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レジスタンス
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しおりを挟む地下通路は狭く、広い。元々鉱山跡地を利用したせいか、やたらと狭い道が多く、天井や壁は金属で舗装されており、蛍光灯が一定間隔に設置されて、道を照らしている。
だが、どれだけ表面を装飾しても、地中に隠れているという、鬱屈とした気分は消える事はない。
それはここに住んでいる者であれば、誰でも感じる感覚の一つである。私もそうだった。私たちは常に、何かに怯え、何かから隠れている。見つけられると、悲惨な事になると、体でわかっているから。
その感覚は、人類が経験してきた、細胞レベルでの「歴史」なのかもしれなかった。
私は薄暗い道を通りながら、そんな事を思っていた。
物思いに耽っていると、先程すれ違ったのか、背後から声をかけられた。
振り返り、見ると、馴染みの顔だった。
「酋長が呼んでるぞ。久しぶりだな、ヴェロニカ」
私は軽く息を吐いて、言った。「ザック」
「工業製品の方はどうなんだ? 最近は」
私は拳を、少し離れたザックの方に突き出す格好を見せると、ザックも応えて拳を突き返す真似をした。
ザックは廃棄された金属や旧文明の廃品を加工し直し、利用可能な製品に変える仕事をしている。
製品加工部と呼ばれている部署だが、規模はそれ程大きくなく、ザックを含めても数名だけの、小さな部署だった。
ザックは頭を掻いて、恥ずかしそうに言った。
「いやあ、相変わらずだな。折角作って、輸出しようにも、受け取り手がそんなになくてな。ヴェロニカのエネルギーみたいには、上手く取引を取り結べそうにない」
あまり余裕のなさそうなザックの気配を感じ取り、私は話を変えた。
「酋長が呼んでるって?」
ザックは真顔に戻り、答えた。
「ああ、元々それを伝える為に、遊戯室まで行く所だったんだが。食堂にもいなかったから、そこだろうってな。サラにはもう会ったんだろう? 元気そうか?」
私は微笑み、頷いた。
「ああ。相変わらず。ただ、他の子とあまり交わりたいとは思っていないみたいで、それがちょっと気掛かりなんだが……。まあ、あの子の事だから、色々自分の中で考えることがあるんだと思う。また話を聞いてみるつもりだよ」
「そう言いながら、お前はまたすぐにいなくなるからな。前も二、三日滞在しただけで、また出掛けていった。そんなに居心地が良くないのか? ここは」
私は少し沈黙し、嫌な間が流れ始める。
ザックは気配を察知したのか、急に朗らかな声になって、言った。
「まあ、いいや。お前にもお前なりの事情ってやつがあるってことぐらいは、俺にも分かる。その内話してくれりゃいいよ。まあとりあえず、今は酋長の所に言ってくれ。待たせて怒られるのは俺だからな」
そう言って白い歯を見せて笑うザックに、私も笑みを返して言った。
「わかった。ありがとな、ザック」
ザックは軽く頷いて、「いいってことよ」と言って、背中を向けて、歩き始めた。
私は遠ざかっていくザックの後ろ姿を少しの間見つめていたが、やがて酋長の元に向かう為に、再び歩き始めた。
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