り甲斐がありそうですが、兵士によると逆だそうです。ちゃんと状況を理解せずに、調子に乗っている奴は、いざという時になったら、あっさりと心が折れて使い物にならないそうです。何度かゲロってでも、少しずつ耐性を身に着けた方がいいと、私の隣にいた草臥れたおっさん兵長が教えてくれました。
その後も何度か同様の訓練を繰り返しました。陽が暮れて野営に入る頃には、私以外の勇者組は、みなげっそりとなっています。初めのうちは調子に乗っていた連中も同様です。何度か危ない場面を経験することで、命のやり取り、その重みを痛感したようです。
そして三日目、私の身に転機が起こりました。
乗馬の訓練をしていた子たちは馬にまたがり、それ以外は馬車の荷台に揺られての行軍。初めのうちは興奮してはしゃいでいたクラスメイトらも、すぐに沈黙してしまいました。いやはや、満足に舗装のされていない道を進む馬車の、揺れること揺れること。大部分の生徒たちが、酔って顔を真っ青にしています。
私? 私は余裕です。荒れ狂う波間に母と二人して小舟で乗り出したことを思えば、こんなものは屁でもありません。あと一人だけ別の荷馬車に積まれて運ばれていますよ。一緒にしていたら絡まれると考えた、どこかの優しい誰かさんの配慮らしいです。
たぶん騎士団長さまあたりから申し付けられたのでしょう。あの軽薄そうなイケメン王子さまに、そんな気遣いが出来るとは到底思えませんから。あの人は自分にとって益になる相手と、そうでない相手に向ける視線が露骨に違います。お姫様はまだ取り繕うだけの知恵と忍耐があるのですが、こっちは駄目ですねぇ。無駄に肥大化したプライドが邪魔をして、他人に頭が下げられないタイプのようです。この分だと次期王位は、あの野心家のお姫様の手に渡りそうです。
あの方、自分の望みを叶えるためならば、股ぐらいサクッと開くようですし。裏でメイドさんたちが「ビッチ外相閣下」とか悪口を言っているのを耳にしましたから。勇者組のうちの何人かが、すでに喰われている節もあるようですし、着々と裏で地盤を固めているようです。大したものです。私は嫌いじゃないですよ、夢にガムシャラな人って。
一日目の行程を終えて、野営に入りました。
みんなで焚火を囲んでの、野外での食事って楽しいです。簡素な塩味がいつもより美味しく感じられますし、燃え盛る火を見ているだけで、なんだかワクワクしてきますね。私は勇者組とは一人別れて、炊事などを担当する補給班の兵士らと一緒に過ごしています。創成魔法により産み出した文房具で荒稼ぎした資金により、大量に手に入れたドライフルーツをみなに振舞うと、あっという間にハートキャッチで、仲良くなりました。甘味は偉大です。行軍で疲れた強面の兵士らの心もとろかすのですから。
そんな私とは対照的に勇者組はお通夜の様相、みなグロッキーで食欲もないようです。せっかく用意された夕飯にもほとんど手を付けられないご様子。
……よかった、あっちと別行動で。
二日目の行軍中にモンスターと遭遇しました。
正しくは兵士らが発見した、数体の狼みたいなモンスターらを追い立てて、勇者らに倒させるという実践訓練だったのですが、その結果は両極端に別れてしまいました。
元が阿呆なのか、ゲームのノリでやっつけてケロリとしている人と、倒した後の状況に耐えきれずに、物陰で吐いている人とに。一見すると前者の方が頼り甲斐がありそうですが、兵士によると逆だそうです。ちゃんと状況を理解せずに、調子に乗っている奴は、いざという時になったら、あっさりと心が折れて使い物にならないそうです。何度かゲロってでも、少しずつ耐性を身に着けた方がいいと、私の隣にいた草臥れたおっさん兵長が教えてくれました。
その後も何度か同様の訓練を繰り返しました。陽が暮れて野営に入る頃には、私以外の勇者組は、みなげっそりとなっています。初めのうちは調子に乗っていた連中も同様です。何度か危ない場面を経験することで、命のやり取り、その重みを痛感したようです。
そして三日目、私の身に転機が起こりました。
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