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70 出張中
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私こと沢良宜花蓮(さわらぎかれん)は現在、魔族領と知己な国に出張中です。
この頃、魔王様の人使いが荒いです。足の速いことと、小回りが利くことを理由に、ちょいちょいパシリに使われています。ぶーぶー文句を言ったら、「カレープロジェクトでクレームが殺到しているんだが……」と言われて、黙らされました。
食堂から漂ってくる胃袋を刺激する匂い、なのに開発途中ゆえにお預けをくっている方々から、猛烈な突き上げがきているんだとか。なんか、本当にすみません。
もっとも今回に限っては、王妃であるガラシャ大将軍の頼み事でもありますので、自主的に協力させて頂きますとも。
今回の私の任務は要人警護です。
わりと魔族領と古い付き合いのある国が、どうやら人類連合に狙われているようで、唯一の跡取りである王子さまを、害さんとする輩がいるそうです。
つまり彼らの思惑としては、一粒種の王子が何者かに殺害! それはきっと魔族のせいだー! よし、僕らと一緒に敵討ちをしようぜ! ようこそ、人類連合へ。という流れを狙っているらしいです。いやはや、なんともチープなシナリオですね。ですが実際に攻撃を受けているほうは堪りません。日夜、暗殺の恐怖に震えることになるのですから。
だったらお城の騎士とか兵士が頑張れよ、と言いたいところですが、どうやら相手方にかなりの手練れが揃っているらしく、苦戦しているみたい。どうしたって守る側が不利になりがちですしね。そんな話を聞きつけた魔王夫妻が、私を推挙したワケですよ。
見た目はちんまい市松人形、中身はズボラ、でも対人類ならばそこそこ戦える、相手からは警戒されなくて、危機察知もあるし、なおかつ普通に大手を振って人間領にある国にいられる……、選ばれた理由はそんなところですかね。
出張するにあたって、お供はセラーさんのみ。彼女の場合は私の影に住み着いているので、もはや完全に付属品扱いです。
ガラシャさまからは「とりあえず怪しい奴は、ぜんぶ撃て」と言われております。
だから護衛対象のご家族と初顔合わせの席にて、王子の側に立っていた子悪人面をした護衛の一人に、ぶっ放しました。一応はゴム弾にしておきましたよ。
おかげで一同騒然です。ですが直後に本当に敵の内通者だったことが判明。期せずして私は王様一家からの信頼を得ることになりました。
ああ、ご期待に添えなくて申し訳ありませんが、護衛対象とボディガードの禁断の恋なんて展開はありません。なにせ相手の王子様は御年五歳の坊やですから。
こうして始まる護衛生活。
昼間は私が、夜はセラーさんの二交代制です。
私は表向き新人メイドとして、王子様の側にて喰っちゃ寝。給仕は本職の方がなさいますし、メイド服を着ているのはあくまでカモフラージュですので。
お勉強に、各種習い事に、幼いながらも頑張る勤勉王子の背中を見守るつつ、ごろ寝をしてお菓子をボリボリ。
三日後に護衛対象から、「気が散るからヤメて」と言われてしまいました。
しかたがないので座ってボリボリしていたら、「お願いだから静かにして!」と涙目で怒られました。そして側付のメイドさんに、襟首を掴まれてポイッっと、勉強中は部屋の外へと追い出されてしまいました。
護衛って難しいですね。
この頃、魔王様の人使いが荒いです。足の速いことと、小回りが利くことを理由に、ちょいちょいパシリに使われています。ぶーぶー文句を言ったら、「カレープロジェクトでクレームが殺到しているんだが……」と言われて、黙らされました。
食堂から漂ってくる胃袋を刺激する匂い、なのに開発途中ゆえにお預けをくっている方々から、猛烈な突き上げがきているんだとか。なんか、本当にすみません。
もっとも今回に限っては、王妃であるガラシャ大将軍の頼み事でもありますので、自主的に協力させて頂きますとも。
今回の私の任務は要人警護です。
わりと魔族領と古い付き合いのある国が、どうやら人類連合に狙われているようで、唯一の跡取りである王子さまを、害さんとする輩がいるそうです。
つまり彼らの思惑としては、一粒種の王子が何者かに殺害! それはきっと魔族のせいだー! よし、僕らと一緒に敵討ちをしようぜ! ようこそ、人類連合へ。という流れを狙っているらしいです。いやはや、なんともチープなシナリオですね。ですが実際に攻撃を受けているほうは堪りません。日夜、暗殺の恐怖に震えることになるのですから。
だったらお城の騎士とか兵士が頑張れよ、と言いたいところですが、どうやら相手方にかなりの手練れが揃っているらしく、苦戦しているみたい。どうしたって守る側が不利になりがちですしね。そんな話を聞きつけた魔王夫妻が、私を推挙したワケですよ。
見た目はちんまい市松人形、中身はズボラ、でも対人類ならばそこそこ戦える、相手からは警戒されなくて、危機察知もあるし、なおかつ普通に大手を振って人間領にある国にいられる……、選ばれた理由はそんなところですかね。
出張するにあたって、お供はセラーさんのみ。彼女の場合は私の影に住み着いているので、もはや完全に付属品扱いです。
ガラシャさまからは「とりあえず怪しい奴は、ぜんぶ撃て」と言われております。
だから護衛対象のご家族と初顔合わせの席にて、王子の側に立っていた子悪人面をした護衛の一人に、ぶっ放しました。一応はゴム弾にしておきましたよ。
おかげで一同騒然です。ですが直後に本当に敵の内通者だったことが判明。期せずして私は王様一家からの信頼を得ることになりました。
ああ、ご期待に添えなくて申し訳ありませんが、護衛対象とボディガードの禁断の恋なんて展開はありません。なにせ相手の王子様は御年五歳の坊やですから。
こうして始まる護衛生活。
昼間は私が、夜はセラーさんの二交代制です。
私は表向き新人メイドとして、王子様の側にて喰っちゃ寝。給仕は本職の方がなさいますし、メイド服を着ているのはあくまでカモフラージュですので。
お勉強に、各種習い事に、幼いながらも頑張る勤勉王子の背中を見守るつつ、ごろ寝をしてお菓子をボリボリ。
三日後に護衛対象から、「気が散るからヤメて」と言われてしまいました。
しかたがないので座ってボリボリしていたら、「お願いだから静かにして!」と涙目で怒られました。そして側付のメイドさんに、襟首を掴まれてポイッっと、勉強中は部屋の外へと追い出されてしまいました。
護衛って難しいですね。
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