【R18】元貧乏侯爵令嬢妻は冷酷公爵に愛されない

mokumoku

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「ほほほほ、媚薬でございますか?」
「……いいえ、冗談でございます。そのようなもの……お芝居の中のお話でございましょう」フェアリスは気まずさから咄嗟に手で口元を隠すと話題を変えようと頭を巡らせる。
「……奥様、ここだけの話ございますの。媚薬」


――――――――(あっさり手に入ってしまったわ……!)

フェアリスはこの時手に入れた媚薬をドレスのポケットに忍ばせると、パーティーに備えた。バルギアスと会う機会なんてほぼないフェアリスには、彼に媚薬を盛るとしたらパーティーでしかチャンスはないと思っていたからだ。

無言で馬車に揺られていると……バルギアスが「……髪がほつれているぞ」と話しかけてきた。
フェアリスは「あ、すみません……髪の毛のセットが不慣れなものでして……かなり練習はしたのですが……お恥ずかしいです」とほつれた毛を撫でつけて、内心吐きそうな位緊張しているのを隠すようにため息をつく。
(どのタイミングで飲ませよう……)
フェアリスはもう媚薬のことばかり考えていた。

(ドリンクをとりに行って…………それに混入しよう)フェアリスはそう決めた。が――――挨拶回りを終えても、中々一人になるチャンスがない。
フェアリスはだんだんと焦りを覚えてきてしまう。

一人で行動しようとすると……バルギアスが着いてきてしまう。彼はフェアリスを見定めるような視線を送り「俺が一緒だと何か都合が悪いのか?」と尋ねられ……フェアリスは「いいえ、そのようなことはございません」と答えるしかなかったのだ。

パーティーも終盤になってきて、フェアリスはかなり焦っていた。今日を逃せばチャンスなどもうしばらくないだろう。
次のパーティーまで待たねばならない。
数カ月後?半年後?それとも一年後――――?

(嫌……そんなに長い間待てない……!)

フェアリスが焦りを必死に隠している時……バルギアスがまだ公爵になる前の職場の同僚であろう人物に話しかけられ……足を止めた。
フェアリスはそれに気付かないふりをして、そそくさとその場を去る。(……今しかないわ……!)
フェアリスはドリンクコーナーに足を進めると、そこで二杯のアルコールを手に入れる。


そして……ポケットから媚薬を取り出そうとした時に「…………おい」と背後から声を掛けられた。

フェアリスが恐る恐る後ろを向くと……そこには鬼のような形相をしたバルギアスが立っていて。
「商人から聞いたぞ、お前……媚薬を買ったらしいな?何を企んでいる?」
フェアリスはそれを見て……終わりを体感した。
フェアリスは手に持っていたドリンクをバルギアスに投げつけると、その場から走り去る。

(終わりでございます終わりでございます!)

フェアリスは計画が失敗に終わる音を聞いた。
そしてこれはそれだけでは済まないことも…………
バルギアスは今までにないくらい感情を顕にしていた。それは喜びでも哀しみでも楽しそうでもなく……怒だ。
捕まれば殺されてしまうだろう。

フェアリスはスカートを持ち上げて……力の限り走った。このまま結婚生活からも逃げればいい、とフェアリスは思う。


――――三年、三年だ。

三年行方をくらませば、婚姻が法的に解消される。
その間……ひっそり暮らして見つからないようにすればいいのだ。しかし、フェアリスの足の速さなどたかが知れていてバルギアスはあっという間に彼女に追いつく。
彼に肩を掴まれた時――――多分階段の上だったような記憶がある。確か……そうだったのだ。

「逃げられると思うな」
バルギアスがそう低い声で言ったので、フェアリスは後ろに後ずさりをした。――――――そこには地面がなかったのだけれども。




「そして今……私はここにいるの。お願い……媚薬を買ってはいけないわ。命を大切にして欲しいの!あの人……気付いていたのよ。私の計画に!これからもきっとそうなるわ。また死んでしまうかも……!」
フェアリスはフェアリスに懇願した。
「……わ、わかったわ。でもじゃあこの先どうすれば……」フェアリスは頭を抱えてしまう。
それではこれから先も結局状況は何も変わらないのだから。

「あのね、ここは素直に……抱いてもらえるように交渉するのはどうかしら?少し胸の開いた服などを着て……」
「あの……でも旦那様とは全然会えませんし……」

フェアリスとバルギアスがプライベートで会うことなどほぼない。
うーん……と二人は首を捻る。

「それはやはり、今回のパーティーしかチャンスがないわ……」
「でもかなり私を毛嫌いしてらっしゃるでしょう?ただ『抱いてください』とお願いして抱いてくださるかしら……」フェアリスはフェアリスに尋ねる。

それはあまりにもバルギアスに得がなさすぎるような気がするのだ。すなわちそれでは交渉が決別する可能性がある。

「対価を払えばいいのよね……」
「性交渉する度に?お金をお支払いする?」
「お相手は公爵様よ?お金などいらないでしょうに……」バルギアスの好きな物…………「「わからないわ」」二人は顔を見合わせてそう言うと、ガックリと肩を落とした。
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