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「バルカン様?なぜフロティナの言うことを聞きましたか?」フロティナはバルカンの首に手を回し、彼の顔を覗き込むと甘い声を出す。
「お前がかわいらしいからだ、お前の言うことならなんでも聞く」バルカンはうっとりとフロティナを見つめて答えた。
「ふふ、きっとモンスターは……人にとって好ましい容姿をしているのではないかしら?みんな……だからついて行ってしまうのよ」フロティナはバルカンの答えに満足そうに笑うとギュッと抱きつく。バルカンはそれを抱きとめて「……俺はついていかん」と彼女の耳元で囁くように言った。
「……本当に?」
「ついて行かん」バルカンがそう言って顔を傾けていく。フロティナもそれを受け入れた。
チュクチュクと二人の舌が絡み合う音がする。
カサカサと木々の揺れる音が、まるで二人をはや立てているように感じる位……静かな夜だ。
二人は少し離れると、お互いの舌先から糸が伝う。
バルカンはフロティナに手をとられ、彼女の胸に触れた。
「……いや……これは」
「触って……バルカン様、フロティナの言うこと聞いてくださいまし」フロティナはウルウルとした瞳をバルカンに向けてそう言う。
バルカンは意外にも優しい手つきでフロティナの胸に触れたけど、柔らかい彼女の胸はそれでも彼の指からプニョとはみ出した。
先ほどまで胸と同じ位柔らかかった先は、その刺激に硬くなる。
バルカンは指の腹でそれを押しつぶすように捏ねた。
腹の底からじんわりと湧き上がるような快感に、フロティナは熱っぽい吐息を漏らす。
下着がヌルヌルする……フロティナはそれがなんとも不快で――――我に返った。
「チョコレートを食べただけなのに!恐ろしいです……」
フロティナは下着を履き替えながら頰を染める。
バルカンはまだ正気に戻っておらず、フロティナを背後から抱きすくめると首筋にチューチューとキスを繰り返えす。
「あ、あ、もー!おやめくださいまし!」フロティナは背中を反らしながら足踏みをした。
フロティナはバルカンを押しのけながら窓の外を眺める。
「……いやか?俺が嫌になったのか?」
「バルカン様が私じゃ嫌がっているんですよ?」フロティナは窓のサッシに手を掛けて、バルカンを見る。
「嫌なわけないだろう……俺には君しかいない」バルカンはフロティナの肩を抱く。「もう……わかりましたから、今は外が気になるのでございます。…………じゃあフロティナの言うことを聞いてくださいます?静かにしてください♡」フロティナがウルウルと彼を見つめると、バルカンは静かにすることにしたようでコクリと頷く。
随分と霧が出て来た。
(心に入り込む…………それだけ聞くと恐ろしい幽霊のような存在に感じるけれど)フロティナは地面に目を向けて、その平地移動型だというモンスターを探した。
(心に入り込まれるとどうなるのかしら……言葉が通じなくても意思疎通ができる?)
