とりあえず逃げる、たまに頑張る、そんな少女のファンタジー。

月芝

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55 軍議

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 魔王城の一角にて開かれている軍議。
 魔王軍を構成する六つの部隊を率いる隊長と副官、その他の軍関係者のお歴々が揃っておりました。皆様方、ゴリゴリの戦闘職にて、とっても厳めしいです。
 そんな中に何故だか歩く市松人形が紛れ込んでいます。それも軍団を統括する方のすぐ隣の席で。
 自室にてのんびりと午後の紅茶を楽しんでいたら、いきなり現れたガラシャさまに拉致されました。中央塔の最上階からのダイブ、とんでもアトラクションにぐったりしているままに担がれ、ここまで運ばれて着席させられました。
「特別顧問として参加しろ」とのご命令です。悲しいかな居候に拒否権はありません。

 軍議は定例で開かれているようで、一通りの退屈な報告が済んだと思ったら、議題は新兵器へと移りました。私が発起人となった銃器類を扱う新設部隊を、どこの管轄下に置くのかで、ちょっと議場の空気が険しくなります。
 あぁ、別に誰も新兵器なんかには本気で期待していませんよ。単に新しい玩具が手に入りそうなので、互いに牽制し合っているだけ、「暇だからウチで遊ばせろ」ということです。まるで子供たちがボールを取り合っているようなもの。なにせ今や魔族領に燎原の火のごとく広がりを見せる、ゴーレムファイトの発案者が作った玩具ですから、大きなお友達らは興味津々なわけですよ。

 私がそんな様子をぼんやりと眺めていると、話しかけてくる男性がいました。
 技術開発局の方だそうです。新兵器の運用法について訊ねられたので、平面射撃だけでなく、航空部隊からの斉射や、絨毯爆撃なんかを進言しておきました。すると何故だかお礼に飴玉をもらいました、ミルク味でした。
 そうそう、言い忘れていましたが工房長に花火を頼んだら、何故だか爆弾が仕上がってきましたよ。線香花火でちょっぴりセンチメンタルを気取りたかっただけなのに。おかげで爆撃し放題です。

 話し合いは難航しましたが、結局、新設部隊は最前線の砦預かりに決まりました。
 だって対人兵器なのに的がいないと、試験運用になりませんから。
 幸いゴム弾や麻痺弾や麻酔弾の開発も済んでいるので、とりあえずよほど当たり所が悪くなければ、きっと人類も大丈夫でしょう。
 それでも玩具で遊びたい! とゴネる方には、訓練所に設けた射撃場にて存分に堪能して下さいとういことで、どうにか矛を収めてもらいました。

 後日、リースさんに付き添って射撃場を訪れたら、何故だかサバイバルゲームの会場が新たに併設されていました。そこでは軍服姿の殿方たちが駆けまわり、実弾がバンバンと飛び交っています。どうやら人類にとっては必殺の兵器も、魔族にとってはモデルガン扱いのようです。

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