とりあえず逃げる、たまに頑張る、そんな少女のファンタジー。

月芝

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58 レベル3

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 元の世界の料理に精通しているであろう、クラスメイトの宮原百合さんの消息は、まだ掴めていません。
 なんでも人類連合が内部分裂を起こし、決別してしまって勇者組を含めた王国の軍は、本国へと戻ってしまったようで、追跡がちょっと困難になっているようです。あくまで「ちょっと」なので、「じきに吉報が届くだろうから、寝て待て」と魔王様に言われました。かといってゴロゴロするのもなんですので、せっせと創成魔法にて文房具を出していますと、ピコンと創成魔法のレベルが3に上がりました。
 おぉ、これでついに念願のダンボールがお目見えするかと思ったのですが、無理でした。代わりに、何故だか私の手には手榴弾が握られています、どうして?
 試しにテラスから外に向かって、安全ピンを抜いて投げてみると、チュドンとしっかり爆発しました。どうやら本物のパイナップルみたいです。
 音に驚いたリースさんが駆け寄ってきたので、私は泣きつきました。

「なんか変なのが出せるようになったよー」

 しばしリースさんの大人の抱擁に癒されて、落ち着きを取り戻した私は彼女と一緒に、とりあえず検証作業に取りかかります。
 これまで文房具しか出せなかった創成魔法が、ここにきて一気に物騒になりました。武器がポイポイ創れちゃいます。消すことも自在です。しかも工房長製のモノとは違って、非力な私でも扱える品がです。威力は魔族製と人類製のちょうど中間位ですかね。
 リースさんが自分の腕に向かってパンパンと引き金を引いては「ちょっとくすぐったいですけど、コレなら利く子もいるかも」なんて仰っていましたので。その辺の雑魚モンスターなら対応可能とのお墨付きを頂けました。

 一応、魔王様に報告したら「ヘンなヤツ」って、ゲラゲラと笑われてしまいました。
 私が出した銃や手榴弾などを、一通りご自身の体でお試しになり、問題なしと判断なされました。ただしキノコ雲の上がるミサイル類は、許可なく創成することを禁じられました。火事が怖いとのことです。確かに火事は怖いですものね。

 そんなこんなでレベル3になった創成魔法、色々と遊んでいると私はある事に気がついてしまいました。そもそも私に武器の知識は大してありません。おぼろげな記憶を頼りに産み出しているに過ぎません。ということは、もしや想像だけで武器が出せちゃう?
 まさかねぇと半信半疑でやってみたら、レーザー銃が出せました。
 なんだかメカメカしたSFちっくな銀色の玩具の銃っぽいですが、ポチっと引き金代わりのボタンを押すと、シュビーンと集束された光が先端より飛び出し、天井に風穴を開けてしまいました。

「……これは、無かったことにしましょう」

 私は手の中の危険物を消去しました。
 どうやらコレがチートがチートたる所以であったようです。てっきり文房具を制作するだけの魔法だと思っていたのに。いずれはスラスラ書けるボールペンとか、デスク周りが愉しくなるお洒落なアイデア文具とかが出せるかもと期待していたのに、なんてこったい。

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