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327 じゃんじゃん
しおりを挟むムジーナの砲撃により都に一本の道が通る。
道はいくつもの建物を吹き飛ばしただけでなく、城壁をもぶち抜いた。
これにより生じた風の流れにて、霧が轟々と渦を巻いては、外部へと流れていく。
薄まった霧により、やや明るくなった視界。
ごっそり抉られた石造りの街並みは、クッキーの型でくり抜かれたかのよう。
弾頭が通り過ぎた跡、被害状況を目の当たりにして私たちはあんぐり。
でも、いつまでも呆けているわけにはいかない。なんとかヤツを倒す方法を考えないと。
「ぱっと思いつくのは、凍らせたり固めたりする方法なんだけど……」
ここは敵地のど真ん中。
液体窒素もなければ、コンクリートもない。
あるのは石と砂と霧ばかり。
いちおう代用できそうな品ならばコウリンが所持しているけれども、あれはちと凶悪すぎて使いどころがむずかしい。うっかり巻き込まれたら、こちらも全滅しかねないので。
「う~ん、頑張ればローマン・コンクリートぐらいなら作れそうな気がしなくもないけれど、いかんせん時間も余裕もない」
カチンコチンにするのがダメならば、あとは燃やし尽くすか、あるいはケルトみたいに地下の冥穴に落とす方法もあるけれど……二番煎じが通用するとはおもえない。
私は思い悩む。
すると、そこへスッと竹電話を差し出してきたのは、竹僧兵のベンケイだ。
「えっ? これでウンサイさんに連絡をとれですって」
自分で考えてもアイデアが浮かばないのならば、仲間を頼れということらしい。
至極ごもっともである。
そこで私は大型飛行船オトクニにて待機しているウンサイさんに、かくかくしかじか。状況を説明して、打開策を求めた。
するとさすがはカイザラーンで一番の知恵者であるウンサイさんだ。さっそくすぐに着手できそうな案をふたつ提示してくれたもので、私はそれを採用する。
「さぁ、みんな反撃だよ!」
〇
破壊、粉砕、瓦解……
みるみる街並みが崩壊していく。
霧の都で暴れまわる異形の巨人。
得物を手にした八本の腕が振るわれるほどに、瓦礫の山が量産されていく。
その姿はまるで古き良き怪獣の特撮映画を見ているかのよう。
いくらすぐに元通りにできるからって、やりたい放題である。
そんなムジーナを囲みながら牽制する一方で、私たちは反撃のための準備を着々と進めていた。
「むむむ、滾れリグニンパワー! ちょんわ~」
気合いにて生やすのは立派な青竹だ。
でも通常の竹とはちがい、丈夫かつあらかじめ節の部分がくり抜かれた特殊なモノ。
ようは竹のパイプだ。
作った端から、サクタがバサバサと枝葉を斬り落としては、先端も斜めに斬り落とし鋭くし、竹槍のような形状に仕上げていく。
仕上がったものは順次出荷し、竹忍者たちに持たせて配置についてもらう。
これに並行して、せっせと砂をかき集めるのは竹武者たち。竹筒でこさえた即席のバケツでリレーをしては集積する。
かくして充分に量が確保されたところで、対ムジーナ討伐戦の作戦がスタート!
竹砲兵たちによる援護射撃にて、ムジーナの気をそらしているうちに、一斉に突撃するは竹忍者たち。
ブスブスと竹パイプを軟体に突き入れる。
しかし差し込むのは半分ぐらいまでに留めておく。あまり深く突き刺すとムジーナの体内に呑み込まれて吸収されてしまうので。
全身に竹パイプを生やし、ハリネズミ然となったムジーナ。
そこへすかさず駆け寄っていくのは竹武者たちである。
砂の入った重たいバケツを担いでは「えっさ、ほいさ」と近寄り、パイプの端から砂を流し込んでいく。
作業がやりやすいように、ちゃんと漏斗も作っておいたので、水を流し込むようにしてサラサラの砂がパイプ内へと吸い込まれていく。
よってたかって、じゃんじゃんと。
体内に大量の砂を挿入され、吸収処理が追いつかなくなったムジーナ、その動きが次第に緩慢になっていった。
狙い通りだ。体内でいろんなものが混ざり合って、ぷにぷにした軟体がドロドロして、動きがもっさりしている。
とはいえ、これはあくまで一時的なことにすぎない。そのうちに処理速度が追いついて、この現象はいずれ解消されるだろう。
でもそんなことは百も承知にて。
これはあくまで本命を決めるための布石である。
そして本命の攻撃を決めるのは……
刻は来たれり。
物陰よりそっと動きだしたのはコウリンだ。
状況に応じて己の色合いを変え背景に溶け込む能力を用い、姿を隠しての隠密行動にて、必殺を見舞うべくムジーナへと忍び寄る。
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