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「バルカン様!」
フロティナがバルカンに駆け寄ると、彼はモンスターに視線を送りながら目を丸くしている。
(……バルカン様、何を見ているの)
――――フロティナはこの際だから何が起きるか知ることができるかも、とバルカンを観察する。
彼女にはちょっとそういうところがあった。
「……なんだ、ここにいたのか」
バルカンは優し気な声を出すと、何事か会話を交わし一匹のモンスターの後を付いていく。
キーンと耳が痛くなる音がしてフロティナが思わず耳を塞ぐと、先ほどのモンスターとバルカンを先頭に他のモンスターが移動を始めた。(どこに行くの?)フロティナは目をキラキラさせてその後を付いていく。
「探していた」
「どこにいたんだ」
「心配していた」
「ケガはないか」
バルカンは頻りにモンスターに話しかけている。フロティナはそれを見て……なんだか胸が痛くなった気がしたけれど、咳払いをして誤魔化す。
(恐らくバルカン様は想い人の幻影を見ているのではないかしら)彼の柔らかい様子にフロティナは思う。
――――ついて行かないと言ったのに……嘘つき――――
小さい自分が膝を抱えているような気がしたが、フロティナは無視をした。
フロティナはモンスターの群れに混ざりながら少し歩くと――――ピタリと群れの動きが止まる。
「これが欲しいのか?」
バルカンが手を伸ばしながらモンスターに尋ねる。
その手元を見ると……そこには果実があった。(あれは……)フロティナはその果実に見覚えがある。
(酒屋でサービスされた果実に良く似てる……)
群れは次々入れ替わり、バルカンから果実を受け取る。フロティナがその果実に手を伸ばそうとすると、キーン……と耳が痛んだ。
(怒っているんだわ……果実を取ろうとする私に対して)
「…………」
フロティナは傍で果実をクチャクチャと咀嚼するモンスターの前にしゃがむとポケットからチョコレートを出した。
「これはとてもとても甘くて美味しいの……食べたことあります?」
モンスターは果実を平らげると座り込み、顔の下についている口をパクパクさせた。
「これをあげる代わりに……教えて欲しいの。誰かお話が出来る人はいる?」
モンスターの中でも知能が高い場合や、人型の場合言葉でコミュニケーションがとれる場合がある。フロティナの語りかけに反応した時点で……彼らとは会話が可能なのでは?とフロティナは思った。
地面はいつの間にか苔生していて、少し気を抜くと滑ってしまいそうだ。その時、キーンと強い耳鳴りがする。
(人間と話せるのは今私だけ)
直接脳に響くような声に……フロティナは目を丸くした。
「これは……私の考えも読み取れますか?」フロティナは辺りを見渡しながらそうよく通る声で言う。
もしかすると、以心伝心術のようなものがあるのではないかと思ったからだ。
(人間でいう……ラジオ?のようなものだから一方的です)しかしモンスターはフロティナの想像に反してそう言った。どうやらフロティナの考えは口に出す必要があるらしい。
「なるほど……あくまでも私は受信機ですね」
フロティナはなんとなくその言い分に納得する。
それならば……なんとなく可能な気がしたからだ。
「なぜあなただけがその能力を持っているのですか?」
(私が仲間に選ばれたわけじゃない。果実が選びました)
フロティナはこちらにやって来るモンスターを見つけ、彼に視線を送る。まあ性別はよくわからないのだけれども。性別に概念があるかどうかも。
「果実?コレですか?」フロティナは頭上にある木々から垂れ下がる果実を指さして尋ねた。
バルカンは次々と並ぶモンスターのためにせっせと果実をとり、渡している。
(そうです。私たちにとっては美味しい果実ですが……たまに不思議な果実が生ります)
「不思議な?」
(複雑なことはわかりませんが……その果実は食べるとこうして人間と意思疎通ができます。これは果実を手に入れるのに必要な場合もあります)
フロティナは一つ果実をもぎ取るとモンスターの口元に差し出す。
「あなたたちがこの霧を出していますか?」
(いいえ、この霧は果実の樹木が放出しています)
モンスターはクチャクチャと果実を咀嚼した。
フロティナは辺りに漂う霧を見上げた。
「これには催眠効果がありますか?」
(さあ、私たちにはわかりません)
フロティナは先ほどのモンスターにチョコレートをあげて立ち上がり(これはこの樹木の生存戦略なのかもしれない)と思う。
平地移動型のこのモンスターは木に登って果実を手に入れることができない、けれどここの地帯には彼らモンスターしかいいない。恐らく彼らが放つ超音波が動物を遠ざけているのだ。
そこでこの樹木は子孫を反映させるために人間とモンスターを利用することにしたのではないだろうか。
「これが心に入り込むモンスターの真相ね」
フロティナは満足そうに笑う。
もう恐ろしさなど感じない。
「…………ねえ、人間は単独でこの樹木を見つけられるかしら?」
(ほぼ不可能だ。なぜならここにたどり着くには私たちの助けが必要、それに私たちは決してほかのものにこの果実を渡さないのです)
「なるほど」
フロティナは先ほど、コミュニケーション前に果実に手を伸ばした時、痛いほどの耳鳴りに襲われたことを思い出す。彼らはここから人間が果実を持ち出すことは許さないだろう。
(私たち以外にここの果実を持ち出せる存在はただ一つ)
「え?」
(世界の支配者だけだ)
