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おしまい
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私とバルカン様が結婚してしばらくしてから、人間界で一つの財閥が没落しました。
なんでも財閥の会長は元々竜王妃の命の恩人で、彼女はきっと自分に恩を感じているんだ……と直接交渉にきたそうな。
しかし何故でしょう。
王妃が生贄のときの記憶を取り戻したと言ったら彼らは非常に慌てふためき……竜王が調査をしたところ、彼らの会社は陰でモンスターを密猟していたことがわかりました。
フェアリーの羽や鱗粉、一つ目大型獣の角……様々な希少価値の高いモンスターの生態を熟知した彼らはそれを利用してお金を稼いでおりました。
「私は王妃の父親の親友なんだぞ!アイツから娘を頼むと言われていたんだ!いいのか!こんなことをして!」会長の声が虚しく響くのを前竜王は冷ややかな目で見つめておりました。
「……あの男はお前を信じておったのにな」
前竜王はそう言うと、財閥一族が囚われた檻をバタリと閉めてしまいました。お祖母様は何か……ご存じだったのかもしれません。
例えばなぜ、フロティナが竜国に生贄に行った時……バルカン様に会うように勧めたのでしょう?フロティナは……もしかすると父は――お祖母様に会ったことがあったのではないかしら?と思うのでございます。
そしてそれを――――親友だと思っていた人物に話したのではないでしょうか……
竜王は世界の支配者。
なにもかも全て見えている。
もしかしたらお祖母様はバルカン様が誰と結婚すべきなのかもう……随分前からご存じだったのではないでしょうか?
そして大きな影は、父のエスカレートする人間界への警告だったのではないでしょうか。でも少し……力の差がありすぎてしまったのかもしれません。
前王はとても優しく温かい方でした……後悔や、自責の念に苦しめられることもあったのではないかな……とフロティナは思うのです。
世界は人間のためにだけ……あるわけではございませんものね。
でもそれも……真相はわからないのですが。
父は新しい舟に乗りました。
この世に私と言う名の置き土産をして。
そしてまた、私もきっとその舟に乗るのでしょう。
フロティナがまたお父様に会えたら聞いてみたいと思います。ええ、本人に直接聞くのが一番――――間違いがありませんから。
「お疲れ様です♡」
「先輩!あ、すみません……王妃様!」マリエルがほうきを投げ出してこちらに駆けてこようとして……我に返っている。
「先輩でいいわ、マリエルさん」
財閥が運営していたいくつかの慈善事業は、バルカンの命により、公共事業で運営されることになった。
フロティナはたまに……監査も兼ねて見学にきている。
「竜王はね、自分の上に誰もいないから威張る必要がないそうよ。だから私もそうしたいの」フロティナはそう言って掃除用品を握る。
フェアリーの仲間が囚われていた場所はバルカンの軍によってあっさりと見つかり、全員が無事解放された。新しく作られた条約により今までグレーだったフェアリーの身体の一部や全体を売り買いすることは禁じられ、勿論これで、彼女達の羽を奪うものはいなくなるだろう。
売り買いが発覚すれば、その者たちの命はない。
――――――――――――
「そんなにフロティナに惚れてるならもっと早く頼めばよかったなぁ」フェアリーは空中であぐらをかきながら軽口を叩いた。
「本当ね」
「ふふ、仕方がないよな。勘違いしてたんだからさ。でもマジでありがとう、フロティナ」フェアリーはそう言って少し恥ずかしそうに笑うとフロティナの額に鱗粉を塗る。
「願い事は?」
「……うーん……世界が平和でありますように。モンスターも人間も全て!」フロティナがそう言うと、フェアリーの鱗粉はキラキラと空を舞った。きっとその願いは聞き入れられたのだろう。
――――――――――
「ティーナ」
「バルカン様!」
フロティナが施設から出ると、馬車で迎えに来てくれていたバルカンが彼女を受け止める。
「迎えに来た」
「優しいですね」
「俺はいつだって優しい」
バルカンがそう言った時、世界がキラキラと輝いた気がした。世界は時折醜いがとても美しい。
それを守るのもまた、そこに住むものたちで――力は適切に使わなければならないのだ。
フロティナは目の前にいる大きくて優しい男にそっと寄り添う。
「そうですね。バルカン様は優しいわ」
彼が支配する世界もまた――――優しさで満ち溢れることだろう。フロティナはその手伝いをしていくのだ。
ずっと共に。
バルカンが足りない所はフロティナが補えばいい。
そしてその逆も。
二人を乗せた馬車はゆっくりと前に走り出した。
空はいつもと同じように広く、私たちを包み込んでいる。
なんでも財閥の会長は元々竜王妃の命の恩人で、彼女はきっと自分に恩を感じているんだ……と直接交渉にきたそうな。
しかし何故でしょう。
王妃が生贄のときの記憶を取り戻したと言ったら彼らは非常に慌てふためき……竜王が調査をしたところ、彼らの会社は陰でモンスターを密猟していたことがわかりました。
フェアリーの羽や鱗粉、一つ目大型獣の角……様々な希少価値の高いモンスターの生態を熟知した彼らはそれを利用してお金を稼いでおりました。
「私は王妃の父親の親友なんだぞ!アイツから娘を頼むと言われていたんだ!いいのか!こんなことをして!」会長の声が虚しく響くのを前竜王は冷ややかな目で見つめておりました。
「……あの男はお前を信じておったのにな」
前竜王はそう言うと、財閥一族が囚われた檻をバタリと閉めてしまいました。お祖母様は何か……ご存じだったのかもしれません。
例えばなぜ、フロティナが竜国に生贄に行った時……バルカン様に会うように勧めたのでしょう?フロティナは……もしかすると父は――お祖母様に会ったことがあったのではないかしら?と思うのでございます。
そしてそれを――――親友だと思っていた人物に話したのではないでしょうか……
竜王は世界の支配者。
なにもかも全て見えている。
もしかしたらお祖母様はバルカン様が誰と結婚すべきなのかもう……随分前からご存じだったのではないでしょうか?