フロティナは好奇心が勝り、室内から彼らと目を合わせてみようと考える。
もし、その実態がハッキリすれば……自分の仕事の役に立つような気がしたからだ。
(それに正気を失ってるとは言え、今はバルカン様がいる。今の彼なら私のことを必死で守ってくれるはず……死にはしないわ)
フロティナは木々の隙間から覗く地面に、ギラギラと光る目を見たような気がしてそこを凝視した。視線というのは不思議だ。
実体があるわけではないのに、確かに『視線を感じた』り『目が合った』りする。
(今……目が合っている)
フロティナはそこから目を逸らさずにしばらくじっとしていた。
彼らは言われている通り、上下移動は出来ないらしくこちらに上ってくる気配はない。
「……」
何も起きない、フロティナは一つの可能性を見出していた。
(このからくりは……)フロティナはなんだか昔の事を思い出しながら立ち上がる。
この森に来てからやけに昔の事を思い出す。
――――――フロティナ、怖いことはな……知ってしまえば意外と大したことはないものだ――――
泣きじゃくるフロティナに、死の間際父が言った言葉を思い出す。
――――――死ぬのが怖いのは、その先がわからないからだ。父さんが先に行って見てきてやる――――――
「父さんの嘘つき、いつまでたっても教えにきてくれないじゃない」
フロティナはフ……っと笑う。
「どうした?」
バルカンがフロティナの顔を覗き込みながら彼女の頬にキスをする。
「バルカン様、私怖いの苦手なんです」
フロティナはそう笑って、お返しにバルカンの頬にキスをすると部屋のドアを開けた。
「人が惑わされてしまうのは……この霧が原因なのではないでしょうか」
フロティナはこの霧を吸い込んでしまわないように口元をタオルで覆い、バルカンにもタオルを渡す。
いつの間にやら正気に戻っているバルカンは「なんでこんな危ないことをする?今すぐ帰るぞ」とフロティナに言った。「好奇心です」フロティナはそう言って梯子を下ろし「バルカン様は怖いなら来なくていいですよ」と首の後ろでタオルを結んで言った。
「ぐぐぐぐぐぐぐ……」
フロティナが地面に降りると、バルカンもその後について来た。
「早くしろよ、俺は風呂に入りたいんだからな」
「来なくても大丈夫ですのに……」
フロティナはそう言いながら――地面を見つめて息をのんだ。
見たことのないモンスターが地面をカサカサとはい回っていたからだ。
カサカサと言っても節足動物や虫のような足ではなく……どちらかというと草食動物のそれのような四肢をしている。非常に短いそれをせっせと動かしながら彼らは地面をはい回る。
人間でいう肩のあたりに直接ギョロリとした目がついていて、口は恐らく……下部の見えない所にあるのだろうか。
「……すごいわ……」
フロティナは自分がまだ見ぬ生き物が存在していることに感動し、ゆっくりと歩み寄る。
知能はどれくらいなのか、会話はできるのか――――
「危ないぞ!」
バルカンがその時、躓いたフロティナの手を引いた。
「あ、バルカン様」
「あ」
彼の口元を覆っていたタオルはその衝撃でパサリと下に落ち、盛大に霧を吸い込んだ。
「お前がかわいらしいからだ、お前の言うことならなんでも聞く」バルカンはうっとりとフロティナを見つめて答えた。
「ふふ、きっとモンスターは……人にとって好ましい容姿をしているのではないかしら?みんな……だからついて行ってしまうのよ」フロティナはバルカンの答えに満足そうに笑うとギュッと抱きつく。バルカンはそれを抱きとめて「……俺はついていかん」と彼女の耳元で囁くように言った。
「……本当に?」
「ついて行かん」バルカンがそう言って顔を傾けていく。フロティナもそれを受け入れた。
チュクチュクと二人の舌が絡み合う音がする。
カサカサと木々の揺れる音が、まるで二人をはや立てているように感じる位……静かな夜だ。
二人は少し離れると、お互いの舌先から糸が伝う。
バルカンはフロティナに手をとられ、彼女の胸に触れた。
「……いや……これは」
「触って……バルカン様、フロティナの言うこと聞いてくださいまし」フロティナはウルウルとした瞳をバルカンに向けてそう言う。
バルカンは意外にも優しい手つきでフロティナの胸に触れたけど、柔らかい彼女の胸はそれでも彼の指からプニョとはみ出した。
先ほどまで胸と同じ位柔らかかった先は、その刺激に硬くなる。
バルカンは指の腹でそれを押しつぶすように捏ねた。
腹の底からじんわりと湧き上がるような快感に、フロティナは熱っぽい吐息を漏らす。
下着がヌルヌルする……フロティナはそれがなんとも不快で――――我に返った。
「チョコレートを食べただけなのに!恐ろしいです……」
フロティナは下着を履き替えながら頰を染める。
バルカンはまだ正気に戻っておらず、フロティナを背後から抱きすくめると首筋にチューチューとキスを繰り返えす。
「あ、あ、もー!おやめくださいまし!」フロティナは背中を反らしながら足踏みをした。
フロティナはバルカンを押しのけながら窓の外を眺める。
「……いやか?俺が嫌になったのか?」
「バルカン様が私じゃ嫌がっているんですよ?」フロティナは窓のサッシに手を掛けて、バルカンを見る。
「嫌なわけないだろう……俺には君しかいない」バルカンはフロティナの肩を抱く。「もう……わかりましたから、今は外が気になるのでございます。…………じゃあフロティナの言うことを聞いてくださいます?静かにしてください♡」フロティナがウルウルと彼を見つめると、バルカンは静かにすることにしたようでコクリと頷く。
随分と霧が出て来た。
(心に入り込む…………それだけ聞くと恐ろしい幽霊のような存在に感じるけれど)フロティナは地面に目を向けて、その平地移動型だというモンスターを探した。
(心に入り込まれるとどうなるのかしら……言葉が通じなくても意思疎通ができる?)