フロティナがバルカンに駆け寄ると、彼はモンスターに視線を送りながら目を丸くしている。
(……バルカン様、何を見ているの)
――――フロティナはこの際だから何が起きるか知ることができるかも、とバルカンを観察する。
彼女にはちょっとそういうところがあった。
「……なんだ、ここにいたのか」
バルカンは優し気な声を出すと、何事か会話を交わし一匹のモンスターの後を付いていく。
キーンと耳が痛くなる音がしてフロティナが思わず耳を塞ぐと、先ほどのモンスターとバルカンを先頭に他のモンスターが移動を始めた。(どこに行くの?)フロティナは目をキラキラさせてその後を付いていく。
「探していた」
「どこにいたんだ」
「心配していた」
「ケガはないか」
バルカンは頻りにモンスターに話しかけている。フロティナはそれを見て……なんだか胸が痛くなった気がしたけれど、咳払いをして誤魔化す。
(恐らくバルカン様は想い人の幻影を見ているのではないかしら)彼の柔らかい様子にフロティナは思う。
――――ついて行かないと言ったのに……嘘つき――――
小さい自分が膝を抱えているような気がしたが、フロティナは無視をした。
フロティナはモンスターの群れに混ざりながら少し歩くと――――ピタリと群れの動きが止まる。
「これが欲しいのか?」
バルカンが手を伸ばしながらモンスターに尋ねる。
その手元を見ると……そこには果実があった。(あれは……)フロティナはその果実に見覚えがある。
(酒屋でサービスされた果実に良く似てる……)
群れは次々入れ替わり、バルカンから果実を受け取る。フロティナがその果実に手を伸ばそうとすると、キーン……と耳が痛んだ。
(怒っているんだわ……果実を取ろうとする私に対して)
「…………」
フロティナは傍で果実をクチャクチャと咀嚼するモンスターの前にしゃがむとポケットからチョコレートを出した。
「これはとてもとても甘くて美味しいの……食べたことあります?」
モンスターは果実を平らげると座り込み、顔の下についている口をパクパクさせた。
「これをあげる代わりに……教えて欲しいの。誰かお話が出来る人はいる?」
モンスターの中でも知能が高い場合や、人型の場合言葉でコミュニケーションがとれる場合がある。フロティナの語りかけに反応した時点で……彼らとは会話が可能なのでは?とフロティナは思った。
地面はいつの間にか苔生していて、少し気を抜くと滑ってしまいそうだ。その時、キーンと強い耳鳴りがする。
(人間と話せるのは今私だけ)
直接脳に響くような声に……フロティナは目を丸くした。
「これは……私の考えも読み取れますか?」フロティナは辺りを見渡しながらそうよく通る声で言う。
もしかすると、以心伝心術のようなものがあるのではないかと思ったからだ。
(人間でいう……ラジオ?のようなものだから一方的です)しかしモンスターはフロティナの想像に反してそう言った。どうやらフロティナの考えは口に出す必要があるらしい。
「なるほど……あくまでも私は受信機ですね」
フロティナはなんとなくその言い分に納得する。
それならば……なんとなく可能な気がしたからだ。
「なぜあなただけがその能力を持っているのですか?」
(私が仲間に選ばれたわけじゃない。果実が選びました)
フロティナはこちらにやって来るモンスターを見つけ、彼に視線を送る。まあ性別はよくわからないのだけれども。性別に概念があるかどうかも。
「果実?コレですか?」フロティナは頭上にある木々から垂れ下がる果実を指さして尋ねた。
バルカンは次々と並ぶモンスターのためにせっせと果実をとり、渡している。
(そうです。私たちにとっては美味しい果実ですが……たまに不思議な果実が生ります)
「不思議な?」
(複雑なことはわかりませんが……その果実は食べるとこうして人間と意思疎通ができます。これは果実を手に入れるのに必要な場合もあります)
フロティナは一つ果実をもぎ取るとモンスターの口元に差し出す。
「あなたたちがこの霧を出していますか?」
(いいえ、この霧は果実の樹木が放出しています)
モンスターはクチャクチャと果実を咀嚼した。
フロティナは辺りに漂う霧を見上げた。
「これには催眠効果がありますか?」
(さあ、私たちにはわかりません)
フロティナは先ほどのモンスターにチョコレートをあげて立ち上がり(これはこの樹木の生存戦略なのかもしれない)と思う。
平地移動型のこのモンスターは木に登って果実を手に入れることができない、けれどここの地帯には彼らモンスターしかいいない。恐らく彼らが放つ超音波が動物を遠ざけているのだ。
そこでこの樹木は子孫を反映させるために人間とモンスターを利用することにしたのではないだろうか。
「これが心に入り込むモンスターの真相ね」
フロティナは満足そうに笑う。
もう恐ろしさなど感じない。
「…………ねえ、人間は単独でこの樹木を見つけられるかしら?」
(ほぼ不可能だ。なぜならここにたどり着くには私たちの助けが必要、それに私たちは決してほかのものにこの果実を渡さないのです)
「なるほど」
フロティナは先ほど、コミュニケーション前に果実に手を伸ばした時、痛いほどの耳鳴りに襲われたことを思い出す。彼らはここから人間が果実を持ち出すことは許さないだろう。
(私たち以外にここの果実を持ち出せる存在はただ一つ)
「え?」
(世界の支配者だけだ)
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