そして大きな影は、父のエスカレートする人間界への警告だったのではないでしょうか。でも少し……力の差がありすぎてしまったのかもしれません。
前王はとても優しく温かい方でした……後悔や、自責の念に苦しめられることもあったのではないかな……とフロティナは思うのです。
世界は人間のためにだけ……あるわけではございませんものね。
でもそれも……真相はわからないのですが。
父は新しい舟に乗りました。
この世に私と言う名の置き土産をして。
そしてまた、私もきっとその舟に乗るのでしょう。
フロティナがまたお父様に会えたら聞いてみたいと思います。ええ、本人に直接聞くのが一番――――間違いがありませんから。
「お疲れ様です♡」
「先輩!あ、すみません……王妃様!」マリエルがほうきを投げ出してこちらに駆けてこようとして……我に返っている。
「先輩でいいわ、マリエルさん」
財閥が運営していたいくつかの慈善事業は、バルカンの命により、公共事業で運営されることになった。
フロティナはたまに……監査も兼ねて見学にきている。
「竜王はね、自分の上に誰もいないから威張る必要がないそうよ。だから私もそうしたいの」フロティナはそう言って掃除用品を握る。
フェアリーの仲間が囚われていた場所はバルカンの軍によってあっさりと見つかり、全員が無事解放された。新しく作られた条約により今までグレーだったフェアリーの身体の一部や全体を売り買いすることは禁じられ、勿論これで、彼女達の羽を奪うものはいなくなるだろう。
売り買いが発覚すれば、その者たちの命はない。
――――――――――――
「そんなにフロティナに惚れてるならもっと早く頼めばよかったなぁ」フェアリーは空中であぐらをかきながら軽口を叩いた。
「本当ね」
「ふふ、仕方がないよな。勘違いしてたんだからさ。でもマジでありがとう、フロティナ」フェアリーはそう言って少し恥ずかしそうに笑うとフロティナの額に鱗粉を塗る。
「願い事は?」
「……うーん……世界が平和でありますように。モンスターも人間も全て!」フロティナがそう言うと、フェアリーの鱗粉はキラキラと空を舞った。きっとその願いは聞き入れられたのだろう。
――――――――――
「ティーナ」
「バルカン様!」
フロティナが施設から出ると、馬車で迎えに来てくれていたバルカンが彼女を受け止める。
「迎えに来た」
「優しいですね」
「俺はいつだって優しい」
バルカンがそう言った時、世界がキラキラと輝いた気がした。世界は時折醜いがとても美しい。
それを守るのもまた、そこに住むものたちで――力は適切に使わなければならないのだ。
フロティナは目の前にいる大きくて優しい男にそっと寄り添う。
「そうですね。バルカン様は優しいわ」
彼が支配する世界もまた――――優しさで満ち溢れることだろう。フロティナはその手伝いをしていくのだ。
ずっと共に。
バルカンが足りない所はフロティナが補えばいい。
そしてその逆も。
二人を乗せた馬車はゆっくりと前に走り出した。
空はいつもと同じように広く、私たちを包み込んでいる。
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はーー。ハッピーエンドでよかったーーー!!!ふたりともおめでとう!!!!
最後までお付き合いいただきありがとうございます♡
無事二人とも幸せになりました🥹✨
この先もきっと二人仲良く暮すでしょうね♡
おはようございます(*^^*)
完結おめでとうございます✨
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フロティナはフェアリーの願いに平和を願いました✨
竜王妃にふさわしい✨
バルカンもおもいびとがあらわれてよかった✨
LOVE LOVE LOVEです
ありがとうございました(*^^*)
おはようございます♡
最後までお付き合いいただきありがとうございます♡
ニコニコしている人の方が…ということあるのですね😭人ってなんだか深いですよね…計り知れない🥺
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完結おめでとう㊗御座います!
他者から奪う事ばかり考えてると不幸になるよね(´・ω・`)
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きっとこの世界は二人がいる限り幸せになっていくね( *´ㅅ`)⁾⁾ウンウン
最後までお付き合いいただきありがとうございます♡
おっしゃる通りです…🥺
奪うことは結果自分も不幸になる気がしますよね🥺二人は互いに支え合いながら、この先もずっと幸せに暮すことでしょう😚✨✨