フロティナは好奇心が勝り、室内から彼らと目を合わせてみようと考える。
もし、その実態がハッキリすれば……自分の仕事の役に立つような気がしたからだ。
(それに正気を失ってるとは言え、今はバルカン様がいる。今の彼なら私のことを必死で守ってくれるはず……死にはしないわ)
フロティナは木々の隙間から覗く地面に、ギラギラと光る目を見たような気がしてそこを凝視した。視線というのは不思議だ。
実体があるわけではないのに、確かに『視線を感じた』り『目が合った』りする。
(今……目が合っている)
フロティナはそこから目を逸らさずにしばらくじっとしていた。
彼らは言われている通り、上下移動は出来ないらしくこちらに上ってくる気配はない。
「……」
何も起きない、フロティナは一つの可能性を見出していた。
(このからくりは……)フロティナはなんだか昔の事を思い出しながら立ち上がる。
この森に来てからやけに昔の事を思い出す。
――――――フロティナ、怖いことはな……知ってしまえば意外と大したことはないものだ――――
泣きじゃくるフロティナに、死の間際父が言った言葉を思い出す。
――――――死ぬのが怖いのは、その先がわからないからだ。父さんが先に行って見てきてやる――――――
「父さんの嘘つき、いつまでたっても教えにきてくれないじゃない」
フロティナはフ……っと笑う。
「どうした?」
バルカンがフロティナの顔を覗き込みながら彼女の頬にキスをする。
「バルカン様、私怖いの苦手なんです」
フロティナはそう笑って、お返しにバルカンの頬にキスをすると部屋のドアを開けた。
「人が惑わされてしまうのは……この霧が原因なのではないでしょうか」
フロティナはこの霧を吸い込んでしまわないように口元をタオルで覆い、バルカンにもタオルを渡す。
いつの間にやら正気に戻っているバルカンは「なんでこんな危ないことをする?今すぐ帰るぞ」とフロティナに言った。「好奇心です」フロティナはそう言って梯子を下ろし「バルカン様は怖いなら来なくていいですよ」と首の後ろでタオルを結んで言った。
「ぐぐぐぐぐぐぐ……」
フロティナが地面に降りると、バルカンもその後について来た。
「早くしろよ、俺は風呂に入りたいんだからな」
「来なくても大丈夫ですのに……」
フロティナはそう言いながら――地面を見つめて息をのんだ。
見たことのないモンスターが地面をカサカサとはい回っていたからだ。
カサカサと言っても節足動物や虫のような足ではなく……どちらかというと草食動物のそれのような四肢をしている。非常に短いそれをせっせと動かしながら彼らは地面をはい回る。
人間でいう肩のあたりに直接ギョロリとした目がついていて、口は恐らく……下部の見えない所にあるのだろうか。
「……すごいわ……」
フロティナは自分がまだ見ぬ生き物が存在していることに感動し、ゆっくりと歩み寄る。
知能はどれくらいなのか、会話はできるのか――――
「危ないぞ!」
バルカンがその時、躓いたフロティナの手を引いた。
「あ、バルカン様」
「あ」
彼の口元を覆っていたタオルはその衝撃でパサリと下に落ち、盛大に霧を吸い込んだ。
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