21 / 298
021 採掘
しおりを挟む「注意一瞬、ケガ一生。無理せず、油断せず、常に安全確認を心がけて、今日も一日がんばりましょう」
わたしの朝の挨拶に「おーっ」と元気よくこたえた面々は、オービタル・ロードたち。
ここはリスターナ国の北東に位置する険しい山脈の地下深くの穴倉。
バカ王子と外道勇者から国を救った褒美として、わたしがもらったのがここいら一帯の土地。
凶悪なギザギザさを誇る山の稜線が、まるで大地をわかつ壁のように天に向かってそそり立ち、切り立つ崖の岩肌の表面はもろく、登ることは至難。
たとえこれを越えたとしても、万年雪と氷河が行く手を阻み、頂上付近にはいつも激しい風が渦まいており、ツバサある者らの侵入をも拒む。
さらには空気と魔素も薄く、魔法も満足に発動しないとあっては、ノットガルドに生きる者たちにとっては、ほぼほぼ死地にも等しい場所。
有史以来、この山脈の踏破に成功したという記録は存在しない。
山の中腹からふもとへと連なる地表ですらもが、モンスターも近寄らないほどの過酷な環境にて、冬は山から吹くからっ風にて極寒、夏は極短、草木もほとんど生えていない岩だらけの荒地。大地は乾ききっており、砂塵が舞い、目もろくに開けていられない。付近に近づくだけで喉がイガイガとし、とにかく不快。
あんまりな環境ゆえに利用価値ゼロとみなされ、ながらく放置されていた不毛地帯。
わたしが「ここ、ちょうだい」と言い出したとき、宰相のダイクさん、将軍のゴードンさん、リリアちゃんに目を覚ました王さまも、そろって目をパチクリさせたものである。
だがしかーし、その地下には莫大な埋蔵量を誇る鉱脈が眠っていたのである。小難しいことはわからんが、もうウハウハらしい。
この情報を事前にアカシックレコードから入手していたルーシーさんの強い勧めもあって、わたしたちは、まんまとせしめたというわけ。
でもリスターナ側にもちゃんとメリットはあるよ。
採掘した資源のいくらかは回してあげるし、税金もそれなりに納めるつもり。
そもそもな話、ノットガルド世界の現在の技術では、ここの鉱脈の採掘どころか発見もおぼつかない。だからこその有効活用にて、けっして搾取ではない。
なお試算では、おこぼれだけでも軽く傾いた国を立て直せるほどの金額になる予定。
そんなわけで開発着工。
この度の協力要請に快く応じてくれた、アリっぽいヒーローな種族のオービタル・ロードたち。
そしてアリっぽいがゆえに採掘作業もお手の物。地面の下は彼らの独壇場であった。
武闘派の彼らは体力が有り余っているし、素手でザクザク固い岩盤を掘り進める姿は圧巻。
修行だ、競争だ、勝負だ! と赤と黒の両陣営がいい塩梅にて張り合うので、作業がはかどるはかどる。おかげで進捗計画がかなり前倒し。
当初はダンジョンのような坑道をチマチマ掘るつもりだったけれども、彼らの働きぶりもあり、急遽路線を変更。
採掘作業と並行して地下にドーム型の大空間を建造中。
ゆくゆくはここを地底要塞化して、対女神戦線の橋頭保とすることにした。
すでにルーシー主導にて、頭のいいセミっぽい種族のグランディア・ロードたち協力のもと、知恵と工夫を出し合い、設計に着手。
グランディアたちはこういうのが好きみたいでノリノリ。
じきにとんでもない草案があがってくることであろう。
13
あなたにおすすめの小説
通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~
日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!
斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。
偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。
「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」
選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる